「怪我をしないことですね」。
多くのプロライダーに「クシタニのレーシングスーツの魅力は?」と聞くと、そんな答えが返ってくる。
筆者(小川勤)はレーシングスーツを30年ほど愛用しているものの、クシタニ歴は14年ほど。プロライダーではないから、それほど転倒や怪我が身近にあるわけではない。
だから「クシタニのレーシングスーツの魅力は?」と聞かれると、僕は「素材です」と答える。
クシタニのレーシングスーツには『バイク専用の革』が素材として採用され、それがライディング時の運動性の高さと、転倒時の耐摩耗性を両立する。
まず触ってみると、革そのものが上質でとてもしなやか。指の腹に吸い付く気持ちよさは、それだけで着心地の軽さや良さを想像できる。実際、クシタニのレーシングスーツは着脱がとても簡単だ。
そして、この『バイク専用の革』がライダーのレスポンスを向上させ、さらにライダーの集中力を継続させる。プロテクションを高めてライダーを怪我から守ることはもちろん大切だが、それ以前にライダーを走りに没頭させることで転倒を防ごうというのがクシタニの考えだ。これが「アクティブセーフティー」。数値や規格などでは表現できない、この性能をクシタニは追求している。
バイクやタイヤは日々進化し、レースでの最高速やラップタイムは着実に向上している。もちろんそれに伴いライディングスタイルも変化。上半身を激しくイン側に落とすフォームや、さらにエアバッグの膨らみも考慮しながらレーシングスーツは日々進化していく。クシタニは時代に即したレーシングスーツを生み出すために常に研究&開発を続けているのだ。
ライダーが走りに集中するための要素を一つずつ積み上げていく工程は途方もなく大変に違いない。革が重なる部分をいかに動きやすくするか、いかに出っ張りをなくし路面に引っかからなくするか、革同士を縫い合わせる手法も要所によって何パターンもある。さらに経年変化の少なさも考慮する。
他にも目には見えにくい細部の一つひとつのディテールにストーリーがある。それを知るほどに愛着が湧いていく。