全8戦で行なわれる全日本ロードレース。選手権としてJ-GP3/ST600/ST1000/JSB1000クラス、MFJカップとしてJP250クラスの、計5クラスが行なわれていますが、9月28~29日に行なわれた第7戦・岡山大会で、すでに3つのクラスのシリーズチャンピンが決定しました。
シリーズタイトルが確定したのは、JP250、ST600、ST1000の3クラス。JP250は久川鉄平選手(bLUcRU Webike team Norick)、ST600は阿部恵斗選手(SQUADRA TIGRE TAIRA PROMOTE)、ST1000は國井勇輝選手(SDG Team HARC-PRO)の3人で、この3人はすべて、クシタニのレザースーツを着て参戦している、クシタニライダーなのです。
市販250ccスポーツバイクを、最小限のモディファイを施したマシンで戦うJP250クラスでは、戦闘力均等の名目で、ホンダCBRが250cc、カワサキNinjaが2気筒/4気筒とも250ccと、ヤマハYZF-Rが320cc、KTM RCが390ccで公認車両としてとして戦うレース。さらに特徴的なことは、このクラスに国際ライセンス/国内ライセンスのライダーとも参加できること。レースは混走ですが、表彰はクラス別で、チャンピオンも国内クラスと国際クラスの2名が誕生することになります。
2016年からスタートし、今年で9年目を迎えるこのクラスは、これまでカワサキNinja250、CBR250RRがチャンピオンを獲得。そこに、今シーズンはヤマハYZF-R3をライディングする久川鉄平選手が国際ライセンスクラスのチャンピオンを獲得したものです。
久川選手は現在17歳。JP250へ3シーズン目の挑戦で、初チャンピオン。昨年、Webikeのサポートを得てチームノリック入りしてチャンピオンを狙ったんですが、転倒に巻き込まれたり負傷したりで2戦をノーポイントとしてしまい、国内ライセンスクラスのランキング5位に終わっていました。
国際ライセンスに昇格しての24年シーズンでは、開幕戦もてぎ大会で、あわやトップ同着、というレースを飯高新悟(KIJIMA KISS RACING)と演じてハナ差で優勝、そこから第2戦・菅生大会、第3戦・筑波大会と3連勝し、第4戦・オートポリス大会は岡田陽大(bLUcRU AKENO SPEED)に先着されての2位、そして岡山大会では3位に入賞して、最終戦を残してチャンピオンを決めたものです。
「もてぎで僅差で優勝、次の菅生で優勝したことで、落ち着いてレースができるようになりました。ヤマハのbLUcRUカップスカラシップで海外のレースに挑戦できるかもしれないので、この先がすごい楽しみです」と久川選手は言います。
ST600クラスは現在、全日本ロードレースでもっとも激戦区と呼ばれるクラスです。600ccのスポーツバイクをベースとしてST=ストックレギュレーションで戦うクラス。ストックとは、下のST1000クラス同様、改造範囲を狭めてローコスト&イコールコンディション近くとするレギュレーションです。この、マシン差が少ないクラスのため、参戦ライダーも多く、激戦区と呼ばれるクラスとなっているのです。このクラスでは、ホンダCBR600RR、ヤマハYZF-R6、カワサキZX-6Rが参戦していて、ブリヂストンタイヤのワンメイクレース。ランキングで見ると、ヤマハYZF-R6がやや優位のようです。
今シーズンのST600クラスでは、阿部恵斗選手がゼッケン1、つまり前年もチャンピオン。2連覇を目指してシーズンインした24年は、連戦連勝。しかも、2位となったライダーとの差が、開幕戦もてぎ大会では5秒3差、第2戦・菅生大会ではレース1で1秒4、レース2で3秒5、決勝レースが中止となった九州大会ではポールポジション、そして岡山大会では19周予定のレースが14周で赤旗中断から中止となっても、0秒2差で優勝。全5レース全勝で2年連続チャンピオンとなりました。
「全戦ポールtoウィンを目指していたので、岡山大会でポールポジションを獲れなかったのは悔しいんですが、優勝してタイトル決定、それも2連覇を決められたのはよかったです」と阿部選手。
ST1000クラスは今シーズン、アジア選手権とのフルエントリーで臨んだ國井勇輝選手の開幕戦独走優勝で始まりました。ST1000は、ST600と同様ストックレギュレーションのクラスで、ホンダCBR1000RR-R、ヤマハYZF-R1、スズキGSX-R1000R、カワサキZX-10Rの国内4メーカー、さらにBMW M1000RR、アプリリアRSV1100ファクトリーの6メーカーが参戦しています。このクラスは、国内最高峰のJSB1000クラスへのステップアップを狙うライダーやチームが出場。全体的にエントラントの年齢層も若く、将来の日本のレースの主軸を担うライダーが参戦しているクラスと言えます。
今シーズン、開幕戦の公式予選でポールポジションを獲得した國井選手は、レース開始から後方を引き離し、最終的には2位の選手に6秒8、第2戦でも2位の選手に8秒2もの大差をつけて優勝。第3戦・九州大会では、レース1で表彰台に登れずに4位に終わったものの、レース2では巻き返して優勝。チャンピオンを決めた岡山大会では、4レースぶりに予選でポールポジションを獲得すると、今シーズン4回目の優勝を決めてみせました。
「チャンピオンを獲ったのもうれしいんですが、まずここで勝ったのがうれしいです。タイトルは、やっと全日本でチャンピオンが獲れた、っていう感じです。次はアジア、まだチャンピオンの可能性が残っているので、全力でもうひとつ狙っていきたいです」(國井選手)
全日本ロードレースの最終戦は10月27日のMFJグランプリ・鈴鹿大会。チャンピオンが決定していない2クラスのうち、J-GP3クラスで、3年連続チャンピオンのクシタニライダー、尾野弘樹選手(P.MU 7C GALESPEED)の4連覇がかかっています。最終戦を楽しみにしています。