最高のコーヒーを決める「Cup of Excellence」|クシタニカフェの豆を焙煎している職人談~5話~

最高のコーヒー豆を決める国際的な品評会「“Cup of Excellence”」

今回は、前回のお話の中に突然出て来た“Cup of Excellence”略してCOEについてお話します。
まず“Cup of Excellence”とは何か?
コーヒー豆の生産国(現在ブラジル、コスタリカ、エチオピア 等12ヵ国で開催)
で毎年1回、その年に、その国で出来た最高のコーヒー豆を決める国際的な品評会です。
この時、使われる評価方法を前回お話しました。
“Cup of Excellence”は、1999年にブラジルでトライアルとしてスタートして、2000年から
正式に開催される様になりました。

審査の様子テキスト
国際審査のようす。前回述べたカッピングなどが用いられます
“Cup of Excellence”が始まる前までは、前回お話した様にコーヒー豆の評価は、欠点を探して、欠点がなければ良いという評価でした。これでは、素晴らしい香りや風味を持つコーヒー豆は見つけ出すことが出来ません。簡単に言うとネガティブ評価からポジティブ評価になりました。
“Cup of Excellence”を主催するのは、アメリカのNPO法人「Alliance for Coffee Excellence」略してACEです。
まずACEが、生産国でCOEの開催を生産者に告知して参加者(生産者)を募ります。
生産者は、自分の農園で出来た最高の豆を提出してエントリーします。
生産国によりますが、多い時は数百の農園からエントリーがあります。
これを初めに国内審査員が数回に渡り審査をします。この段階で50〜60農園に絞り込まれます。この50〜60農園に絞り込まれたものをナショナルウィナーとされます。
これを国際審査員(世界から集まってくる審査員 私も国際審査員をしています)が審査を行い、その年の“Cup of Excellence”入賞豆を決定します。
審査員の皆さん
国際審査員の皆さん
優勝した農園のひと
1位となり喜びを表す農園主
国際審査は、共通のスコアーシートを使い評価します。もちろん、世界中から集まる審査員なので評価は分かれることは度々ありますが、ディスカッションを得て審査員の平均点が
86点以上のものを入賞豆とします。
概ね、20〜25農園が“Cup of Excellence”の称号を受けることになります。
これらは、評価点数で1位からランキングされます。そして、品評会の最後に生産者を呼んで盛大なセレモニー(表彰式)が行われます。この時下位の順位から発表されるので上位の入賞が発表される時は大盛り上がりです。
こうして、決定された“Cup of Excellence”の豆はインターネットの公開オークションに掛けられ最高価格を付けた人が落札する形で売買されます。このオークションは、生産者もネットで見ているので入賞した農園主は、自分の豆の値段が競り上がっていくのを、手に汗握りながら見ている事でしょう!
最近は、トップクラスの順位だと夢の様な金額になることもあるので生産者は、ワクワクドキドキのオークションですね。
入賞者全員集合 
入賞し“Cup of Excellence”の称号を受けることとなった農園主達。
“Cup of Excellence”のプログラムは、ただ入賞者が高額の報酬を得るだけでなく農園と実需(ロースターやインポーター等)を結びつけたり、生産者が良いコーヒー豆を生産する動機にもなる素晴らしいプログラムです。

コーヒー屋ポンポン


羽田圭伸(はねだ けいしん)
静岡県浜松市のスペシャルティコーヒー豆専門店「コーヒー屋ポンポン」のマスター。自身もバイク乗りで、店名のポンポンは遠州地方の言葉でバイクの意。クシタニ カフェのコーヒーの監修とコーヒー豆の供給を行う。ジャパン・バリスタ選手権審査員、カップ・オブ・エクセレンス国際審査員。店内にはオリジナルブレンドで人気の「カフェ・ポンポン」をはじめ、「カフェ・ガードナー」「カフェ・クロスビー」「カフェ・ロッシ」などライダーに所縁ある名の商品も並ぶ。

 

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