48歳、これからのスポーツライディングを考える|第2回【HSR九州で開催される鉄馬コンチネンタルGT650で参戦! 決勝レースはBMW R75/5と一騎打ち】

サーキットを走るスポーツライディングは今も大好き。しかし、ハイパワーなスーパースポーツ&ハイグリップタイヤでレースに挑むのはちょっとリスキー……。そんな気持ちが芽生えつつある心境や年齢になってきた。そこで選んだのが、空冷ツイン、鉄フレーム、18インチホイールのロイヤルエンフィールドのコンチネンタルGT650で走る九州HSRのイベントレースである鉄馬。このパッケージでどこまでいけるか挑戦!

さらに進化が進むコンチネンタルGT650レーサー

Picture of 小川勤|TSUTOMU OGAWA
小川勤|TSUTOMU OGAWA

バイク専門誌に25年ほど携わり、10年ほど編集長を経験。その間、国内外の様々なバイクに試乗。2022年よりフリーランスのジャーナリストに(身長165cm)。

ロイヤルエンフィールドのコンチネンタルGT650をレーサー化。クラシカルに見えるが新車で買える空冷ツインで、味わいと気持ちよさ、そしてスポーツ走行が楽しいスペックを持つ。マシンはモトジャンキーが制作。レーシングスーツはクシタニ、ヘルメットはアライヘルメットで専用デザイン。ピレリ、カスノモーターサイクルなどたくさんの仲間に協力してもらって完成した。

前回の走行からレースまでの短い期間で、モトジャンキーの中尾さんはさらに細部を突き詰めていく。レースウィーク直前に熊本のモトジャンキーを訪れ、激変したコンチネンタルGT650レーサーと対面。エンジンとサスペンション、そして全体の重心バランスに手が入ったレーサーはこれまでとは異なるオーラを放っていた。

エンジンは大分のサンタバイクの安東さんとともに燃調や点火のセッティングを煮詰めてもらったところ、約5psアップの45psを発揮。

さらにサスペンションはモトジャンキーの吉松さんがテスト走行してくれ、フロントフォークのバネレートや油面を変更。またガソリンタンクは中尾さんがアルミのインナータンクを作り、FRP製のカバーも製作してくれた。

このチューニングがコンチネンタルGT650レーサーを飛躍させた。鉄馬の予選はあいにくのウエットだったが、その手応えは抜群で、エンジンは明らかに速く扱いやすくなり、前後サスはバランスを増し、マシン上部にあるタンクの軽量化はマスの集中に貢献していた。予選はなんとクラス1位!これは決勝が楽しみだ。

ライバルは年式は古いものの、リッタークラスが勢揃い!

ライバルはBMWのR75/5、ハーレーダビッドソンのXLH883、XL1200R、モト・グッツィのル・マン3。決勝はスタートで排気量のある多くのバイクに抜かれるものの、中盤からはリトモアルベーロの土屋さんの駆るBMWのR75/5と一騎打ちに。980ccにチューンされた土屋さんのR75/5はとにかくストレートでよく伸びる。コーナーで前を伺おうと試みるものの、648ccのコンチネンタルGT650はまったく追いつかない。あえなく後塵を拝する結果になってしまった。

しかし、チェッカー後ピットに戻る途中、多くの方が声をかけてくれるのがたまらなく嬉しかった。鉄馬に参戦してよかった、ロイヤルエンフィールドのコンチネンタルGT650でレーサーをつくってよかった。優勝した土屋さんとも言葉を交わす。悔しい気持ちは、すぐに清々しい気持ちへと変わっていく。

実況をしてくれた元世界GPライダーの青木宣篤さんも随分と僕をいじってくれたみたいで、レース中はかなり盛り上がっていたようだ。このレースに関わってくれた多くの仲間に感謝しかない。レースは1人ではできないから、こうした人との繋がりはとても大切だ。

決勝後は、ロイヤルエンフィールドのブースにレーサーを飾った。そこでは「このバイク売っているの?」「何ccなの?」「パーツは売っているの?」と、まだまだ認知が足りないことも痛感。ただ、「650なのによく走るね〜」とか「いくらかかるの?」など具体的なことを聞いてきてくれる方も多かった。

また、今回は鉄馬決勝日にHSRでロイヤルエンフィールドのミーティングも開催。普段はサーキットを訪れない、若い世代のロイヤルエンフィールドユーザーが集まってくれたのも嬉しいことの一つ。ロイヤルエンフィールドのテントの周りだけ、年齢層がとても若く、近年のサーキットにはない新しい空気感に包まれていた。

久しぶりのイベントレースはコンチネンタルGT650の程よいパッケージのおかげで、存分に楽しむことができた。速さに翻弄されることなく、自分のペースや好みでバイクを仕上げられたし、カスタムやチューンできちんと答えが帰ってくるしっかりとしたエンジンとシャシーも魅力だった。まさに48歳の僕が求める理想のスポーツライディングの答えがここにあるような気がした鉄馬参戦だった。

クラス1位からスタートした決勝だが、排気量が小さいため1コーナーまでに多くのバイクに抜けれる。しかし、コンチネンタルGT650レーサーはコーナリングがとてもよく、インフィールドが速いのだ。決勝はBMW R75/5を駆るリトモアルベーロの土屋さんと一騎打ち。鉄馬は表彰台でのシャンパンファイトが炭酸水なのでずぶ濡れになっても安心⁉︎

タイヤはピレリのファントムスポーツコンプをチョイス。クラシカルに見えるけれど、中身はラジアル、コンパウンドはハイグリップで、安心して攻めることができた。

コンチネンタルGT650レーサーは11月10日までロイヤルエンフィールド東京ショールームに展示中!

次回、九州鉄馬の参戦は2024年になるが、「やっぱり秋にもレースをしたいよね!」という話になり、筑波サーキットで9月24日に開催されたMAX10にエントリーし、参戦してきた。MAX10はエントリーは外車のみで、筑波サーキットコース2000で1分10秒を切ったら卒業となるクラス。他にもMAX6やMAX4クラスも用意される。果たして1分10秒を切って卒業することができるだろうか? 

ちなみに筑波サーキットでのMAX10を終えた、コンチネンタルGT650レーサーは、ロイヤルエンフィールド東京ショールームに展示中。コンチネンタルGT650のNewモデルの試乗もスタートしているので、是非とも訪れていただきたい。

左はモトジャンキーの中尾さん、真ん中がAELLA(アエラ)ブランドでお馴染みのカスノモーターサイクルの青木さん。多くの仲間の協力で、マシンはみるみると良くなっていった。

ステップやハンドル、タンクエンドのストッパーはアエラ製。すべてプロトタイプとなる。

48歳、これからのスポーツライディングを考える|第3回【走り慣れた筑波サーキットで開催されるMAX10に参戦!】に続く。

久しぶりにスプリントのイベントレース参戦。もちろん鉄馬は初参戦。筑波サーキットで開催されるMAX10に向け、さらなるポテンシャルアップを狙う。

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