WSBKの裏方から見た世界、アッセン紀行|黒子のULTRA RIDER

ご挨拶

みなさんこんにちは、モータージャーナリストのREIです。

”必殺運び人”という名称はご存知でしょうか。とある裏稼業の総称ですが、もちろん例の時代劇とは関連はなく、リスペクトを込めたオマージュです。カタカナを並べるとファジーになっていい感じ。
つまりは僕が勝手に名乗っているだけ、なので、聞いたことがないですよね。以後お見知り置きを。

予告

ということで、この一連の記事では、こんな写真たち、そしてそれに纏わるエピソードを必殺運び人がシェアしていきます。

トプラク・ラズガットリオーグルと岡谷雄太、二人が交わした会話とは。
阿部真生騎とわたし。
旅行気分の必殺運び人、巨大なケータリング、レースウィークの食事事情とは。
雄太のおかげで、メシはプセッティのケータリング、美味いの?先に言うと、美味いです。
世界で戦う若き男たちの生き様とは。
日本人が外国で暮らして、外国で生きるということとは。
僕らが真生騎に寄せる期待、真生騎の序章をご照覧あれ。(大ヒットゲーム作品エルデンリングに登場する”Witness”という名台詞を和訳すると、”証人となれ”なのだが、作中では”ご照覧あれ”となっており、それがむず痒くてバズった。この話がわかる方は、この記事も割といけますよ)
ヘルメットから流れる長い髪、世界中のおじさんがキュンキュンした、わたしも。
雄太のチームから傘を持たされるわたし、なんでやねん。REIの仕事はなんなのか。

必殺運び人のミッションとは。

  • 岡谷雄太選手と阿部真生騎選手の装具を、スーパーバイク世界選手権(SBK)のパドックまで届けること。
  • 彼らの活動をJ SPORTSを通じて、現地レポーターとして日本に伝えること。

スーパーバイク世界選手権とは、シンプルに言うと、市販車ベースのロードレースで最高峰カテゴリ。彼らは、その中のミドルクラス、つまり600ccクラスのスーパースポーツクラスに参戦しています。日本のST600はストッククラス、こちらのスーパースポーツ範囲は改造範囲がもう少し広く、マシンは別物。タイヤもスリックになります。
詳しくはJSPORTSをご照覧、ご覧ください、僕は普段は表彰台インタビューの同時通訳としてスタジオにいますが、2023シーズンは何戦か現地に向かいます。

J SPORTSの写真をタップで、リンク先に飛びます。

ちなみに、もう第4戦カタルーニャになっているのは、ワケがありまして、雄太と真生騎はヨーロッパラウンドからの参戦で、開幕戦フィリップアイランド(オーストラリア)と第2戦マンダリカ(インドネシア)は走らず、いまこの記事を書いている私は、彼らにとっての2戦目となるカタルーニャ(スペイン)におります。

スケジュールがなかなかエグいんですね。みなさんもカレンダーを見ながら着いてきてください、4月17日から4月25日までがオランダ、帰国した六日間のうちにチバテレの週刊バイクTVロケやらでバタバタし、5月2日からスペインに来ていて、今は5月5日。

雄太と真生騎、彼らにとっても自分にとってもこれが2戦目、ようやくSBKの雰囲気や勝手にも慣れてSBKを運営するDornaの担当者とも仲良しになれて、やっとひと段落です。帰国しても飛行機の長旅疲れが取れないまま、ヨーロッパにトンボ帰りの必殺運び人。

というところで、SBKを内部から、若きサムライ二人の暮らしを皆さんにお伝えしてまいります。REIVLOGと同様に余談多いので、楽しくお付き合いいただければ幸い。

必殺運び人が運ぶブツ。

KUSHITANI K-3597 RACING CARRIER CASEをふたつ。
H800×W420×D350(約117L)
このクシャッとしている状態で、ツナギが二着ずつ入っています。まだまだ余裕があり、コンパートメントが、上の小、下の大に分かれており、今回は下の大部屋だけ使用。そのツナギもレーシング用のエアバッグ内蔵式のため、体格にはよるものの一般的なツナギなら三着か四着は飲み込めそう。

クシタニの製品ページはこちら、出張先や旅行先に一応ヘルメットなどの装具を持参すれば、レンタルバイクでツーリングできてオススメ。

Peak Design Travel Backpack 45Lがひとつ。
拡張式で、35L状態に留めれば機内持ち込みが可能、ここ激しくポイント。自分のパソコン、カメラ機材、着替え、洗面用具などはここだけで完結。現地で一回洗濯をすれば持続可能なパッケージ。わたしサステナビリティ。遠慮なくなんでも突っ込めば、15kgを超えてゆく。それでも使い勝手良く背負いやすいから最高に助かってます。航空会社の機内持ち込み規定ギリギリの10kg以下に抑えるために、内容物を少しK-3597 RACING CARRIER CASEに振り分けてます。

輸入元、銀一オンラインショップのリンク、カメラバッグなのに敢えて仕切りがないというのが便利、仕分けするためのケース類が豊富で自分仕様に作れます、愛してる。

ということで、写真を見ながらSBK旅行記をお裾分けしていきましょう。

思い出せるかな、振り返っていこうじゃないか

4月17日(月)〜4月18日(火)、移動編

さてさて空港おじさん、飛行機に乗るのは久しぶりです。コロナ前は毎月のように海外試乗会や海外ロケがあったのに、2〜3年もパスポートを使わず、どこにしまいこんだのやらと、創作活動の前に捜索活動が大変でした。2022年の秋口から久しぶりに出張が復活し、イタリアはEICMAと、オーストラリアで広告の撮影で機上の人となり、2023年は春から出張生活を開始。空港おじさん、翼の写真を撮りがち。ちなみに、オランダ航空の機内の清掃具合は、味わい系でした。次戦カタルーニャの話は後日ですが、ルフトハンザは清掃が行き届いていて快適でした。必殺運び人、JALかANAで飛べるまで頑張ります。

オランダに到着し、スキポール空港でレンタカーを借りるの巻。見たことも聞いたこともないメーカー。海外のレンタカーでは未だマニュアルがほとんど。たまたまアップグレードしてもらえて、オートマになりました。

僕が主催するオンラインサロン”REIVLOGのバイク部”の部員に教えてもらえたのですが、どうやら中国資本のVOLVOと中国企業が作ったメーカーだそうな。乗り心地良し、積載性よし、ただ最後までメーカー名が謎のまま。レンタカーでの割り当てが多いようで、TTサーキットアッセンの駐車場にたくさん停まっていました。ちなみにレンタカー会社はSIXTを選択。予約はRentalcars.comでしまして、ブランドにこだわりはなく、正確に言うと海外出張が久しぶりすぎてどこがいいのか分からず。こういう経験一つとってみても、きっと雄太は全て乗り越えているんだろうなと思い、あまり人に頼りすぎず自分で幾分かは食らいながら経験値を貯めることにしました。

蓋を開けてみれば、SIXTは値段はちょい高めなのですが、窓口の店員さんたちのレベルが高く、対応も良かったですね。何より重要視したいのが、手続きの早さ。EICMAのためにミラノに行った際は、クルマを借りるまでに30分以上かかりました。予約確認して、保険の確認をするのに、どうやったらそんなに時間がかかるのか。きっと特別に大事にされていたのでしょう、ありがたい。こちらのSIXTは、”グレードアップしませんか?本来は800ユーロかかるところをプラス300ユーロでいけまっせ、何せユーは荷物が多いから大型SUVがいいんじゃないでしょうか、予約したAudi Q2は荷物がそんなに積めませんからね”と、ゴリゴリに営業トークをされても手続きに数分もかかりませんでした。あまりの手際の良さに営業トークを最後まで聞いてあげました。お応えできずに申し訳ない。

空港ターミナル内の窓口を後にして、羽田や成田のP1やらP2のような巨大立体駐車場へ移動して、そちらにもスタッフが待機。他のレンタカー会社は、私服姿のお兄さんがタバコを燻らせながらキーをぶら下げているところもありましたが、SIXTはきちんとしたオフィスの出立ちのカウンターがあり、ユニフォーム姿の担当が丁寧にキーを渡してくれました、ただ繰り返しておきたい、自分が探した中では値段は高め。でもリピートしたい。デポジットにAMEXが使えたのもちょっと便利。デビットカードも可という柔軟さ。

Audi Q2が、このリンクアンドコーになっちゃいましたが、クルマは実際に良かったです。01(ゼロワン)という車種のようです。

ついでにちょっと調べてみました。

見た目も悪くはない。VOLVO感はしたような、してなかったような。

モータージャーナリストのインプレ病で言うならば、ブレーキの初期タッチ強め、ストロークが多くダンパー弱めでバネバネしてるものの、荒れたアスファルトでもゴツゴツさとフワフワさの配分が上手、ハンドルはクイック気味で落ち着きに欠ける分、速度感応式にしてもらうか、もしかすると入っているのかもしれないけれど足りず、街でキビキビ走るにはいいが長距離走行にはちょっとレスな感じ。車体自体の風切り音やロードノイズがとても多く、VOLVOらしさを感じる前に”うるさっ”という感想から離れられない。サンルーフ標準装備のようで、屋根がガラスなら諸々致し方ないのかもしれない。スキポール空港からアッセンまで200kmの道のり、渋滞なく延々とゆったりと真っ直ぐ走るのみだったが、アダプティブクルーズはあるもの、レーンキープするアシストはなく、ハンドルから手は離せない。少しのギャップを拾ってハンドルに触れて仕舞えば、ノーズがクイックに反応して、クルマがぴょこぴょこする。Apple CarPlayがあるからインフォテインメントは十分、コネククティビティの実力は試せず。専用アプリで車両の管理はできる模様。車内空間広めで、操作系やボタンの自然な配置にはVOLVOの理念が活かせているのかも。

来年もアッセンに行くならば、同じレンタカー会社を選びます。そしてクルマも同じで文句はありません。

ホテルに到着し、ランニングへ。飛行機で体がバキバキに固まってしまったので、ほぐしがてら、ダッチウェザーのご機嫌を伺いに。奥のonCloudnovaは普段馬き、手前のアシックスがランニングシューズ。(このonが、機内で脱ぎ履きしやすく、アッセン4.555kmでもカタルーニャ4.657kmでも、コースウォークでサポートしてくれました。そして蒸れないスースーする構造、今年の必殺運び人認定シューズはコレに決めました、ちなみに限定色でリンクに飛んでもタイミングによってはないかも)

事前に天気予報を見ていると、何やら雨の気配があり、靴がビショビショのまま万が一乾かずに過ごすことになって海外まで来て切ない気持ちになってもなんなので、予備のシューズとしても持参していました。

それではGoPro HERO11によるめっちゃ綺麗な写真をご覧ください。

おじさんの顔が汚い。びっくりしました。若い頃はかわいかったのに。長旅で疲れるとこんなもんですよ。

モデルが悪いが、シャツは、K-1316 KITTLE LONG T-SHIRT。接触冷感の涼しい生地で、テニスするときに重宝しています。

オランダ犬。オランダにいたので、オランダ犬です。かわいい。私の若い頃くらいかわいい。

やや広角にして、ダイナミックに切り取る。ちなみにこれはホテルの裏。右手の道からぐるりと、回れず、そんなに走れず、右の建物を奥くらいまで行って引き返しました。ランニングと言っても、嗜む程度に気分だけ味わいました。

ちなみに、リンクアンドコーの01の車内はこんな感じ。

スマホが宙に浮いているのは、愛用しているスタンドを日本の愛車から持参したから。その動画はコチラをご覧ください。
Peak Designカーベントマウント(ソフトロック対応)です、スタイル良く、専用ケースが必要になるけど、そもそもバイク用のスマホマウントのためにPeak Designのケースを使っているので、クルマでも同じケースが使えて噛み合わせがいいわけです。最も格好良く、最も簡単にスマホをマウントするなら、Peak Designを調べておいた方が長いライダー人生で損が減ります。

音声入力でメール返信しながら移動していたので縦にマウントしていますが、バイクと違ってクルマは磁石でくっついている簡単方式なのでクルンと90°回転できます。曖昧な角度でつかないように、90°毎に固定される気の利きよう。Travel Backpack 45Lに続き、愛してる。

4月19日(水) 、いよいよTTサーキットアッセンへ

いざSBKを見させてもらって、レースってヨーロッパの文化なんだな、とつくづく感じる場面がたくさんあります。ヨーロッパ内に住んでいれば陸続きで移動ができて、チームの設備やマシンもトラックでどこにでも持っていけます。スタッフやライダーは、国内線の感覚で安く簡単に移動ができて、自分のように自宅からホテルまでのドアtoドアで20時間かかることもありません。航空券が往復で何十万円か、それより一桁安いか。そして、そのトラックが、いちいちデカイ。ライダーもすごいけど、ドライバーもすごいなと。

これは真生騎のチーム。阿部光雄さんに聞いてみたところ、ファクトリーチームの偉い方が、昔々ノリックのメカだったそうで、そのご縁だそう。

雄太のチームのトラックも同じ大きさですが、ホスピタリティとしてもエリアはオーナーや監督が打ち合わせのために使っており、ライダー3人は荷室で着替えます。ピットの割り当てがないサーキットの方が多く、いわゆるテント村生活。雄太はここを、SSP300クラスのライダー二人と、三人でシェアです。

それが冒頭でご覧いただいた、このGoProが炸裂している写真。チーム名はプロディナ・カワサキ・レーシング。

左から、ライダーのお父上、サミュエル・ディ・ソラ(フランス)、岡谷雄太、マッティア・マルテラ(イタリア)、この布陣。
サミュエルは300のベテランになりつつあり、アッセンで活躍するのか、まあ活躍するんですが、それはまた後で。マッティアはルーキーで、雄太にラインやギヤを教わるの図。

ちなみに、プロディナは玉田誠さんがSBKにカワサキファクトリーから参戦していた時の運営チーム。名門なわけです。そんないいチームに入れたのは、それを掴んだのは、雄太のここまでの積み重ねですよね。徐々に語りたい部分ですが、SSP300の世界に飛び込んで、勝つためにチームを移籍して環境を改善して、表彰台に登るようになったのは、本人の正しい努力の証ではないでしょうか。雄太とパドックを歩いていると、これまでのコミュニケーションが貯蓄されていたようで他のチーム関係者からもたくさん声をかけられます。SBKパドックの住民になったんだなーと、おじさんしみじみ。

ちなみに、皆さんご存知のアルパインスターズのSUPERTECH R、レーシングブーツの歴史的名作。日本ではそれのプロトコアレザーモデルが選べますよね。ワールドのパドックで他のライダーから、「ユウタのブーツは真っ赤でいいな、それどこで買えるんだ、買わせろ」なんて言われたことがあるそうな。

色だけじゃなくて素材について語らせろ、と思いましたが、それはREIVLOGで好きに語りましょう。

 

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