Vol.12 防寒性能はすでにMAX その先の“感性”に挑む by RIDERS CLUB

  1. クシタニの製品は

身体が剥き出しで走るバイクにとって〝快適な季節〞は、年間を通してもかなり短い。そして、真夏の暑さもさることながら、寒さが骨身に染みる冬は「防寒ウエア」なしで乗るのは不可能ともいえる。

「かつての防寒ジャケット類は、ゴワっと硬い生地のハードシェルが人気でした。ヘビィデューティなイメージが強いからかもしれません。しかし現在は、ソフトシェルでもかなりの防寒性能を確保できるんです」と、レザースーツを除くすべての製品に関わるデザイナーの鷺澤さん。

「たとえば弊社のアロフトジャケットの防寒性能は、電熱ウエアを除けば上限まで来ています。となると、次に目指すのは〝感性〞。それが今季発表したガルジャケットです」

 

アロフトジャケットの方が高スペックな生地を使い、前ファスナーの二重返しなど構造が異なるため、防水性能(耐水圧)は上回る。対するガルジャケットは止水ファスナー採用するものの〝防水仕様〞とは謳っていない。しかし十分に撥水し、防寒性も引けを取らないという。

「悪天候の中を何時間も高速道路を巡行するのと、通勤や短距離ツーリングでは、求める機能・性能も変わりますよね。ガルジャケットは生地が柔らかくて軽いし、ファスナーも一重なので脱ぎ着もラク。その方が〝ちょっとバイクに乗ろうか〞という気持ちになって走る頻度も増えると思うんです。するとデザイン性も気になりますよね。ソフトシェルの柔らかくて伸びる素材は、普通はもっとツルッとした見た目なんですが、ガルジャケットでは杢調にしたりグラフィックで変化を付けています」

↑ いずれもK-2807 ガルジャケットの生地アップ。

(左)ブラックツイル:グレー味のかかったブラックツイルは、着心地がソフトなツイル(綾織り)の杢調(もくちょう)生地を使用。濃淡のあるムラ感が立体的なイメージを強調

(右)ブラックアウト:ブラックアウトとネイビーは、袖下・脇にグラフィックエンボスを施した生地を採用。離れると気づかないような色味で、派手さを抑えた洒落た風合い

 

 

そんな〝変化〞は生地や素材だけではない。ご覧のようにガルジャケットには〝フード〞がついている。

「まぁ、走るのには不要ですよね(笑)。初めて提案したときは、〝お前、バイクウエアのこと解っているのか?〞って、全否定されましたから。でもフード付きのスタイルもアリだと思うんです。だから敢えて着脱式にもしませんでした、フードならではシルエットが崩れてしまうんで。もちろん通常のスピードなら高速道路でも問題ないですよ」

他にも、最近は〝ゆったり〞したスタイルのジャケットも作っている。「以前は〝大は小を兼ねない〞と、タイトなものばかりでした。プロテクターが本来の位置からズレたりするのを防ぎたかったからです。でも今は女性にもMA-1とかダボっとしたジャケットが流行っていますよね。それに若いライダーもゆったり目を好む人が増えました。それなら作ろうと。その代わり、袖や身幅を調整してバタつきを抑えるフラップ類を多めに配置して対応しています」

機能や性能を進化させる〝基本〞からは外れない。しかし、変化を恐れないのもクシタニらしさなのだ。

 

K-2807 GAL JACKET <ガルジャケット>

今シーズン新登場の防寒テキスタイルウエア。伸縮性のあるソフトシェル素材ながら、抜群の防寒性を発揮。

 

単体でも使いたくなるダウンライクのインナー

着脱式の防寒インナーは、中綿に軽量で保温性に優れるポリエステル100%のシンサレートフェザーレスを使用。ファスナーが途中から曲がっているのは、アウターとの重なりを避けて着心地を良くするための工夫だ。

ライダースクラブ編集部

1978年から続く、バイクを趣味として楽しむ大人のための二輪総合誌。創刊から一貫してスポーツバイクの楽しみ方を探求、時代に合わせて多彩なバイクライフを提案し続けているオピニオン・マガジンです。

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