ライテクをマナボウ ♯01 バイクはなぜ難しいのか?|KUSHITANI RIDING METHOD

今回始まったクシタニ・ライディング・メソッド。この連載でお届けする「ライテク」は、スピードやバンク角を競うためのものではなく、街乗りやツーリングなど、どんなバイクシーンでも不安や緊張を解いて愛車とライダーの距離をもっと近しくするコツをご紹介!

 

そもそも「ライテク」って何だろう?

「ライテク」と聞くと、ハイスピードで深くバンクして曲がるような、端的に言えば飛ばすためのテクニック、と感じるライダーは多いだろう。もちろんレースやサーキットで好タイムを出すためにテクニックは必要だけれど、普段の街乗りやツーリングを「気持ちよく走る」ためにも色々なコツがある。

クシタニ・ライディング・メソッドでは、シチュエーションや速度を問わず、常にライダー主導でバイクを扱うことをライテクと捉え、バイク上達のヒントや気づきを紹介していきたいと思う。

小川勤|TSUTOMU OGAWA
小川勤|TSUTOMU OGAWA

バイク専門誌に25年ほど携わり、10年ほど編集長を経験。その間、国内外の様々なバイクに試乗。2022年よりフリーランスのジャーナリストに(身長165cm)。

たとえばバイクは大型の場合、車両重量が200kgを超え、手頃に感じる250ccクラスでも150kgはある。排気量や車種で異なるとはいえ、なかには200馬力を超えるとんでもないパワーを発揮するバイクもある。

そんな大きくて重くてパワーのあるバイクを思い通りに操るには、相当な体力や力が必要、と考えるライダーも多いだろう。そう思っただけで緊張したり不安を感じるかもしれない。しかしバイクはリラックスして、車体に余計な力を加えないようにして乗るのが、いちばんのテクニックといえるのだ。

バイクを操るのに力はいらない

バイクは押し引きの取り回しや低速で小回りする時などを除けば、ハンドル操作は行わずに「車体を傾けて曲がる」乗り物だ。そこで大きくて重いバイクで曲がるには、えいっ!と車体を倒し込むイメージがあるかもしれない。……が、バイクを操るのに、そんな大きな力は必要ない。

バイクが曲がる仕組みはけっこう難解だが、これだけは知っておいて欲しいのが『セルフステア』。バイクは傾けて曲がるというけれど、じつは停止状態で傾けてもハンドルが切れない。前進している状態で車体を傾けると、バイクのタイヤ(この状態では後輪)は断面が丸いため、傾いた方向に曲がり始める。

するとその傾きと曲がりを追いかけるように勝手にハンドルが切れて旋回を強めていく。この動作を『セルフステア』と呼ぶ。

このようにバイクは車体を傾けることで後輪から曲がり初め、そこに前輪が追従して安定して旋回する仕組みになっている。そしてライダーは、このセルフステアの動きに合わせて、車体に体重を預けることで曲がり方の強さを調整する。

グイっと力でねじ伏せるのではなく、身体の中で重心移動を行うワケだが、ここで不安や緊張があると身体が硬くなるため、上手く体重を預けることができなくなる。リラックスすることが大切な理由はこれだ。

 

傾けるだけではハンドルが切れない
傾けるだけではハンドルが切れない

バイクは「傾けて曲がる乗り物」だが、じつは停止状態で車体を傾けてもハンドルは切れない。安全のためサイドスタンドを出した状態で車体を起こし、そこから左側に傾けてみよう。ハンドルが切れないのがわかるはず

 

前進している状態で傾けると、自然にハンドルが切れて曲がりはじめる
前進している状態で傾けると、自然にハンドルが切れて曲がりはじめる

サイドスタンドを出した状態で車体を起こし、前進させながら左側に傾けると、勝手にハンドルが左側に切れていく。これがセルフステアだ。緊張や不安で身体が硬くなっているとセルフステアの動きを邪魔してしまうため、スムーズに思い通りに曲がらなくなる。するとますます緊張……と悪循環。リラックスして無駄な力を入れないことが大切だ。

バイクを常に自分でコントロールしているか?

免許を持っていれば、不都合なくバイクに乗ることができるはず(そのための免許だから当然だが)。たとえば交差点や信号の停止線で止まれずに通り越すこともないだろう。
でも、毎回きちんと同じように、停止線の手前でピッタリ止まれているだろうか?

その時々で、50cm手前だったり1m手前だったりしないだろうか?

時には極端な前のめりになっていないだろうか?

それでも交通上では大きな問題は無いかもしれない。しかし、それがブレーキ操作の不安や自信の無さから生まれるものだとしたら、ちょっと残念だしもったいない。

バイクを常に自分の意思でコントロールできれば、そんな不安は払拭できて、停止線でキチンと止まるだけでも満足感を得られる。そういった小さな積み重ねが、バイクの楽しさを膨らませてくれる。

そして、こういった意識改革がライテクの第一歩。

飛ばすためじゃない、安心安全にバイクを長く楽しむためのライテクをお届けしていこう!


停止線で毎回きちんと止まれるだけでも楽しい
停止線で毎回きちんと止まれるだけでも楽しい

停止線を越えてしまうのはNGだが、手前で止まれれば問題はない……とはいえ、その都度停止位置が異なるのはどうなのか? 自分の意思通りにバイクをコントロールできて、毎回ピッタリ止まれたら、それだけで気持ち良いと感じられるようになる。

次回予告 ♯02 バイクの跨り方。跨るときに足が上がらないんだけど……

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