小椋藍選手インタビュー/7度の表彰台獲得とタイトル争いを繰り広げた2020年シーズン

  1. ロードレース

2020年シーズンのMotoGPにあって、Moto3クラスに参戦した小椋藍選手(Honda Team Asia)は注目を集めたライダーの一人でしょう。最終戦ポルトガルGPまでMoto3クラスのタイトル争いを繰り広げた若武者。そんな小椋選手に、2020年シーズンについて伺いました。

2020年シーズン、MotoGP™は世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大とその防止対策の影響により、開幕戦カタールGP以降のレースが延期。レースが再開されたのは7月中旬、20戦が予定されていたレース数は15戦となり、開催地もヨーロッパのサーキットのみになりました。

ライダーにとっても通常とは違う過ごし方となったようです。たとえば、いつもならホスピタリティと呼ばれるスペースで、ビュッフェ形式で摂る食事は、ランチボックス形式だったのだとか。総じて例年とは異なるシーズンとなったわけです。

大躍進の2020年シーズンを振り返った

小椋選手はMoto3™クラス フル参戦2年目の今季、2位を2度、3位を5度獲得。シーズンを通して、チャンピオンシップのランキングでは常に上位をキープしました。

小椋選手は、自身を抑えて走るライダーだと認めます。「自分の中で、100パーセント以上のことはしないです」。1周目から最終ラップまで、激しい接戦、混戦が続くMoto3™クラスにあって、小椋選手は常に冷静なレース運びを見せてきました。ときにはラインを変え、ときには他ライダーに巻き込まれないよう巧みにポジションをとり、戦ってきたのです。それを証明するように、常に激しいオーバーテイクが繰り広げられるMoto3™クラスにあって、小椋選手が今季の決勝レースで転倒を喫したのは1度のみ。それも、他車の転倒に巻き込まれたものでした。

毎戦、最終ラップ、最終コーナーまで混戦が繰り広げられるMoto3™クラス

常に完走を第一の目標とし、クレバーなレース運びで上位を席巻した小椋選手。今季、力強い活躍を見せたことは間違いありません。反面、そこに課題も見出していました。

「僕は、『行っちゃえ』とか『ブレーキしてからなるようになれ』という走り方はあまりしませんでした。優勝するために、そして後半戦でチャンピオンを獲るためにも、もしかしたら、ときにはそういうことも必要だったのかもしれません。そこが足りなかったです」

幾度も表彰台を獲得したことは確か。けれど、優勝には手が届かなかった……。優勝のために、場合によっては100パーセントを超えることが必要だったかもしれない、と振り返る小椋選手。そしてまた、苦戦を強いられたシーズン後半戦に対してもそうした思いがあるようでした。

第9戦カタルニアGPまでに6度もの表彰台を獲得していたのに対し、カタルニアGP以降の後半戦では、第13戦ヨーロッパGPで3位を獲得するにとどまっています。小椋選手は、厳しい戦いを強いられた後半戦についてこう語ります。

「コースに出ていくとき、寒さについてよく思っていない時点で、ほかのライダーよりも一歩、気持ちの面で下がった状態でのスタートでした。そういうところが大きかったです。タイヤは温まらないと攻められません。カタルニアGPのFP1では慎重にいきすぎてしまい、全体的に遅れてしまったウイークでした。その悪い流れが、どんどんあとに続いてしまったんです」

カタルニアGP以降のレースでは、開催時期によって気温や路面温度が低い状況にありました。たとえば、例年9月下旬ごろに開催される第11戦アラゴンGPでは、今季は10月中旬の開催となったことで気温が低い状況となり、土曜日以降のセッションの開始時刻が後ろ倒しに調整されました。

なかでも24番グリッドからスタートし、11位でフィニッシュしたカタルニアGPが「一番悔しいレースだった」と言います。

「このレースであと少しでもいい結果を出せていれば、そのあともう少し楽でしたから」

だからこそ、表彰台に返り咲いたヨーロッパGPでは安堵を覚えたそうです。今季の会心のレースに、小椋選手は3位を獲得したこのヨーロッパGPを挙げました。

会心のレースだったという第13戦ヨーロッパGP

「前を走っていたライダーが序盤に姿を消したレースで、僕が争っていたのは3台だけ。もちろん楽なレースではありませんでしたが、表彰台を獲得できたので、うれしかったです。前半戦ではほぼ全戦表彰台を獲得していて、後半戦では表彰台に乗れなくて。そこからの表彰台だったので、うれしかったですね」

最終戦ポルトガルGPまでチャンピオン争いを展開した

小椋選手は最終戦ポルトガルGPまでタイトル争いを展開し、ランキング3位を獲得して2020年シーズンを終えました。そして2021年シーズンはMoto2™クラスにステップアップ。チーム内昇格の形で、IDEMITSU Honda Team Asiaからの参戦となります。

「Moto3™クラスで2シーズンを戦って、2年目が終わった時点で『1年目の始めからこうしておけばよかったな』ということが見えてきたものもあります。バイクやクラスは変わりますが、基本的な流れは変わりませんから、Moto3™クラスを2年間戦って得た『1年目のテストや初戦からこうしておけばよかった』ということを、Moto2™クラスでは始めからできる1年目にしたいと思います」

Moto3™クラスで培った経験とともに、小椋選手はMoto2クラスという新しい戦いの場に挑みます。

小椋選手がズバリ! クシタニのレーシングスーツ

小椋選手のクシタニ歴は2020年で4年を迎えた

クシタニは、小椋選手がFIM CEV レプソルMoto3™ジュニア世界選手権に参戦を開始した2017年からサポートを行っています。そんな小椋選手に、クシタニのレーシングスーツの印象を伺いました。

開口一番に返ってきたのは革の柔らかさについて。「着ていてストレスがないんです。気持ちのいいツナギです」

「クシタニのレーシングスーツのいいところは、普段の状態。レーシングスーツに着替えて待っているときに、ストレスがないんです。そこが、クシタニの大好きなところです」

セッション前に着替えて走行を待つ間やセッションが終わってピットに戻りそのままミーティングを行うときなど、レーシングスーツのまま過ごす時間。そんな時間を快適にいられることが、クシタニのレーシングスーツの特長だそうです。

もちろんこれはレーシングライダーの時間の過ごし方ですが、楽しみの一つとしてサーキット走行をする私たちにとっては、レーシングスーツを着たまま自走でサーキットに向かい、走行会などの1日を過ごす、そんなシチュエーションに当てはまるかもしれません。

そして2020年、クシタニがアルパインスターズとコラボレーションしてリリースしている『スーパーテックR×プロトコアレザーモデル』のブーツ。小椋選手はチームアジアカラーのホワイト×レッドのレーシングスーツにブルーのブーツを合わせ、鮮やかな青がとてもよく映えていました。

「あのブーツ、格好いいですよね!」と、『スーパーテックR×プロトコアレザーモデル』のブーツを前のめりに語る小椋選手。「革がクシタニなので、柔らかかったですね。ある(他社の)ブーツの新品をすごく使い込んだ後のような感触が、このブーツの新品、という感じなんです」

2021年シーズンも小椋選手は、クシタニをまとって、Moto2™クラスを戦っていきます。

そんな小椋選手は今後の目標について「どこかのクラスで1度、世界チャンピオンを獲得したいと思っています。これが昔からの目標です」と語ります。1度とは言わず、Moto2™クラスでも、そしてその先につながる世界最高峰のMotoGP™クラスでも、チャンピオンに輝く小椋選手の姿を心待ちにしたいですね。

小椋藍 選手
2001年1月26日生まれ。
2015年:アジア・タレントカップ ランキング7位。
2016年:アジア・タレントカップ ランキング2位。レッドブルMotoGP™ルーキーズカップ ランキング11位。
2017年:FIM CEV レプソルMoto3™ジュニア世界選手権 ランキング8位。レッドブルMotoGP™ルーキーズカップ ランキング5位。
2018年:FIM CEV レプソルMoto3™ジュニア世界選手権 ランキング5位。ロードレース世界選手権Moto3™クラスのスペインGP、オランダGP、ドイツGP、オーストリアGPにスポット参戦。
2019年:ロードレース世界選手権Moto3™クラスにHonda Team Asiaからフル参戦。アラゴンGPでは2位表彰台を獲得。ランキング10位。
2020年:ロードレース世界選手権Moto3™クラスにHonda Team Asiaから継続参戦。2位を2度、3位を5度獲得し、ランキング3位を獲得。

写真:Honda Team Asia

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