コーヒーは本来、酸味を楽しむもの|クシタニカフェの豆を焙煎している職人談~9話~

コーヒーは、本来、酸味を楽しむ飲み物

前回、コーヒーの抽出のお話しをしたので今回は、実際に飲んでみましょう!
その前に・・・コーヒーを全く飲んだことのない人(例えば、お子さん)に
「コーヒーは、どんな味がするの?」と聞かれたら、ほとんどの人が「苦いよ」と答えると思います。

コーヒー=苦い

は、間違いではありませんが・・・酸味のコーヒーもありますよね。
なので、当たらずしも遠からずと言うところでしょうか(笑)
でも、特に日本人はコーヒー=苦いということが、DNAにいつの間にか刷りこまれてしまったのか?
コーヒーに酸味があることを嫌がる人が多いのが事実です。
お店で接客していると「酸味の少ないコーヒーをください」という声をよく聞きます。
おそらく、日本人の8割はコーヒーの酸味が嫌いなのでは(汗)
ところが・・・コーヒーは、本来、酸味を楽しむ飲み物なのです!!

クシタニコーヒー
コーヒー通は、ブラックで飲むとか・・・お砂糖、ミルクを入れて飲むのは、お子様だとか
・・・色々と言われてますが、お砂糖もミルクも意味があって入れます。
お砂糖は、酸味を引き立てるために。ミルクは、強い酸味をまろやかにするために入れます。
どちらも、酸味をより味わいやすくするために入れます。なんとなく、強い苦味を抑えるためにお砂糖やミルクを入れるイメージがありますが、ちょっと意味合いが違います。

 

よくイタリアでは、エスプレッソに砂糖を2〜3杯入れて少しだけかき混ぜて飲むと言われてますが、これはエスプレッソの強い味わいから酸味をグッと引き出して飲むためです。
故に「エスプレッソは、お砂糖を入れて完成!」とまで言われてます。
そのぐらいコーヒーにとっては酸味が大切です。

以前、カップ オブ エクセレンス(コーヒーの品評会)の評価方法のお話をしましたが、
評価の8つの項目の中に酸味を評価する項目はありますが、苦味を評価する項目はありません。
なぜなら、もともとコーヒー豆の中に苦味はなく、焙煎という人為的加工で生まれて来るからです。
そして、良質な苦味は良質な酸味を持っている豆から焙煎という過程を経て作られるからです。
そうです、酸味がコーヒーの味わいの骨格なのです!
この様なことからコーヒーにとって酸味がいかに大切か分かると思います。
だからと言って酸味が強ければ良いと言うもではありません。酸味の質が大切です。
強い酸味が欲しければ焙煎度合いを浅くすれば強い酸味が作れます。

と、なんだかんだ言ってきましたが・・・
コーヒーは、嗜好品ですので苦味の好きな方、酸味の好きな方がいて当然です。
お砂糖もミルクも入れて一番美味しい状態で飲んでいただくのが、コーヒー屋として幸いです。それでは、難しいことなど考えずに頂きましょう。

コーヒー屋ポンポン


羽田圭伸(はねだ けいしん)
静岡県浜松市のスペシャルティコーヒー豆専門店「コーヒー屋ポンポン」のマスター。自身もバイク乗りで、店名のポンポンは遠州地方の言葉でバイクの意。クシタニ カフェのコーヒーの監修とコーヒー豆の供給を行う。ジャパン・バリスタ選手権審査員、カップ・オブ・エクセレンス国際審査員。店内にはオリジナルブレンドで人気の「カフェ・ポンポン」をはじめ、「カフェ・ガードナー」「カフェ・クロスビー」「カフェ・ロッシ」などライダーに所縁ある名の商品も並ぶ。

 

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