比類なき一着のために。レーシングスーツを形作る“クシタニの革”

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二輪ロードレースを戦うライダーにとって、転倒は避けられないアクシデント。レーシングスーツは高速で限界の走りを見せる彼らの体を守るライディングギヤのひとつです。ライダーが極限の走りをすればするほど、当然転倒時のリスクは高まります。レーシングスーツには、激しい転倒時に耐え、ライダーの体をダメージから遠ざける強度が求められるのです。

強度とともに、ロードレースにおけるレーシングスーツで最も重要なこと。それは、ライダーが感じるレーシングスーツの着用感を限りなくゼロに近づけることです。走行時、それ着ていることすら忘れるほど着心地のいいレーシングスーツ、それはつまり、ライダーのライディングを妨げることがなく、操作性はもちろん安全性にもつながります。

また、ライダーは、練習走行日から決勝日まで複数日にわたり、1着のレーシングスーツを着用しなければなりません。クシタニは1着のスーツがどれだけ快適にこの複数日の連続使用を快適に過ごせるかを追求した結果、ベトつかず、乾きが速く、においが付きにくいレザーを開発しました。

クシタニのレーシングスーツに使用される新素材『プロトコアレザー』

強度としなやかさ、そして快適性を兼ね備えるレザー。そんな最高峰の要求にこたえる素材として生まれたのが、クシタニの『プロトコアレザー』です。

クシタニはレーシングスーツの製造に関わって以来、安全性と快適性、機能性を高次元で併せ持つレーシングスーツを一貫して追求し続けてきました。『プロトコアレザー』はクシタニがこだわる上質さと安全性を象徴とする、最高品質の高機能天然素材。クシタニにおけるトップモデルのレーシングスーツには、この新素材『プトロコアレザー』が使用されています。

『プロトコアレザー』は従来の表面の撥水コーティングと異なり、革を加工する工程でフッ素を繊維層まで浸透・吸着させることで、表面はもちろん、裏面を含めた素材自体に撥水性能を持たせており、その効果は半永久的に続きます。

特長(1)レザー内部にいたるまで持つ撥水性能

撥水加工により水を通さない特性を持つ『プロトコアレザー』。従来までの表面だけを撥水コーティングしたレザーとはまったく違い、レザー内部にフッ素を浸透・吸着させているため、転倒時にこすれた表面やカギ傷などで表面以外の原皮が露出しても、その性能が失われることはありません。

『プロトコアレザー』の撥水加工は、雨天時の走行でレーシングスーツが水を浸透させたり、真夏の汗を含んで重たくなるのを軽減するほか、濡れた後の縮みを防ぎます。さらに、水ははじくものの空気は通す素材のため、汗によるべたつきを防ぎ不快感も軽減。雨天時や真夏の走行では、ライダーの体にかかる負担を抑えます。

特長(2)原皮には従来のKUSHITANIレザーを使用し、強度としなやかさを実現

新しいマテリアル、『プロトコアレザー』。しかし、原皮には、永年クシタニが培ってきたKUSHITANIレザーと呼ばれ続けている従来の国内生産の皮革を変わらず使用しています。

ふわっとした質感としなやかな感触、そして従来以上に摩擦強度、磨耗強度、裂け強度を高い基準で設定し、それをクリアしたものだけを製品に採用するKUSHITANIレザー。その基準は、世界で最も高い安全基準であるMFJのレギュレーションを遙かに超えるものです。クオリティと安全性を追求したそのこだわりは、どのような状況下においても安定した強度と快適な着心地を実現します。

惜しみなく投入される最高品質の素材は、ライダーの安全を最優先に考えるからこそ

レーシングスーツ用のレザーに求められるのは、転倒時の衝撃に耐えられる強度。そのため、クシタニでは、引裂きに極めて強く、摩耗強度に優れた良質のホルスタイン種を厳選、最も良質の部分だけを使用するため、1着のスーツに一頭半の原皮を使用しています。

使用するレザーの部位ごとに強度・弾力性といった特性が異なるため、スーツ各部に求められる性能(柔軟性、衝撃耐久性、摩耗強度等)に応じて最適なレザーを配分。職人が経験と技で巧みに組み合わせることで、苛酷なレースに耐えうる最高品質のレーシングスーツへと仕上げていくのです。

さらに、レザー部分以外の部分にも、クシタニのこだわりが光ります。腕や太もも内側部分などに使用されているザイロンニットは、鋼鉄の5倍の強度を誇る生地。快適性・操作性とともに安全面にも妥協はありません。

クシタニのレーシングスーツには、最高峰の舞台を戦うライダーたちを守るテクノロジーが詰まっているのです。

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