アジアから世界へ……。Kushitani Thailandから広がるクシタニブランド

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2015年、クシタニはアジアでの活動をスタートさせました。そして2016年にはタイのバンコクに『Kushitani Thailand』をオープン。ここではレーシングスーツの修理をはじめ、アジアロードレース選手権(ARRC)各地でのレーシングサービスを行っています。今回は、クシタニにおけるアジアの拠点、Kushitani Thailandと、クシタニのアジア展開をご紹介しましょう。

スペシャルインタビュー:KUSHITANI代表取締役社長 櫛谷淳一氏

クシタニのアジア展開、それはどのように始まり、そこにはどんな思いがあったのでしょうか。KUSHITANI代表取締役社長である櫛谷淳一氏が語ります。

2016年。1台のミシンからそれは始まりました。

「タイの拠点を設立する前にミシンがないと修理ができないので、一番最初にミシン屋さんを探しました」

2016年にミシンを購入し、サーキットでサポートをスタート。その後、クシタニはバンコクにKushitani Thailandをオープンさせます。

「Kushitani Thailandでの修理に関しては、日本と同じことができるようにしています。たとえばARRCのレースウイークでレーシングスーツが損傷して、サーキットでは直しきれないようなものは、ここ(Kushitani Thailand)で修理して、次のラウンドに持って行きます」

「そのために日本と同じ設備を整えないといけないと思い、機械やネームをつくるプリンターなどをKushitani Thailandでは備えています。日本と同じ体制、サポートが受けられるようにしているんです。体制としては日本とほぼ変わりません」

東南アジアではレーシングスーツを修理できる場所が少なく、そのために損傷したレーシングスーツでレースを戦うライダーもいると言います。場所がないため、街の靴屋さんに修理をお願いするライダーもいるのだとか。

「東南アジアのライダーさんに、世界レベル的に安全なものを着てもらいたいんです。穴が空いたレーシングスーツのままレースをしているライダーもよく見ます。そういうのを変えたいと思っています。修理をして、しっかりした物でレースしてほしいんです」

クシタニでは2018年、ARRCに参戦するA.P.Honda Racing ThailandとAstra Honda Racing Teamに所属するライダーと、YAMAHA Racing Team ASEANのケミン・クボへ、レーシングスーツをサポートしています。

また、ARRCとともに、タイ国内の登竜門的位置づけのレース、タイ・タレントカップ(TTC)の全ライダーをサポート。さらに、MotoGPへとつながるCEVレプソル・インターナショナル選手権(CEV)Moto3クラスでは、アジア・タレント・チームの小椋藍選手、國井勇輝選手をはじめとした4名のライダーへのサポートを行いました。

そして2019年、再びアジア人ライダーがクシタニのレーシングスーツとともに世界の舞台に立ちます。2018年シーズンCEV Moto2クラスに参戦したディマス・エッキー・プラタマ選手、同じくMoto3クラスを戦ったソムキャット・チャントラ選手がイデミツ・ホンダ・チームアジアからロードレース世界選手権Moto2クラスにエントリー。CEV Moto3クラスで活躍した小椋選手がホンダ・チームアジアよりロードレース世界選手権Moto3クラスに参戦するのです。

2019年、MotoGPでのサポートをスタートするクシタニ。一方で、櫛谷社長はアジアにおける今後の展望をこう語ります。

「今、踏み込みたいのはアンダーボーン(UB150クラス)です。このクラスはレーシングスーツはほとんど契約ではなく、購入なんです。購入する機会があるメーカーのレーシングスーツをチームが買って、それにレース用ワッペンをつけているんです」

「現在、UB150クラスでクシタニのレーシングスーツを着ているライダーはいないのですが、それは購入できる先がないということだからです。それが自然に買っていただけるようなブランドになれば、本当の意味でいろいろな方々に安全なレザースーツを提供できていることになると思うんです」

「実は、UB150にはタイのチームがほぼありません。マレーシア、インドネシアではカブレースは有名なんですが、タイではカブレースが流行っていないものですから。つまり、UB150でクシタニのレーシングスーツを着るライダーが増えれば、タイ以外のアジア展開につながると考えています」

アジアの若手ライダーから世界選手権ライダーまで。クシタニのきめ細やかなサポートと安全・安心を具現化したレーシングスーツは広がっていきます。

アジアロードレース選手権(ARRC)とは?
アジア各地のサーキットで開催されるロードレース選手権。1ラウンド2レース制となっており、2018年シーズンはタイ、オーストラリア、日本、インド、インドネシアの5か国で全6戦12レースが行われました。クラスはスーパースポーツ600(SS600)クラス、アジアプロダクション250(AP250)クラス、アンダーボーン150(UB150)クラスの3つ。各クラスともに市販車ベースのマシンで争われます。なお、2019年シーズンからは最高峰クラスとしてアジアスーパーバイク1000(ASB1000)クラスが新設されました。また、インドとインドネシアラウンドがなくなり、代わりにマレーシアラウンド2戦と韓国ラウンドが加わって全7戦となることが発表されています。

Next:タイにおけるクシタニの展開

レーシングサービス以外で、クシタニがタイでどのような展開をしているのかご紹介しましょう。ホンダビッグウイング様の店舗内では、ライディングギヤやレーシングスーツ展開しています。ここでしか購入できないジャケットなども販売中です。

タイの首都、バンコク市内にある『Cub House』内でもクシタニ商品を販売中です。Cub Houseはおしゃれなカフェにバイクショップが併設されたライフスタイル販売店。店内のカフェスペースではゆったりとドリンクや軽食を楽しめるようになっており、ホンダのカブ(C125)、モンキーがおしゃれにディスプレイされてカスタムパーツやライディングギヤも販売されています。同時にバイクショップとして、これらのバイクが販売されてもいるのです。

11月29日~12月10日、バンコクから車で30分ほどの場所にあるエキシビションホール、インパクト・ムアントンタニで開催された『MotorExpo2018』では、ブースも展開。こちらではアジア圏モデルとして、メッシュジャケットもラインアップしました。こちらのアジア圏モデルはビビッドなカラーリングとなっています。

ちなみに、タイでは大規模なモーターショーが、春の『バンコクモーターショー』と秋に開催されるこの『MotorExpo』の2回あります。どちらもその場で展示されているクルマやバイクなどの商談を行うことができるのが特徴で、各ブースには商談スペースが設けられています。

タイの首都、バンコクのバイク事情
バンコクではクルマも多く走っていますが、バイクの割合は日本以上に多く、バイクが市民の足になっていることは間違いないでしょう。街行くバイクの大半は125ccから150ccクラス。ただ、大型バイクもたまに見かけることができます。日本メーカーで言えばホンダ、ヤマハの割合が多いようです。タイではバイクに二人乗りをして目的地に連れていってもらう『バイクタクシー』なるものがあり、こうした文化からもバイクがいかに日常的に親しまれているかがうかがえます。なお、日本と比べて年中暑いタイですが、10月以降のウインターシーズンがいわゆるライダーにとってのオンシーズンとなるそうです。

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