他を圧倒する追い上げで総合3位を獲得した第4戦。スペインのビクトル・アロンソが挑む全日本モトクロス広島大会

KUSHITANIは今季よりオフロードウエアを展開し、オートブラザーズ所属のビクトル・アロンソとTEAM YAMAMOTO所属の楠本菜月へシーズンを通してサポート。D.I.D 全日本モトクロス選手権2023シリーズ第4戦中国大会TOHO RACING Cupでは、両者ともに怒涛の追い上げを見せた

苦しい追い上げから勝利を掴んだヒート2

D.I.D 全日本モトクロス選手権2023シリーズ第4戦は、2年ぶりに広島県にある世羅グリーンパーク弘楽園で開催された。このコースはアップダウンが激しく、路面が硬くて滑りやすいハードパックであることが特徴。ハイスピードな展開になるレースの中でいかにマシンをコントロールしていくか、ライダーには高度なテクニックが求められた。

KUSHITANIのサポートライダーであるビクトル・アロンソはIA2クラスにヤマハYZ250Fで参戦。これまで第2戦、第3戦と連勝を重ねており、その勢いはレースを重ねるごとに確実に増している。また、アロンソの故郷であるスペインのコースはハードパックが多く、今大会もアロンソにとって有利に働くかと思われた。

予選はクラス内トップタイムで1位通過。調子の良さを示していたが、ヒート1ではスタート後に転倒し、最後尾からの追い上げを強いられた。今大会のレースフォーマットは前大会と同様の30分+1周の2ヒート制。序盤で失敗をしても追い上げる時間は十分にある。29番手から周回を重ねるごとに2台、3台とかわし、レース中盤には13番手までポジションアップ。そこからさらにペースを上げていき、ラスト2周というところで7番手に浮上した。最終ラップにはクラス内トップタイムとなる1分47秒台を記録。6番手を走る鈴村英喜に迫るが、ここでタイムアップとなり7位でフィニッシュ。凄まじい追い上げでその実力の高さを示した。

ヒート2もスタートで出遅れ7番手からの追い上げという展開に。アロンソの前を走るのは調子を上げてきている強豪ライダーたちであり、彼らをかわしていくのは簡単なことでない。しかし、そんな状況でも冷静にラインを見極め、着実に順位を上げていく。アロンソが得意としたのは後半のセクションで、難しいリズムセクションを3個一気に飛びきることで前走者との距離を詰め、その後誰よりも低いスクラブ(ジャンプの高さを出さないよう、バイクを寝かせて飛ぶテクニック)を駆使し、さらに最終コーナーでは速いスピードでイン側をまわってトップライダー達をチャージ。ライバルたちのブロックも見事にかわし、レース中盤でトップに浮上した。その後も後方からの追撃を振り払い、レース後半には単独走行へ。結果、2番手と14秒ほど差をつけてトップでゴールを果たした。

アロンソは「ヒート1はスタート後の転倒で左腕を痛めたこともあって、なかなか調子を上げることができなかったけど、7位まで追い上げることができたのは良かったと思う。ヒート2も良いスタートを決めることはできなかったけど、そこから追い上げて1位を獲得することができて嬉しいよ」とコメントした。なお、ヒート1が7位、ヒート2が1位で総合結果は3位。依然としてポイントランキングトップを維持している。

第5戦の北海道大会は約1ヶ月のインターバルを経て、7月30日(日)に行われる。IAクラスのみの開催で、レース内容は25分+1周と15分+1周という変則2ヒート制。イレギュラーなフォーマットにどう対応していくか、次戦での活躍にも期待したい。

今季初の2ヒート制、上り調子でサマーブレイクへ

通常15分+1周の1ヒート制で競い合うレディースクラスだが、今大会は2ヒート制で開催。土曜日にヒート1、日曜日にヒート2があり、ヒートごとのバトルに注目が集まった。

ヒート1、楠本は好スタートを決めて4番手につけると、上位ライダーに迫る勢いを見せる。しかし序盤でトップとの差が開くと徐々に後退。6番手を走行していく。レース中盤には5番手に順位を上げるが、ラストラップで追い上げてきた川井麻央に前を譲るかたちでフィニッシュとなった。

ヒート2はスタートで出遅れ、11番手から追い上げるレース展開となった。3周目に8番手、4周目に7番手、6周目には6番手までポジションをアップし、怒涛の追い上げを見せていく。この勢いを止めることなく5番手を走る箕浦未夢をロックオン。0.8秒差というところまで迫るが、惜しくも抜かすことができず6番手でゴール。両ヒートとも6位で、総合結果7位という結果となった。

レースを振り返って楠本は「今回の第4戦広島大会では2ヒート制での開催でしたが、どちらのヒートも目標には届かない結果となってしまいました。でも、昨シーズンからの課題だったスタートは少しずつ良くなってきています。次戦の名阪大会まで2ヶ月のインターバルがあるのでしっかりと練習していきたいと思います」と前向きなコメント。

レディースクラスが開催される第6戦は9月9日(土)〜9月10日(日)、奈良県にある名阪スポーツランドで行われる。このコースは楠本が乗り慣れた地元ということで、次戦での活躍を楽しみにしていたい。

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