2026年、二輪ロードレースの世界最高峰カテゴリーであるMotoGPの最高速記録が更新されました。その記録は、時速368.6km。(※2026年10月現在)
ちなみに新幹線の最速時速は320kmと言われており、それと比較しても限られた装備でライダーがいかに過酷な状況下で機敏にマシンを操っているか想像につきがたいものがあります。
この極限状態で数ミリ単位の操作やライン取りなどを行うため、ライダーには強靭なフィジカルとメンタルが求められます。しかし、いくら世界トップクラスのライダーとはいえ過密な集団という状況下や一瞬の判断ミスによって事故は避けられない場合もあります。
それゆえにレザースーツとギアも常に進化を続けており、いかにライダーを守れるか試行錯誤してきました。その歩みにゴールはありません。
なぜ、レーシングスーツの素材は革なのか?
昨今では一般ライダーにもバイク用エアバッグの認知も高まっていますが、レーシングスーツのベースとなる素材は「革」であることに変わりはありません。その理由は、転倒時にアスファルトの摩擦からライダーの身体を守るための絶対的な安全性にあります。
繊維が密に絡み合った革は、極めて高い「耐摩耗性」「耐熱性」「引き裂き強度」を誇り、アスファルトとの摩擦熱で溶けることもありません。また、身体の複雑な動きに合わせて伸縮する柔軟性を持ち合わせているので、運動性を妨げません。過酷な環境下でも耐えうるタフさも相まって、レーシングスーツにおいては革を超える素材は存在しないといえます。
だからこそ、MotoGPなどのトップレースから一般的なサーキット走行まで、ライダーが身にまとうスーツの素材として革は重宝されてきました。
小椋藍選手が252km/hで転倒したレーシングスーツを見てみよう
革という素材がもつ利点を、実際に転倒したスーツで見てみましょう。
ここで紹介するのは、2025年MotoGP第16戦サンマリノGPで小椋藍選手が着用していたものです。決勝レース時、12コーナー(高速コーナー)で小椋選手は激しく転倒しました。
かなり激しく小椋選手とマシンがコースアウトして転がっていく様子に、ヒヤッとしかた方も多かったでしょう。右手を負傷し、その後2戦欠場となりました。しかし、一歩間違えれば大惨事となりかねない事故だっただけに、ダメージは最小限にとどまったといえます。
主に右側上半身から右骨盤部を見てみると、レーシングスーツの表面が大きく擦れているだけでなく、部分的には大きく削れるように破れている箇所もあります。
252km/hで転倒したレーシングブーツも見てみよう
同じように、2025年MotoGP第16戦サンマリノGPで小椋藍選手が着用していたレーシングブーツも見てみましょう。
新品と見比べると、その差は一目瞭然。さまざまな箇所が削れ、くるぶしあたりは革も破れています。(※写真右の小椋選手が着用していたものは、元々トゥースライダーの仕様は異なります。)
MotoGPという世界最高峰クラスのレースでの実例を紹介しましたが、サーキットでも公道でも転倒時のリスクというのはとても大きなダメージです。だからこそ、万が一に備えた装備はとても大切。そして装備を整えることで、心理的にも少しでも安心できれば、それは安全に繋がるでしょう。
クシタニでは、製品の販売だけでなく修理も承っています。(※あくまで安全な使用が担保できる場合のみ、修理対応をお受けしています)。
自らの身を守り、安心安全にバイクに乗り続けるためにも、レーシングギアやライディングウェアなどお手持ちのバイク用品は定期的にチェックすることをおすすめします。