<Moto2>小椋藍 今シーズン初表彰台! ~反撃開始!悲願のワールドチャンピオンへ

今シーズン初めて表彰台に登壇した小椋 レース後のパルクフェルメでは珍しく感情をあらわにする小椋の姿があった

走る環境が大きく変わった2024年シーズン

5シーズンにわたって在籍したチームアジアから、新チーム「MTヘルメッツMSI」へ移籍、さらにはマシン面でも、これまで使用していたカレックス製フレームからボスコスクーロ製フレームへ変更、ワンメイクタイヤも今シーズンから、ダンロップに代わってピレリが使用されることとなり、大きく走る環境が変わった小椋藍。

24年シーズンは、Moto2クラスに参戦して4年目となるだけに、Moto2でチャンピオンを獲ってMotoGPに昇格する――という秘めたる想いを実現させる勝負のシーズンだ。

ここまで予選順位が良くなく、後方からの追い上げを強いられている小椋 フランスGPでも予選終盤にマシントラブルがあり、タイムアタックできないままの17番手

「新しいフレームは、これから乗り込んでいかないと深いところの特性は分からないけど、ピレリタイヤはこれまで以上にもっとライダー間の差がなくなるんじゃないかな、と思います。グリップが高くてライフも長いから、タイヤが消耗してからの勝負がなかなか決まらなくなるかもしれません」とは、今シーズンが始まる前にインタビューした小椋のコメント。

そして、いざシーズンが始まってみると、日本のファンは小椋の予想外の苦戦を目の当たりにすることになる。

開幕戦カタールGPでは予選13番手から決勝4位とまずまずのスタートを見せたものの、第2戦ポルトガルGPでは予選7番手から決勝5位、第3戦アメリカズGPでは予選17番手から決勝7位、そして第4戦スペインGPでは予選17番手から決勝6位――。悪くはないが、良くもない。悲願のワールドチャンピオンを目指すには、今ひとつ物足りない戦いが続いていた。

スペインGP後に行なわれたオフィシャルテストでは、マシンが大破する大転倒を喫したもののケガはなく、フランスGPへ。ここで、小椋の今シーズン最初のターニングポイントがやって来る。

公式予選では、Q2にストレート進出するものの、予選では最後尾の17番手スタート。この位置からスタートするのは3戦連続だったが、予選終盤でマシントラブルがあって、タイムアタックのチャンスを逃してしまっての結果だった。

新チーム「MTヘルメッツMSI」は今シーズンからMoto2クラスへの参戦をスタート 現在はチームメイトのガルシアがランキングトップにつけている

しかし決勝レースでは、6列目からのスタートで序盤からペースよくポジションを上げ、オープニングラップで6台抜きを見せて11番手まで浮上すると、3周目に9番手、6周目に8番手、8周目に7番手、そしてレース中盤13周目に5番手に浮上すると、その後もペースを落とすことなく、5番手を走っていたラスト5周という局面で、ポイントリーダーのジョー・ロバーツをパスして4番手に浮上してみせる!

しかし、目前の2番手争いは約1秒先。小椋の追い上げもここまでか、と思われたものの、最終ラップでアーロン・カネットをかわすと、そのまま2番手を走るアロンソ・ロペスをもパス! 誰もがタイヤの消耗に苦しむ最終ラップの戦いは、絶好調時の小椋の勝負強さを思い起こさせるものだった。やはり小椋、終盤に強い!

23年の日本GP以来の表彰台。このレースを勝ったのがセルジオ・ガルシアだったため、24年がMoto2デビューイヤーである新チーム、MTヘルメッツMSIの1-2フィニッシュだ。

 

6列目17番手からのスタートでスタートが決まっての追い上げを成功させた小椋 1周目の6台抜きがポジションアップのカギだった

「言葉がないですね! 土曜はちょっと苦しんだけど、表彰台に上がれるなんてサプライズ! また後ろの方からのスタートだったから、表彰台争いができるなんて思わなかった。このレースで初表彰台なんて、すごくいいサプライズになりました!」とは小椋。

今シーズンのここまでの戦いよりも、レース後半のペースダウンがライバルたちよりも少なく、終盤にポジションを上げる、小椋らしいレースがやっと見られたフランスGP。全22周をすべて1分36秒7以内で揃えたのは、全ライダー中で小椋ただ一人だ。

普段は感情を表に出すことが少ない小椋がはじけるような笑顔を見せた、新チーム、ニューマシンでの初表彰台だった

これで小椋のシリーズランキングは4位。ランキングトップのチームメイトまで26ポイント差。小椋がMoto2シリーズランキング2位を獲得した22年には、5レースを終わってランキングトップまで34ポイントもあったことを考えると!
あるぞ、藍の24年Moto2ワールドチャンピオン!

<写真提供/Honda>

最新情報をチェックしよう!