KUSHITANIは2023年よりオフロードウエアを展開し、D.I.D 全日本モトクロス選手権に参戦する5人のライダーをサポートしている。6月1日(土)〜2日(日)に行われた第4戦では、各ライダーが変化するコンディションに対して強さを見せたレースとなった。
6月1日(土)〜2日(日)、宮城県にあるスポーツランドSUGOにて、D.I.D全日本モトクロス選手権2024シリーズ第4戦が開催された。これまで予選と決勝が同日に行われるイレギュラーなスケジュールが続いてきたが、今大会は通常通り土曜日に予選、日曜日に決勝があり、今季初となる予選ヒートレースが行われた。
天候は曇りのち雨。大会前日に降った雨の影響も残るコンディションで、レースが進むごとに路面は荒れていった。さらに決勝日の午後には雨が降り始め、第3戦のようなハードなマディレースとなった。
KUSHITANIは2024シーズンより、IA1クラスに参戦する#33ビクトル・アロンソ、#6⼤塚豪太、#8安原志、IA2クラスに参戦する#20⼩笠原⼤貴と#16ブライアン・シューという5人のライダーをサポートしている。なお、第2戦より参戦予定だったドイツ出身の#16ブライアン・シューは、怪我のため第2戦から欠場中だ。
IA1クラス
ビクトルと大塚が表彰台を獲得。ハードなコンディションへの対応力を発揮
IA1クラスは15分+1周の3ヒート制で行われた。予選ではビクトルが2位、4位に大塚、5位に安原が入り、各ライダーが調子の良さを示していた。ヒート1では、ビクトルが好スタートを決めて上位を走行。レース前半で2番手まで追い上げると、その後も徐々にペースを上げていき、レース中盤にはクラス内トップタイムを記録。トップを走る#1ジェイ・ウィルソンとの距離を縮めていく。レース終盤にはトップと約1秒差というところまで追いつくがタイムアップ。惜しくも2位という結果で終えたが、初優勝への期待が高まる、勢いのある走りを見せた。
一方、大塚と安原はスタートで出遅れ、安原が8番手、大塚が9番手からの追い上げを強いられる。安原はレース前半で8番手をキープするも、徐々に後退し11番手でゴール。また、大塚は序盤で11番手まで順位を落とすが、レース後半で巻き返し9番手でフィニッシュを果たした。
路面がさらに荒れたヒート2では、安原が好スタートを決め、2番手でオープニングラップを通過。さらにビクトルが安原の後に続き、2番手争いを展開していく。安原が順位を守っていくも、ビクトルが徐々に差を詰めて安原をパス。2番手ビクトル、3番手安原という順位でトップを追いかけていく。ビクトルはこのヒートでもベストラップタイムを叩き出すが、トップとの差は縮まりきらず、2位でチェッカーを受けた。一方安原は3番手をキープしていくが、マシントラブルによりレース後半にペースダウンし後退。6位でゴールを果たした。
大塚はレース前半で8番手につけレースを進めていく。周回を重ねるごとにペースを上げていくが、順位は変わらず8位でフィニッシュ。スタートで前に出る反応の良さを見せただけに、悔しいレースとなった。
ヒート3では、雨足が強くなり路面状況が一変。深い轍や水たまりが増え、ハードマディとなった。そんな中、大塚と安原、ビクトルがスタートで好スタートを決めると2番手争いを繰り広げていく。一時ビクトルが大塚をパスして2番手に上がるも、コースアウトにより3番手に後退。しかしすぐに大塚との距離を詰め、抜きつ抜かれつの攻防戦を展開していく。ビクトルが再び2番手に浮上するも、転倒により4番手へとポジションを落とした。大塚は安定した走りで2番手を守り切りゴール。今季初表彰台を獲得した。一方、ビクトルは最後まで粘り強い追い上げを見せレース終盤で3番手に浮上。表彰台を獲得し、2位大塚、3位ビクトルとクシタニライダーが表彰台を獲得した。
なお、安原は序盤で順位を下げ5番手を走行。その後もペースを上げることはできず7位でレースを終えた。
ビクトル・アロンソ コメント
「ヒート1はスタートで少し出遅れたけどすぐに2番手にまで追い上げることができてよかったと思う。ジェイが前にいて追いかけたけど、何回かミスもしてしまって、追いつくことができなかった。ヒート2も同じく路面が荒れていてかなりタフで、ジェイも速くて届かなかった。もっとトレーニングが必要だと実感したよ。3ヒート目は雨が降ってきて、水たまりも多くなって、ただ転倒しないように気をつけて走った。それでも攻めた時にミスや転倒をしてしまって順位を落としたけど、3位まで追い上げることができたのはよかったと思う。次戦行われる北海道のコースは好きだけど、とにかく雨が降らないことを祈ってるよ(苦笑)」
大塚豪太 コメント
「だいぶハードなコンディションでしたね。SUGO自体は得意なコースで、轍や荒れた路面も得意なので自信がありました。ただ、ヒート1とヒート2はなかなか噛み合いませんでした。ヒート2では久しぶりにホールショットを獲ることができたのですが、その後自分の実力を発揮できずに終わってしまいました。
ヒート3はコンディションが悪くなりましたが、2ヒートを通して見えた課題を修正することだけに集中して挑みました。3ヒート目のサイティングラップにはほとんどのライダーが行かなかったのですが、自分の課題である『序盤で順位を落としてしまう』ということを少しでも改善するために、良いラインを見つけておこうと思って行きました。ラインを見つけておいたおかげで序盤から上位をキープできたと思います。前半はビクトルに抜かされないようにとプッシュして走れたことで後方との差が広がって、結果的にラクなレース展開でしたね。トップが前に見えていたので、守りに入らず追いかけていけたのもよかったです。追いつくことはできませんでしたが、表彰台を獲得できて本当に嬉しいですし、1つ結果を残すことができてほっとしました。次戦もこの調子でいきたいと思います」
安原志 コメント
「今回の大会は練習走行・予選から比較的調子が良くレースを迎えることができました。ヒート1に関してはスタートのミスがありましたが上手く切り抜けることができ、8番手につけることができました。ただ、練習からセッティングを変更したことで上手く噛み合わず、そこからペースを上げることも維持することもできず順位を落としてしまいました。ヒート2はスタートから2番手につけることができ、序盤のうちにビクトルに抜かれましたがリズムよく走ることができたので順調に3番手で走行していました。ビクトルに抜かれたあとも冷静に走行ができたので、周回するごとに自分の走りを修正し、ペースを上げることができました。ただ、レース中盤からマシントラブルによりペースを維持することができず、ラスト3周で6番手まで順位を落とすことになりました。残念な結果となりましたが、良いレースができたと思います。ヒート3はスタートが決まりましたが、良いラインを選ぶことができずペースを上げられませんでした。コンディション変化に苦戦し、うまく対応できなかったことが悔やまれます。
今回表彰台のチャンスを掴むことができなかったので、次戦は3位以内に入りたいです。北海道のコースはサンド気質なので比較的得意です。かなり路面も荒れやすくタフなレースになると思いますが、調子も良いのでスタートから前に出てレースをしていきます」
IA2クラス
荒れた路面に苦戦、悔しさが滲むレースに
IA2クラスは30分+1周の2ヒート制で行われた。ヒート1、小笠原は序盤で26番手から追い上げる展開となる。路面に苦戦しペースを上げることができない苦しいレース展開となるが、それでも着実に前のライダーを抜いていき、レース中盤で20番手にまで浮上する。レース後半でさらにポジションを上げていき、18番手でフィニッシュとなった。
ヒート2では雨足が強まり、ハードマディへとコンディションが変化した。しかし、第3戦のマディコンディションで4位に入ったことが自信となっていたという小笠原は好スタートを決めて5番手を走行していく。しかし、好調な走りを見せる中、転倒したライダーに突っ込んでしまい順位を大きく落とすことに。復帰後も懸命に追い上げていくが、マシントラブルが起きリタイヤ。実力を発揮しきれない悔しい結果となった。
小笠原大貴 コメント
「かなりタフなレースになりました。ヒート1はなかなかバイクと自分が噛み合わず、ペースを上げるまでに時間がかかってしまいました。ヒート2ではスタートが良く5番手を走行できていたのですが、前を走るライダーが転倒し、そこに突っ込んでしまいました。復帰して追い上げましたが、マシントラブルがありリタイアしました。路面は苦戦しましたが、前回の大会で4位になったことが自信となり、雨が降ってきたヒート2では自分らしさが出せるレースになったと思います。硬い路面での雨は得意としていて、絶対表彰台に乗れると思っていただけに悔しいです。
次戦の北海道大会については、昨年は事前練習とレースでの路面の違いにかなり苦戦し、転倒とリタイアがあったため正直あまり良い印象は残っていません。ただ、シーズンオフに行ったアメリカトレーニングでサンドコースはしっかりと乗り込んできたので、その感覚を思い出して挑みたいと思います。目標はポイントをしっかり取ることと、入賞をめざします」
次戦は6月22日(土)〜6月23日(日)、北海道にある新千歳モーターランドにて開催される。次はどんなレースを見せてくれるのか、各ライダーの活躍に注目だ。