欧州出身2人のバトルが繰り広げられる。D.I.D全日本モトクロス選手権第8戦埼玉トヨペットCUP

KUSHITANIは今季よりオフロードウエアを展開し、D.I.D 全日本モトクロス選手権2023シリーズに参戦中のオートブラザーズ所属ビクトル・アロンソと、TEAM YAMAMOTO所属の楠本菜月へシーズンを通してサポート。10月28日(土)〜29日(日)に行われた第8戦では、ドイツ出身のブライアン・スーがスポット参戦をし、ビクトルとのトップ争いを展開した。

ドイツからの挑戦者、ブライアン・スーとのトップ争いが白熱

埼玉県にあるオフロードヴィレッジで開催された第8戦。晴れ予報が一転、予選日の朝に雷雨が襲い、コースはマディコンディションとなった。決勝日にはコース状況が回復したものの、深い轍が残る路面にライダーたちは苦戦を強いられた。

今大会、IA2クラスにドイツ出身のブライアン・スーがスポット参戦した。スーは2014年ヨーロッパ選手権EMX125クラスでチャンピオンを獲得し、一時怪我により戦線離脱したものの、現在もフランスやイタリアのスーパークロス選手権で活躍を続けている、実力の高いライダーだ。彼の参戦にあたりKUSHITANIではウエアをサポート。全日本の舞台でどれほどの活躍を見せるのかに注目が集まった。また、同じくKUSHITANIのサポートライダーであるビクトルはIA2クラスのポイントリーダーであり、スペイン出身。欧州出身の2人によるトップ争いが見どころとなった。

決勝は15分+1周の3ヒート制。スタートで前に出ることが勝利につながる超スプリントレースだ。ヒート1ではビクトルが3番手、スーが6番手からトップを追いかける展開となった。ビクトルは序盤で前を走るライダーをかわしトップへ浮上。その後も後方との差を広げていく。一方、スーも実力が拮抗するトップライダー達をかわすのは容易ではない中、着実に追い上げて2番手にまで浮上。さらにビクトルとの距離を詰めプレッシャーを与えていくも、終盤にリヤタイヤがパンクしスピードダウンしてしまう。結果、ビクトルが1位を守り切ってゴール。スーは後方から迫る鴨田翔を抑え、2位でフィニッシュを果たした。

ヒート2もビクトルが好スタートを決め、序盤でトップに浮上。そのまま単独走行へ持ち込む。一方、スーは序盤で7番手につける。スタート後の接触でクラッチレバーが折れ、アクセルとブレーキのみでコントロールしながらの追い上げとなったが、それでも前を走るライダーをかわしていき、レース後半で3番手までポジションアップ。そのままゴールし、表彰台を獲得した。なお、トップを快走していたビクトルはレース終盤にマシンがストップ。再スタートすることができずDNFとなった。

ヒート3ではスーがスタートからトップに立ち、独走状態へ。一方、ビクトルはスタートで出遅れ、7番手からトップを追いかけていく。ビクトルは徐々に順位を上げていくと、レース終盤には3番手へ浮上。さらに2番手を走る横澤拓夢に迫り、バトルを繰り広げる。横並びになる接戦の中、ビクトルが隙をついて横澤をパスしチェッカー。1位スー。2位ビクトルという結果になり、全ヒート表彰台に上がったスーが総合優勝を獲得した。

ビクトル・アロンソ コメント
「良いレースができた一日だったよ。ヒート2はマシントラブルでDNFになって残念だったけど、誰にでもミスはあることだから仕方ないね。ヒート1は優勝できて、ヒート3はスタートで出遅れたけど最後に2番手まで上がることができてとても嬉しい。表彰台にのぼれなかった前大会はメッシュスタートで、雨でグリッドが滑りやすくて上手く自分のスタートができなかったんだ。今回も同じメッシュスタートだったけど、グリッドは乾いていて、上手くスタートできたことで前に出れた。轍がたくさんあってとてもテクニカルなコースだったけど、こういうテクニカルなコースが好きだから、今回自分のポテンシャルを発揮できたと思うよ」

ブライアン・スー コメント
「去年は怪我で1年間走れていなくて、モトクロスのレースは今回が3戦目だった。日本でレースをするのは初めてで、全てが新鮮だったよ。予選日は雨がたくさん降ってかなり苦戦したね。マシンを調整して決勝に挑んだけど、ヒート1の最後の5分くらいでタイヤがパンクして、ヒート2は他のライダーと接触した時にクラッチレバーが折れて、レバーが宙を舞ったのが見えたよ(笑)。特にクラッチを使わず走るのは、テクニカルなこのコースではとても大変だった。エンジンが止まらないようにコントロールしながら走って、3位まで追い上げることができたのはよかったと思う。レースを重ねるごとにマシンとコースに慣れて、ヒート3はスタートからトップを走れて完璧なレースだった。結果をまとめることができてよかった。また、ヨーロッパのコースはハイスピードコースだけど、ここオフロードヴィレッジはジャンプの後にすぐコーナーがあって、スーパークロスみたいなコースだね。テクニカルなコースは好きだし、この大会に参戦する前はヨーロッパのスーパークロス選手権に出場していたから、その練習を生かすことができたと思う。日本人ライダーも速くて、レース中にぶつかり合うほどアグレッシブだとは思ってなくて驚いたよ! 僕は台湾とのハーフということもあって、アジアには馴染みがあるんだ。今後もアジアでのレースシーンで活躍したいと思っているよ」

追い上げのレース、安定感ある走りで6位入賞

レディースクラスは第6戦から1ヶ月半ほどのインターバルを経て今大会を迎えた。前大会では転倒により決勝出場をキャンセルした楠本だったが、今大会は土曜日に行われた予選で6位を獲得。安定した走りに決勝も期待がかかった。

 

レディースクラスは15分+1周の1発勝負で競われる。楠本はスタートで出遅れ序盤を11番手で走行。追い上げの展開となった。荒れた路面と深い轍がライダーたちを翻弄する中、楠本はラインを見極めつつ前のライダーをかわしていく。10番手、8番手、7番手と徐々に順位を上げていき、レース終盤で6番手に浮上。レースはここでタイムアップとなってしまったが、路面に翻弄されない安定感と追い上げの強さを発揮したレースとなった。

レースを振り返って楠本は「6位という結果に終わってしまって悔しいです。全体としては調子が良かったのですが、自分の走りをすることが出来ませんでした。ただ2日間怪我をすることなく走りきれたのは良かったです」とコメント。悔しい結果となった今大会を糧に、最終戦も全力で挑んでくるだろう。なお、第8戦終了時点で楠本はポイントランキング10位につけている。最終戦でどこまでランキングを上げることができるか、楠本の走りに注目だ。

次戦はついに最終戦。11月11日(土)〜12日(日)に宮城県のスポーツランドSUGOで開催される。ビクトルが年間チャンピオン獲得なるか、楠本のポイントランキングの行方はどうなるか、両者の活躍は最後まで見逃せない。

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