レザーウエアをはじめ、高品質なモノづくりに定評あるバイク用アパレルブランドのクシタニが「カフェ」を展開していることをご存知だろうか。
「なぜウエアメーカーがカフェを?」と不思議に思う人もいるだろうが、クシタニは以前からカフェに力を注いできた。コロナ禍の前は、各社がツーリングの立ち寄りスポットとして道の駅などでコーヒーを提供するイベントを盛んに行っていたが、そのきっかけが’07年から本格開催されたクシタニの「コーヒーブレイクミーティング」。さらに、’10年には箱根大観山に「クシタニカフェ」のポップアップ店をオープンし、大いに賑わった。こうした活動の根底には、バイク用ウエアをつくるだけでなく、ライダーの楽しみやバイク文化を後押ししたいとの思いがある。
大観山店のポップアップ店としての3年間の営業を経て、現在そのコンセプトを発展拡大したクシタニカフェが全国に4店舗展開されている。最大の特色は、なんと言っても本格的なコーヒーだ。クシタニ創業の地、浜松で知られる「ポンポン珈琲」の風味豊かな自家焙煎豆を使用し、くつろぎの一時を提供してくれる。さらに、複雑な旨味がクセになる生ソーセージを用いたホットドッグなど、こだわりのメニューが揃う。落ち着いた雰囲気の内装や、その店舗でしか買えない限定グッズが用意されているのもポイントだ。
4店舗あるカフェで最も知名度が高いのが「クシタニカフェ清水」だろう。多くのライダーとドライバーが立ち寄る新東名高速のサービスエリア=ネオパーサ清水内にあり、現在の4店舗で最も早い’13年にオープンした。
建物に向かうと、外側のディスプレイにクシタニの大きなロゴとバイク2台が展示され、オッと思う。入口付近にあるパフォーマンスストア清水を抜け、奥へ進むとブラックとシルバーを基調にしたカフェが現れる。洗練された空間は、クシタニのウエアに通じるものがあるが、同社のロゴがなければ“バイク用ウエアブランドのカフェ”とは恐らく思えないハズだ。
平日の日中ながら、ネオパーサ清水で唯一のコーヒーショップとあって、客足が途切れることはない。店長によると「90%がライダーではない一般客」とのこと。“クシタニ”を知らない人にブランドをアピールする効果は絶大だろう。このカフェを契機に、バイクに興味を持つ人もいるはずだ。
実際、客席にクシタニのカタログが置かれているが、バイクと縁がなさそうなお客さんがソファでくつろぎながら手に取っていた。ライダーとしては思わず嬉しくなってしまう。
メニューでは、同店でのみ提供される、焼き立てパイを要チェック。名物のホットドッグより軽く食べられるのがいい。また限定のキーホルダー(カフェ1号店なので星が一つ)も必見だ。
文・写真:BIG MACHINE