全日本モトクロス選手権IA2クラスでトップを走る、ビクトル・アロンソの強さに迫る

今シーズンスペインから来日し、D.I.D 全日本モトクロス選手権2023シリーズIA2クラスにフル参戦している、クシタニサポートライダーのビクトル・アロンソ。最終戦を前に、全日本初参戦ながら現在ランキングトップに立つ彼の、トレーニングや普段の生活を探った。

バイクに乗るだけでは強くなれない

写真右がジョセップ・アロンソ。ビクトルを常にそばで支えている

実は、今シーズンビクトルのレースに帯同しているビクトルの父、ジョセップ・アロンソは、スペインのモトクロス選手権で5度のチャンピオン経験を持つ元モトクロスライダーだ。現在はスペイン国内でモトクロススクールを運営しており、ビクトルもその教えを受けて育った。

今シーズン前半は日本とスペインを往復していたが、シーズン後半戦は所属するオートブラザーズのオーナー宅に滞在し、横浜で生活をしているとのこと。ただ、基本的にトレーニングですることはスペインでも日本でも変わらないようで、バイクに乗ることを中心に、さまざまなトレーニングをバランスよく取り入れているとビクトルは話す。

「バイクに乗ることが1番の趣味なくらいモトクロスをするのが好きだけど、トレーニングではバイクに乗っているだけでは強くなれない。モトクロスはスポーツの中でもかなりタフだからね。ランニングや自転車に乗るトレーニングもするし、ジムにも行くんだ」

日本でのトレーニングは埼玉県にあるオフロードヴィレッジやモトクロスヴィレッジに行くことが多いと言う。スペインでも日本でも、週に3〜4回、基本父と2人でトレーニングに出かけるが、たまに他のライダーと一緒に練習することもある。

なお、日本とスペインのモトクロスコースの違いを尋ねると、「スペインも日本も、そこまで大きな違いは感じないよ。強いて挙げるとすれば、スペインのモトクロスコースにはサンドがないから、名阪ではそこが面白く感じた。あとは、スペインの方がジャンプは少し大きいかな。でも思いつくのはそれくらいで、他は結構似てると思う」と話す。

また、トレーニングに加えて食事も気になるところ。何かこだわって食生活も制限しているのだろうか、話を聞くとビクトルは「食べるものには全然気を使っていないんだ(笑)」という。

「普段もレースウィークも、自分が食べたいように食べる。正直魚も野菜も好きじゃないんだ。今はオーナーの家に住んでいるから、オーナーの奥さんが僕達の食事も作ってくれているよ。彼女は僕のことをすごく気にかけてくれていて、レースウィークもお昼ご飯は彼女がパスタとかを作ってくれるんだ」

強くなりたいという意志を軸に、自由に、無理せずトレーニングしていることが彼の伸び代を最大限に生かしている理由なのかもしれない。

今後目指す道

スペインでは高校まで通って卒業したと言うビクトル。大学に行きたいとは思っているものの、モトクロスとの両立は難しいので、モトクロスをやめたら大学にいこうと考えているようだ。

「スペインでは高校を卒業して大学に入る前にギャップイヤーを取ることが普通だから、高校卒業後すぐに大学進学しなくても問題ない。(スペインにいる)彼女も『ライダーやめたらにした方がいいよ』とアドバイスをくれたんだ」と話す。自身の目標については「今シーズンはもちろんチャンピオンを狙っている。その先は、いずれアメリカに行ってAMA選手権で勝ちたい。それが、自分のキャリアでの目標だ」と力強い眼差しで語った。

11月11日〜12日にスポーツランドSUGOで行われる最終戦を前に、ランキング2番手に28ポイントの差をつけてランキング首位に立つビクトル・アロンソ。前戦関東大会でヒート優勝を含む総合3位で終え、チャンピオン獲得に王手をかけた。最終戦でのチャンピオンをかけた走りに注目したい。

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