Vol.3 素材はつくる

  1. クシタニの製品は

クシタニの商品を見ていると、つくづく面白いなぁと思う。僕は最近カタログを見ながら新作のチェックの他に、新しい素材やパターンを発見するのが楽しみになっている。

クシタニの商品は独特の質感の物が多い。代表的なのはプロトコアレザーだろう。フッ素を染み込ませたこのレザーは、レーシングスーツやレザージャケットの上級ラインに採用され、撥水性が高く、吸水しにくい特製を持つ。エクスプローラージーンズなどに採用されるエグザリートレザーも同様。革は硬ければ丈夫、厚ければ丈夫……その考えが古いことがすぐに分かる。

プロトコアレザーは、レザースーツに求められる機能を追求した結果生まれた。革なのに多少の雨なら許容してくれるし、汗を吸いにくいから重たくなりにくく、例え吸ってしまってもレザースーツは経年変化で硬くなることがない。だから運動性はいつまでも確保される。

エグザリートレザーは撥水性が高いのに洗うことができ、実は車体とのグリップがとても高い。

他メーカーにないオリジナルのレザーが、革の常識を根底から覆している。

本来、革はメンテナンスしないといけない物……無精な僕はあまりメンテナンスをしていない。それでも柔らかさとしなやかさが保持されているのはこの特殊なレザーのおかげなのだ。

また、最近面白いなぁと思ったのはジーンズ。クシタニはコーデュラナイロン混紡という特殊なデニムを作った。ジーンズは本来綿100%だから耐久性は高くない。生地を厚くすれば強度は上がるが、それでは運動性を確保できない。

運動性と安全性、この相反する要望を両立するために生まれたのがコーデュラナイロン混紡なのだ。安全性を向上させるため、コーデュラナイロンを混ぜたデニムがコレだ。しかも普通なら縦と横、どちらかにこの糸を使用すれば強度が上がるが、クシタニは縦横両方にコレを使う。しかもこのデニムはストレッチが効いていて、タイトシルエットな商品も窮屈感がなくて動きやすい。

素材からつくり、しかも薄い生地のまま強度を上げると、それは当然コストに直結する。それでもライダーのために応える。妥協しないのだ。

 

他にも商品を見ると新しい生地や素材がたくさんある。柄のついたナイロンやキシリトール配合のTシャツも他にないオリジナルで面白い。純粋に着てみたい! と思う。

 

バイクをいかに思い通りに、しかも快適に扱うか……そんなテーマに向き合うと、自然とクシタニに辿り着く。

小川勤

1974年生まれ。RIDERS CLUBの編集長を8年務めたのちに、新しいバイクメディア「RIDE HI」立ち上げメンバーに。ツーリングからサーキットまでバイクを楽しむ。現在もたまにイベントレースに参戦するなど、“楽しむサーキット走行” に積極的

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