ライテクをマナボウ ♯13 ギクシャクしないスムーズな発進|KUSHITANI RIDING METHOD

免許を取って乗っているワケだから、当然ながら普通に発進できる……けれど、じつは内心「エンストするんじゃないか」と、発進のたびにドキドキしているのは内緒。アクセルもクラッチも慎重に操作しているのに、この得も言われぬ不安感、何とかなりませんか?

足の着き方で発進しやすさが変わる!?

もちろん頻繁にエンストしているわけではないけれど、なんとなく不安な発進。動き始めはスピードが出ていないだけに、わずかなフラつきでもドキッとするし、ガクガクッと前後に揺れると、やはりエンストするんじゃないか……と緊張することも。

小川勤|TSUTOMU OGAWA
小川勤|TSUTOMU OGAWA

バイク専門誌に25年ほど携わり、10年ほど編集長を経験。その間、国内外の様々なバイクに試乗。2022年よりフリーランスのジャーナリストに(身長165cm)。

すると「クラッチやアクセルの操作の仕方が悪いかも」と考えがち。もちろんそこにも要因はあるけれど、じつは発進前の「足の着き方」の影響が大きいのだ。けっこう多いのが「両足着き」で、立ちゴケの不安から両足を着いていたり、停止時はリヤブレーキを踏んで「片足接地」しているが、ギヤをニュートラルに入れたり1速に入れるのに左右の足を着き替えているうちに発進時は両足着きになっているパターンもあるようだ。

じつは両足を着いた状態で発進すると、身体が置いて行かれないように両手でハンドルをギュッとつかんでしまい、前輪が自然に切れる「セルフステア」の動きを邪魔するため、その影響でかえって車体のフラつきが大きくなる。そして腕に力が入っているため、車体の揺れが上半身に伝わって身体全体が揺すられるので不安も大きくなる。さらに、手の平に力が入るのでクラッチやアクセルの繊細な操作も難しくなる、とデメリットが山盛り。

そこで発進時は片足を着いて、ステップに乗せた足を車体に密着させて下半身ホールド。これだけで腕から力が抜けるので身体の揺れが抑制され、アクセルやクラッチ操作もしやすくなる。足の着き方や下半身ホールドの仕方は「♯03 足着き性は解消できる」、「♯07 基本フォームとニーグリップ」でも詳しく解説しているので参考に。

 
両足着きだとハンドルに力が入る

両足を着いた状態で発進すると、身体が置いて行かれないように両手でハンドルをギュッと掴んでしまい、前輪が自然に切れる「セルフステア」の動きを邪魔するため、車体のフラつきが大きくなってしまう。手の平に力が入るので、クラッチやアクセルの繊細な操作も難しい。

発進は片足接地が基本

停車時はリヤブレーキを踏むように教習所で習うので、右足はステップに乗せて左足を接地する。右足が軸足の人はスタートする直前は右足接地でもOK。小柄な人は腰をズラして、できるだけしっかりと片足を着こう。

ステップに乗せた足で下半身ホールド

ステップに乗せた側の足の内クルブシをステッププレートやヒールガードに、ヒザの内側をタンクに、太モモの内側をシート座面に密着させ、バイクと一体化して上半身を支える。こうすることで発進時に車体が揺れても、上半身や腕に力が入ることを防げる。

きちんとアクセルを開けて駆動力を調整

発進するには「クラッチを徐々に繋ぎながらアクセルを開けていく」。教習所でも習うし、誰もがそうやっているつもりだが……。いまひとつ発進のスムーズさに欠けるのは、アクセルの開度が一定のまま長い半クラッチを使っていたり、アクセルが開け遅れているパターンが多い。

クラッチが切れている状態でアクセルを開けると、負荷がかかっていないので少し開けるだけでエンジン回転はけっこう上がる。そこで「これだけ回っていれば十分だろう」とアクセル開度が一定のままクラッチを繋いでいくと、半クラッチの途中で負荷が大きくなって、エンジン回転がストンと落ちてギクシャクする。これは半クラッチ操作を長くゆっくりやっても状況は変わらない。

また、クラッチが完全に繋がる寸前にアクセルを開け足しても、大きくなった負荷に釣り合わないため、やはり回転がストンと落ちる。そこで慌てて大きくアクセルを開けると、今度はドンッと強い駆動力が後輪に加わるため、やはりギクシャクが大きくなる。

というワケで、まずクラッチレバーは半クラッチが始まるストローク位置まで素早く緩め、それによって後輪に駆動力がかかった瞬間にアクセルをスーッと開け始め、同時に半クラッチを短い時間で終了させる。ここでスピードの調整をクラッチで行わないように意識するのがコツだ。……と、文字で読んでもいまひとつ解りにくいと思うので、ここはリンクを貼ったYouTubeの動画でクラッチとアクセルの操作タイミングを見ていただくのがオススメだ。

また、短くスムーズに半クラッチ操作を行うには「♯08 ブレーキやクラッチが操作しやすいレバー位置の調整」、「♯09 クラッチ&ブレーキレバーのストロークを知る」も参考になるだろう。

アクセル一定で長い半クラッチ

エンストを警戒して、長く時間をかけて半クラッチ操作するパターン。クラッチ操作を意識するあまりアクセル開度が一定になりがちなため、ゆっくりクラッチを繋いでいっても、突然ガクッとエンジン回転が落ちる。

アクセルの開け遅れ

クラッチが完全に繋がる直前に開けるのはタイミングが遅いので、半クラッチで車体が動き出したらすかさず大きめにアクセルを開けるのがコツ。前述のアクセル一定の場合も結果的に「開け遅れ」になり、やはりエンジン回転がストンと落ちる。

エンジン回転が落ち込んでギクシャクしたりフラつく

長い半クラッチやアクセルの開け遅れがあると、エンジンの回転が落ちてしまう。それも徐々に下がっていくのではなく急にストンと落ちるため、車体がギクシャク大きく揺れたり安定感が損なわれる。するとライダーは緊張して身体が硬くなり、無意識にハンドルに掴まったりして車体に余計な力を加えてしまうため、ますますバイクの自然な動きを邪魔してフラつきが大きくなる……という悪循環に陥る。

スタート直後にも気を付けたいポイントがある

片足接地の発進姿勢や、短い半クラッチと的確なアクセル操作で安定した駆動力でスタートしたら、できるだけ速やかに接地していた足をステップに乗せよう。エンストに備えて(?)いつまでも足を出しているライダーもいるが、フラつかないようにしっかり下半身ホールドするには、なるべく早く両足をステップに乗せるのが得策だからだ。

そして両足をステップに乗せたら、やはりできるだけ速やかにシートの後ろ目に座り直そう。すると自然なニーグリップによる下半身ホールドで身体を支えることができ、いっそう安定感が増す。これらは「♯07 基本フォームとニーグリップ」を参考に、フォーム作りと合わせて意識しよう!

次回予告 ♯14 停止線で毎回同じように停まれてる?

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