【特別インタビュー】クシタニがサポートするロードレース世界選手権ライダー:鳥羽海渡選手

2019年、クシタニはロードレース世界選手権Moto2™クラス、Moto3™クラスで活躍する4人のライダーへのサポートをスタートしました。今回は、そんなクシタニのレーシングスーツで世界を舞台に戦うライダーをご紹介。MotoGP™第9戦ドイツGPにて、Moto3™クラスに参戦するライダーをインタビューした模様をお届けします。

鳥羽海渡 選手/Honda Team Asia(Moto3™クラス)

世界選手権Moto3™クラスに参戦中の鳥羽選手。2019年シーズン開幕戦カタールGPで優勝を飾ったことは、記憶に新しいでしょう。この優勝は鳥羽選手としても自身初、日本人としてもMoto3™クラス初。さらに世界選手権の最軽量クラスとしては、2007年カタルーニャGPにて、Moto3™クラスの前身であった125ccクラスで小山知良選手が優勝して以来の快挙となりました。

鳥羽選手は2000年生まれの19歳。レーシングライダー鳥羽海渡は、どのようにして誕生したのでしょうか。

「両親が公道でバイクに乗っていて、3、4歳のころからその後ろに乗るのが好きでした。4歳のクリスマスのとき、自分から『電動ポケバイ(ポケットバイク)がほしい』とサンタさんにお願いしたんです。サンタさんが電動のポケバイをプレゼントしてくれて、それからは毎日、公園で乗っていましたね。それでどんどんバイクに乗るのにハマっていったんです」

「5歳になるときにはエンジン付きのバイクに乗りたい、と両親にお願いしました」と鳥羽選手。ご両親のつてでエンジン付きのポケバイに乗ると、一気にその魅力に引き込まれたそうです。

「『これしかない』と思いました。その瞬間は覚えています」

以降はミニバイク、そして2013年からは全日本ロードレース選手権J-GP3クラスへとステップアップ。2014年には全日本J-GP3クラスと同時にアジア・タレントカップにフル参戦し、初代チャンピオンに輝きました。

さらに翌2015年からは、MotoGP™への登竜門として位置付けられるレースとして有名なFIM CEV レプソルMoto3™ジュニア世界選手権、レッドブルMotoGP™ルーキーズカップにもエントリー。2017年にはHonda Team Asiaのライダーとして、世界選手権Moto3™クラスデビューを果たすのです。

2019年でMoto3™クラス参戦3シーズン目を迎えた鳥羽選手。いつ、レーシングライダーになろうと心に決めたのでしょうか。そう尋ねると、「2007年です」ときっぱり。

「MotoGP™の日本GPを初めてツインリンクもてぎへ見に行ったとき、『ここで走りたい』と思いました。7歳のときですね。目の前でグランプリを実際に見て、『絶対にここで走りたい』って」

7歳のときの決意を覚えている人が、どのくらいいるでしょう。鳥羽選手にとって、そのときの決意が揺るぎない大きなものだったことが、その口ぶりから伝わってきました。

ちなみにこの2007年のMotoGP™日本GPは、幼い鳥羽選手がケーシー・ストーナー選手のファンになったレースでもあったのだとか。ストーナー選手はドゥカティやホンダのファクトリーチームで活躍し、2度のMotoGP™チャンピオンを獲得した元MotoGP™ライダー。2012年をもって現役を引退しています。

「もてぎに行くまでは(バレンティーノ・)ロッシ選手のファンでした。そうしたら2007年、ケーシー・ストーナー選手が目の前でチャンピオンを獲得したんです。それでたぶんストーナー選手のファンになっちゃったんですかね。それ以降はずっと、ストーナー選手のファンでした」

「動きやすくて安全性が高い」鳥羽選手が語るクシタニのレーシングスーツ

そんな鳥羽選手、クシタニのレーシングスーツ歴は2013、2014年の全日本J-GP3クラス参戦のころからあわせ、2019年で通算3年目。クシタニのレーシングスーツの印象について聞くと、「いいところしかないです」という答え。

「クシタニのレーシングスーツは革がすごく柔らかくて、動きやすいんです。また、転倒したとき、革が破れにくいんですよね。安全面もしっかりしていると思います。クシタニは市販のものも、自分たちが着ているのものも、全く差がありません。そういう点で、市販のものを買う方たちも安全に着られると思います」

鳥羽選手が言うように、クシタニが鳥羽選手をはじめとする世界選手権のMoto2™クラス、Moto3™クラスのライダーに供給するレーシングスーツは、『ARISE SUIT』(NEXUS-Ⅱ)というモデルをべースにしたものとなっています。

「(レーシングライダーは)バイクの上でかなり動くので、そのときにレーシングスーツがきついと動きが鈍くなってしまいます。そういう面では、アドバンテージはかなりあると思います。コントロール性も上がると思います」

「それに、転倒しても革が破れにくいんです。今のところ、僕が着ているクシタニのレーシングスーツは破れたことがありません。なので、万が一転倒したときのことを考えると、安心感はありますね」

「安定して結果を残したい」と2019年シーズンの後半戦に意気込み


鳥羽選手が戦うMoto3™クラスは、4ストローク単気筒250ccエンジン搭載のマシンによって争われる、世界選手権の最軽量クラスです。Moto2™クラス、MotoGP™クラスへのステップアップを目指す若手ライダーがこぞって参戦して、しのぎを削っています。Moto3™クラスを戦ううえでの難しさを、鳥羽選手はこう説明します。

「ライダーの差もバイクの差もかなり少ないクラスです。そのため、スリップ(ストリーム)の重要さもありますね。排気量が小さいだけに、風の影響を受けやすいので。実力があっても常に前でいられるのは難しくなってきていると思います。また、混戦なので、運も大事かなとは思います」

そんな激戦のMoto3™クラスの開幕戦カタールGPで優勝を果たした鳥羽選手。カタルーニャGPではトップを走りながら最終ラップで転倒を喫するなど、惜しくも表彰台を逃すレースもあり、ドイツGPを終えてランキング10番手につけています。

鳥羽選手は「開幕戦で優勝しただけに、この表彰台一回だけだとその優勝も忘れ去られてしまいます。そう考えると、まだ全然、納得できる結果は出せていないです」と前半戦を振り返りました。

「後半戦は、もう少し安定して結果を残していきたいと思います。そのためにサマーブレイク中にフィジカル面も鍛えて、後半戦に乗り込んでいきたいと思っています」

インタビューに終始、落ち着いた口調で答えてくれた鳥羽選手。クールながら、時折はにかむようにほころばせる表情が印象的でした。後半戦、鳥羽選手が再び表彰台の頂点に立つ姿を心待ちにしたいですね。

鳥羽海渡 選手/Honda Team Asia(Moto3™クラス)
2000年4月7日生まれ。福岡県出身。
2013年:全日本ロードレース選手権 J-GP3クラス 参戦
2014年:全日本ロードレース選手権 J-GP3クラス ランキング3位
アジア・タレントカップ 初代チャンピオン
2015年:FIM CEV レプソルMoto3™ジュニア世界選手権 参戦
レッドブルMotoGP™ルーキーズカップ ランキング ランキング9位
2016年:FIM CEV レプソルMoto3™ジュニア世界選手権 ランキング4位
レッドブルMotoGP™ルーキーズカップ ランキング5位
2017年:ロードレース世界選手権 Moto3™クラス ランキング30位
2018年:ロードレース世界選手権 Moto3™クラス ランキング22位
2019年:ロードレース世界選手権 Moto3™クラス ランキング10位 ※第9戦ドイツGP終了時点

写真提供:Honda Team Asia

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