怒涛の追い上げ、マディコンディションで見せる速さ。D.I.D全日本モトクロス選手権第7戦HSR九州大会

KUSHITANIは今季よりオフロードウエアを展開し、D.I.D 全日本モトクロス選手権2023シリーズに参戦中のオートブラザーズ所属ビクトル・アロンソと、TEAM YAMAMOTO所属の楠本菜月へシーズンを通してサポート。10月8日に行われた第7戦HSR九州大会では、1日中雨が降り続き、マディコンディションに苦戦を強いられた。

第7戦は、熊本県にあるHSR九州で開催された。このコースはアップダウンが少なくコース幅が広いハイスピードトラックとしても知られている。今大会はIAクラス限定の開催ということで、30m級のジャンプやリズムセクションを新たに加えるなど、さらにハイレベルなレイアウトに変更された。当日は朝から雨が降り続き、コースはマディコンディション。路面は滑りやすく、レースを重ねるごとに轍は深くなっていくため、ライダーたちにはベストラインを見極め、滑りやすい路面でもスピードを乗せていくテクニックが求められた。

ビクトル・アロンソは250ccマシンで競うIA2クラスに参戦しており、第6戦を終えた時点でポイントランキングトップに立っている。しかし、ランキング2位につける横澤拓夢との差は17ポイントと僅差であり、第7戦では少しでもその差を広げることが重要となった。また、レースは2ヒートとも20分+1周で行われ、大会最後には、新たな試みとして導入されたIA-OPENクラスが開催。これは各クラス2ヒートを終えた時点で総合15位以内に入ったライダーが参加できるクラスで、450ccマシンで競うIA1ライダーと250ccマシンを駆るIA2ライダーが同じ土俵で競い合う。15分+1周の1ヒートで行われたIA-OPENクラスの行方にも多くの注目が集まった。

ライバルとの差を広げられるか

1DAY開催ということで、予選はタイムアタック形式で行われた。ビクトルは他のライダーと4秒ほど差をつける速さで予選をトップ通過。前大会からのインターバル期間では地元スペインに帰ることなく日本で練習を重ねてきたといい、その成果もあってか好調なライディングを見せていた。しかし、ヒート1ではスタートで出遅れ序盤で9番手からの追い上げを強いられる。チャンピオン争いをしている横澤は4位と、ビクトルよりも上位につけており、両者がこの順位のままレースを終えれば一気に6ポイント差が縮まることとなる。ビクトルはレース後半にかけて順位を上げていき、結果は6位でフィニッシュ。横澤は順位を落とし5位になったため、差はわずか2ポイント縮まることとなった。

各クラス1ヒート目を終え、コースが荒れてきたヒート2。ビクトルはこのヒートもスタートで前に出ることはできず、序盤で8番手につけると、その翌周に転倒し15位までポジションを落としてしまう。轍が深くなり、走行ラインも限られてくるコース状況でビクトルは追い上げに苦戦。結果11番手でゴールとなった。

ヒート2を終えた時点でビクトルの総合順位は8位となり、今大会最後に行われたIA-OPENクラスに進出した。レースは15分+1周。パワーのある450ccマシンがスタートで有利となり、トップ集団はジェイ・ウィルソン、小方、能塚、大城、富田といったIA1ライダーが占めていた。一方、ビクトルはレース前半で19番手からの追い上げを強いられる展開。IA1とIA2が混在する中、彼は勢いを落とすことなく、1周ごとに1人〜3人をパスし、レース終盤には9番手にまでポジションアップ。短いレース時間の中怒涛の追い上げを見せ、そのままゴールを果たした。

3ヒート総合は6位となり、チャンピオン争いを展開している横澤との差は18ポイント。依然として接戦は続くため、次戦も気を抜けない状況だ。

次戦は10月28日〜29日に埼玉県にあるオフロードヴィレッジで開催される。なかなかトップ争いに食い込めない苦しい状況が続いているが、次戦はアロンソのチーム拠点から一番近いコースであり、ビクトルとしても乗り慣れているコースのため、活躍が期待できるだろう。また、第8戦にはドイツ出身のブライアン・スーがIA2クラスにスポット参戦する。ともに欧州を走ってきたビクトルとブライアン・スーのバトルにも注目だ。

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