クシタニ浜松本店リニューアルオープン 櫛谷商店再現に込められた想い

2021年9月、三島町にある本社兼工場の1階より移転リニューアルオープンしたクシタニ浜松本店。ところ狭しと商品が並ぶ事務所の一角から一転、新たに建築された店舗の広さは約600平米。大型倉庫のような外観の店内には、複数のコンテナが積み重なる。

クシタニ浜松本店の店内に積み重なる、本物のコンテナ

コンテナの中は、在庫置き場や休憩所等になっている

実はこのコンテナ、それぞれが在庫の収納場所やスタッフの休憩所、化粧室等になっている。このように店内は思わず探検したくなるつくりになっていて、さらに物販以外の機能が充実している。例えば広々とした休憩スペース。「クシタニカフェ」の簡易ポップアップ店を設け、2階では椅子に座り、コーヒーを片手にくつろげるようになっている。それから、ミュージアムのような要素もある。レジェンドライダーたちのレザースーツが展示された「ヒストリーロード」を進むと、突き当りには1947年創業当時の櫛谷商店が現れる。

往年のクシタニレジェンドライダーたちのツナギミュージアム 創業当時の姿を再現された櫛谷商店

櫛谷商店の再現は、今回のリニューアルのキーポイントといっても過言ではない。

「まずは当時を知るお客様やライダーのみなさまと、現代のお客様とをつなぐポイントになったらという思いがあります。こうして実物が目の前にあれば、忘れていた思い出も蘇りやすいのではと。ゆっくりと当時を懐かしむもよし、次世代のライダーに昔語りするもよし。それぞれの人がもつバイク文化や歴史の、接点になるような場を作りたかったんです。

もう1つの目的は、スタッフ向けといえるかもしれません。もちろん販売店なので、物販がメインの場所にはなりますが、「クシタニらしさ」は今も昔も修理や商品に関する相談が対面でできるところにあると思っています。僕たちがそうやって商売をさせていただいてきたという背景、そしてこれからもそうしてお客様おひとりおひとりと向き合っていきたいという思いを、今一度スタッフ全員の共通認識にしたかったんです。

最近では20代の若いスタッフも増えています。商品やサービスは、その時代やお客様のニーズによって、今までもこれからも変わっていくものだと思います。だから僕たちはどんどん新しいことに挑戦するべきで、そうした若い力に大いに期待していますが、75年以上お客様とともに歩んできたブランドとして、方向性がぶれてはいけない。その一貫性を保つのが、これまで変わらずに引き継がれてきた先人の想いだと思うんです。櫛谷商店の存在が、そうした原点に立ち返る良いポイントになることを期待しています。」

バイクの聖地・浜松へのツーリングの際はクシタニ本店へお立ち寄りください

 

こうした思いは、取り組みにも表れる。今回オープン記念として、購入者に革のコインケースをプレゼントする企画を行った。この革、実際にレーシングスーツを製作する際に出た切れ端を利用。クシタニがレーシングスーツのために独自開発した「プロトコアレザー」だ。コインケースは1点1点、スタッフが店内のミシンで製作し、前述の櫛谷商店の店内で配られた。

「この企画は、実際に創業者が行っていたことが元になっています。昔のツナギ作りはすべてオーダーメイド。その革の切れ端で作った小銭入れを、お客様にプレゼントしていたんです。当時のお客様に、今でも大切に使われているものを見せていただいたことがあって。生産者、スタッフ、そしてお客様 ― おまけの製品1つをとっても、それに関わる全ての人に想いがありますし、そうして製品に込められたそれぞれのは想いは、こうして生き続けるのだと。胸が熱くなりましたね。」

 

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