【スペシャル対談】小椋藍&國井勇輝&岡谷雄太、3人の若きライダーが語るクシタニのレーシングスーツ

2021年のシーズン前半戦が一区切りを迎えていた7月、桶川スポーツランドに世界選手権を戦う3人のクシタニライダーが集まりました。ロードレース世界選手権Moto2™クラスの小椋藍選手(IDEMITSU Honda Team Asia)、Moto3™クラスの國井勇輝選手(Honda Team Asia)、スーパースポーツ世界選手権300(WSS300)の岡谷雄太選手(MTM KAWASAKI)です。

小椋選手、國井選手、岡谷選手はサマーブレイクのためにヨーロッパから一時帰国しており、この日はトレーニングのために桶川スポーツランドを訪れていたのです。昼休みには小椋選手、國井選手、岡谷選手と、やはりトレーニングにやって来ていたMoto3™クラス参戦中の山中琉聖選手(CarXpert PruestelGP)を加えた4人のライダーがエキシビション走行を実施。世界の走りを至近距離で見た人々からは、感嘆の声が上がりました。

桶川サーキットで合同練習を行った世界で活躍するライダーたち。左から山中琉聖、岡谷雄太、小椋藍、國井勇輝
Moto2参戦中の小椋選手、Moto3参戦中の國井選手と山中選手、WSS300参戦中の岡谷選手の特別なエキシビションは、多くの人を沸かせた
埼玉県にある桶川サーキットでは、プロライダーの練習を生で見られるチャンスが
ファンサービスにウイリーを見せる小椋選手と國井選手。これが超至近距離で見られる、豪華なエキシビションだった

トレーニングの合間、3人に対談形式でお話をアレコレうかがうことができました。同年代、しかもトレーニングを共にする仲の3人ということで、彼らの青年らしい素顔ものぞきました。

Q.3人はいつから一緒に走っているんですか?

岡谷雄太選手(以下、岡谷):僕と勇輝はポケバイで一緒に走っていました。5、6歳くらいですね。(小椋選手と会ったのは)7、8歳くらい。ポケバイの種類が違っていたので、藍とはミニバイクに乗り始めてから出会いました。

小椋藍選手(以下、小椋):僕は雄太と会った時期の方が先で、勇輝の方が後です。こんなに一緒に走り始めたのは最近ですね。

岡谷:2年前くらいからでしょうか。藍が桶川で速いので、一緒に走ろうと声をかけて、250ccバイクなどに乗るようになりました。

 

Q.帰国してから、どんなトレーニングをしていますか?

岡谷:藍と一緒で、バイクに乗るトレーニングをたくさんしています。

小椋:ヨーロッパに行っていると自転車やジムのトレーニングが多くなるので、日本にいるときにはできるだけバイクを使った練習をしていますね。たまにバイクにも乗ります。ヨーロッパではアスファルトで走れないので、ダートです。

岡谷:僕はそれを「乗れていいなあ」と思って見ています(笑)。
チームアジアはスペイン(のバルセロナ)に(バイクに)乗れる環境があるんです。けれど僕はスペインの藍たちの近くの場所に行ったり、チェコに行ったりと転々としています。あまりバイクに乗れる環境がないので、ヨーロッパに行く前にひたすらバイクに乗っています。日本にいる間にできるだけバイクでトレーニングしているんですよ。
桶川でのトレーニングのように真夏で死にそうなときに走るのは、メンタル面のトレーニングにもなっています。

小椋:こういうトレーニングでも、僕たちは「負けない」って思って走っているから。常にそうなんです。自転車トレーニングでもそうです。それは監督からすごく学んでいます。監督(※青山博一監督。2009年MotoGP™250ccクラスチャンピオン)は現役ライダーよりも負けず嫌いなんです。

國井:監督はすごい(負けず嫌い)ですね。自転車トレーニングでも、勝つためにラストでは絶対に前へ行かずにキープしているんですよ!

岡谷:でも、ライダーでトレーニングしていると、全部勝負になるよね。

小椋:練習とは言え、全部勝負になって、本気に近い感じでやるのがトレーニングになる。そういう相手がなかなかいないので、(こういう3人で)一緒に練習していますね。

海外生活やイデミツホンダチームアジアのチームメイトについて語る小椋藍選手
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Q.チームアジアはチームでトレーニングをしていますよね。ヨーロッパでは、小椋選手と國井選手は、岡谷選手とは一緒にトレーニングはできない?

小椋:前に一度、歩夢(※Moto3™ライダーの佐々木歩夢選手(Red Bull KTM Tech 3))の自転車を借りてトレーニングしたよね。

岡谷:自転車トレーニングの場合、誰かが余分に1台持っていると、装備があればそれを借りれば行けるんですよ。僕は勇輝から装備を借りたりしましたね。

國井勇輝(以下、國井):雄太がちょうど(装備が)ないって言うから、「仕方ないな~」って貸してあげました(笑)。ほんとは僕も行きたかったんですけど、仕方なく……。

 

Q.ヨーロッパでも連絡を取りあったりしているんですね。お互いのレースは見ていますか?

小椋:MotoGP™とWSS300(※WSS300はスーパーバイク世界選手権(SBK)に併催)は開催日が被らないんです。だから、僕たちのレースのときは雄太が見ていて、雄太がレースをしているときには僕たちが見ています。

岡谷:昨年はシーズンが詰まっていて(MotoGP™とWSS300の)レースが被るときがあったので(※コロナの影響で開催カレンダーが変更された)、藍のレースを見ながら着替えて、自分のレースに行ったりしました。

國井:僕も藍と一緒に(岡谷選手のレースを)見ています。

小椋:(チームメイトのソムキアット・)チャントラと(國井選手のチームメイトの)アンディ(・ファリド・イズディハール)も一緒にWSS300のレースを見ているんですよ。チャントラとアンディも雄太のこと知っているので、「ユータ!」って。

岡谷:チャントラは面白いんですよ。最初、僕はライダーだと思われていなかったんです。そのあと「藍が応援しているやつか!」と言うもんだから、「知らなかったんか」って。

スーパーバイク世界選手権で活躍しながら、motoGPの走りもしっかりと研究する岡谷雄太選手
(小椋選手、國井選手の)それぞれを尊敬しています。僕も彼らの走りを見て、ヨーロッパで頑張らないとな、と思うんです」と岡谷選手

Q.ヨーロッパを転戦していて、日本のごはんなどが恋しくなったりしませんか?

小椋:日本食が食べたくなったら、「雄太、行こうぜ」って外食に行きます。みんなで外食するときは、だいたい日本食です。

岡谷:ラーメンに行ったり、かつ丼があるレストランに行ったりするんです。あそこ、おいしかったよね。

小椋:日本人の方がやっているレストランなので、日本の味でした。おいしかったです。だから、帰国して食べたいというのはあまりないですね。

岡谷:僕は今年、いろいろな食材をヨーロッパに持って行ったんです。そうしたら、「日本に帰らなくてもいいかな」って。ヨーロッパで日本食が食べられれば、楽ですからね。長くいられない状況もあるので帰国はしないといけないのですが、できればヨーロッパにずっといた方が楽です。

小椋:それはそう思う。「帰らなくてもいいかな」って。

 

Q.みなさん、すでに海外での生活には慣れていると思いますが、最初のころはカルチャーショックなどありました?

國井:僕は何が嫌って、土足で家に上がるところなんですよ。(床に)ほこりがたまるのが嫌で……。あれだけは勘弁です……。

18才の若さで世界を舞台に活躍する、moto3ライダーの國井勇輝選手
3人の中でも最年少の國井選手。いじられキャラのようで、対談中に小椋選手、岡谷選手からツッコミを受けることも……

岡谷:国によってですね。オランダはけっこうきれいなんですよ。空港でだいたいわかります。でもやっぱり、日本はきれいですよね。
僕が一番ビックリしたのは、スペイン人が、スペイン語でイタリア人と話していたことですね。どちらもラテン語が源流だから話せるということだったんですが、僕はそれを知らなかったので。

 

Q.レースやトレーニングが多いとは思いますが、シーズン中のオフは息抜きに何をしていますか?

國井:家でごろごろしていますね。

小椋:勇輝の笑い声がすごく聞こえてくるんですよ~。僕は休んでるのに!

國井:そんなことないですよ!

藍:勇輝はリラックスしていていいけど、こっちは迷惑してるんだよ!

國井:それを言ったら、家の中はかなりうるさいんですよ。チャントラも相当うるさいし。藍が一番静かだと思います。

岡谷:チームアジアは共同生活なので、大変だろうなと思います。

 

Q.レースや走りについて、お互いにアドバイスしたりもらったりしますか?

國井:僕は藍に聞きます。(小椋選手が)去年Moto3™を経験しているので、「予選のここが重要だよね」と聞いたり。

岡谷:僕も藍に状況の確認をしたりします。Moto2™クラスの状況を聞いたりもしますね。

 

Q.國井選手は小椋選手という頼もしいライダーがチームにいて、心強いのでは?

國井:それはありますね。でもその反面、よくいじめられるので。怖い先輩ですよ……。

小椋:あれをいじめられてるってとらえるくらいじゃまだだめですよ(穏やかだけれどちょっとマジメな口調で)。それを楽しめるくらいのメンタルになれば無敵です。
(國井選手は)優しいんです。人がいい。レースのときはもう少し、悪い子になってもらわないといけないから。

岡谷:レースではちょっと意地悪くらいがいいから。スペイン人ライダーなどは、けっこうえげつないこともありますからね。それぐらいじゃないと戦えない。簡単じゃない世界なんです。

 

Q.ここでクシタニのレーシングスーツについてお聞きしますね。岡谷選手は第3戦エミリア・ロマーニャのレース2で転倒して、後続車に背中を轢かれてしまいましたが……。

岡谷:タイヤが背中を通っていったんです。でもクシタニのプロテクターが新しくなったおかげで、腰が折れませんでした。それはお世辞でもなく、クシタニのレーシングスーツのおかげだと思います。感謝しています。

 

Q.クシタニのレーシングスーツの印象を教えてください。

國井:一番のよさは(革が)柔らかいところ。とにかく動きやすいのがベストです。すごく楽ですね。

岡谷:あと、ケガをしにくいです。すぐに割けてケガをすることもありません。値段的には高いけれど、長く守ってくれると思えば、安いかなと思います。

小椋:こちらが言ったことに対して、要望どおりのものを送ってくれます。そこは、安心しています。

岡谷:着ていて変だなというところがあまりないので、それは大事かなと思います。何着かあるレーシングスーツ、どれも同じなので。

小椋:あと、走っているときよりも待っているときの着心地が大事ですね。(クシタニは)普段の着心地が最高です。待っているときに違和感があるとストレスになるけど、それがないんですよ。

岡谷:普段の着心地は大事だよね。僕はツナギで苦労したことはないです。ツナギは2012年からクシタニで、ずっといいツナギを着させてもらっています。

世界を舞台にしのぎを削る、若き3人の日本人ライダー。小椋選手、國井選手、岡谷選手の活躍に、ぜひ注目してください。

 

小椋藍(IDEMITSU Honda Team Asia)
2001年1月26日生まれ。2019年よりMoto3™クラスにフル参戦を開始。Moto3™クラス参戦2年目の2020年は2位を2度、3位を5度獲得。チャンピオン争いを繰り広げ、ランキング3位を獲得した。2021年からはMoto2™クラスにステップアップ。シーズン前半戦の9戦を終えてランキング11番手。

國井勇輝(Honda Team Asia)
2003年2月18日生まれ。2020年よりMoto3™クラスにフル参戦。2021年は昨年に引き続き、Honda Team Asiaでクラス2年目のシーズンを迎えている。

岡谷雄太(MTM KAWASAKI)
1999年7月12日生まれ。2019年よりWSS300に参戦。2020年第6戦カタルーニャラウンドのレース2(※WSS300は1戦2レース制)では、WSS300で日本人初の優勝を果たした。2021年は3戦6レースを終えて3位を1度獲得し、ランキング4番手につけている。

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