MotoGP™第10戦スティリアGP/Moto2™小椋藍選手が表彰台に迫る激走を見せ、5位フィニッシュを果たす

8月8日、MotoGP™第10戦スティリアGPの決勝レースがオーストリアのレッドブルリンクで行われました。クシタニがサポートするMoto2™クラスのIDEMITSU Honda Team Asiaライダー、小椋藍選手は5位、ソムキアット・チャントラ選手は8位。Moto3™クラスのHonda Team Asiaライダー、國井勇輝選手は8位、アンディ・ファリド・イズディハール選手は転倒リタイアでレースを終えました。

約ひと月のサマーブレイクを終えてスティリアGPがスタートしました。このスティリアGPのレースウイークに入る木曜日には、生きる伝説とまで言われ、世界中で絶大な人気を誇るライダー、バレンティーノ・ロッシ選手(Petronas Yamaha SRT)が今季限りでの引退を表明。大きな衝撃とともに2021年シーズンの後半戦が幕を開けました。

■Moto2™クラス(25周)

小椋選手は2番グリッドを獲得し、Moto2™クラスに昇格して以来、初となる1列目に並びました。チャントラ選手は3列目9番グリッドからMoto2™クラスの決勝レースをスタートしました。

Moto3™クラス後に行われたMoto2™クラスの決勝レースは、濡れた部分が残るものの路面状況は回復に向かっており、ライダーたちは溝のないスリックタイヤを履いてレースに挑みました。

小椋選手はスタートでやや出遅れ、5番手に後退。チャントラ選手はポジションを上げて7番手に浮上します。序盤から上位4人のライダーが抜け出すMoto2™クラスおなじみの展開でしたが、その後方を走る小椋選手はトップとの差0.7秒ほどを保っていました。その小椋選手のすぐ背後にはサム・ロウズ選手(Elf Marc VDS Racing Team)がつけ、小椋選手との5番手争いを展開します。4周目、小椋選手はロウズ選手に交わされ、6番手にポジションを落としました。チャントラ選手は8番手を走行していましたが、7周目に9番手に後退します。

10周目、小椋選手はロウズ選手を交わして4番手に浮上。11周目にはファステストラップを叩き出しながら、1秒先を走る3番手のマルコ・ベッツェッキ選手(SKY Racing Team VR46)に迫ります。その差は次第に詰まっていき、13周目には0.5秒を切りました。小椋選手は13周目にもファステストラップを記録。3番手のベッツェッキ選手、そしてそのすぐ前を走るアラン・カネト選手(Aspar Team Moto2)の背後につけます。

15周目、ベッツェッキ選手とカネト選手が接戦の2番手争いを繰り広げており、小椋選手は4番手でそれを静観していました。そして、18周目の1コーナーで小椋選手がついにカネト選手をとらえます。しかしカネト選手も3コーナーでそのポジションを奪い返し、小椋選手はカネト選手との激しい3番手争いを展開することになりました。

4番手に後退した小椋選手。しかしカネト選手との差は依然としてごくわずかで、0.1秒を切るほど。一方、チャントラ選手は3人のライダーによる接戦の6番手争いを展開しながら、周回を重ねていました。

20周目、再び小椋選手がカネト選手をパス。小椋選手は3番手に浮上すると、カネト選手との差を少しずつ広げていきます。さらにこの周には2番手を走っていたレミー・ガードナー選手(Red Bull KTM Ajo)が4コーナーでオーバーラン。小椋選手が2番手に浮上しました。

しかし21周目、小椋選手はペナルティを受けます。レース中に5度、トラックリミットを超えた(※1)ためにロングラップ・ペナルティ(※2)が科されたのです。小椋選手はこのペナルティを消化したことで、残り4周で5番手に後退してしまいました。

小椋選手は5位でフィニッシュ。最終ラップで、ファステストラップを叩き出す猛追を見せてのチェッカーでした。小椋選手はロングラップ・ペナルティの消化が不十分だったとして結果に3秒が科されたものの、6位とのタイム差により最終結果は変わらず5位のままとなりました。表彰台を逃す結果になりましたが、そのレース内容は表彰台に迫る、小椋選手の確実な前進を感じさせるものでした。チャントラ選手も第2集団の中でのレースを展開し、自己ベストリザルトの8位でレースを終えています。

※1:ライダーが走行中にトラック(コース)の制限、具体的にはゼブラゾーンを超えたグリーンの部分にフロントまたはリヤタイヤが出ること。レースでは5回目でロングラップ・ペナルティの対象になる。

※2:コース上のランオフエリアに設定された、通常よりも大回りとなるエリアを通過しなければならないペナルティ。これにより、ライダーはレースを継続しながらも、ペナルティを消化したラップではタイムロスすることになる。

小椋 藍選手(IDEMITSU Honda Team Asiaプレスリリースより)
「レースについては満足しています。今年のベストレースでした。レースに勝つためのオプションを見ることができました。トップとは接近していましたし、来週のレースに向けての自信となりました。レースの中で、来週のレースの為に改善が必要なことを見つけました。これに焦点を当てて作業を進めていきます」

2021年motoGP 第10戦スティリアGPにて、表彰台争いを繰り広げる日本人ライダー 小椋藍選手
表彰台に迫る激走を見せた小椋選手。トップとの差は確実に縮まっている

ソムキアット・チャントラ選手(IDEMITSU Honda Team Asiaプレスリリースより)
「タフなコンディションでのレースでしたが、レースをしっかり走り切り8位でゴールできてとても良かったです。雨のウォームアップの中で、素晴らしいフィーリングを感じたのですが、レースはドライ・コンディションの中で行われ、上位集団についていけるように私のライディングスタイルを適応させようとしました。来週もレッドブルリンクでのレースになりますので、継続して学び、改善を続けていきます」

タイ人ライダー ソムキャット・チャントラ選手も自己ベストリザルトを記録
チャントラ選手は自己ベストリザルトの8位。好レースだった

■Moto3™クラス(23周)

スティリアGP最初のレースとして行われたMoto3クラスは、難しいコンディションとなりました。ウオームアップセッションが行われていた時間帯にはフルウエットだった路面状況は、雨が上がったことで決勝レースがスタートする時刻には乾き始めていました。このため、一部のライダーは雨用のレインタイヤではなく、溝のないスリックタイヤを選択。アンディ選手もその一人でした。

迎えた決勝レースを、國井選手は7列目20番グリッド、アンディ選手は9列目26番グリッドからスタートしました。

國井選手は1周目で10番手にまでポジションを上げると、2周目には9番手、3周目には8番手に浮上します。前を走るのは山中琉聖選手(CarXpert PruestelGP)。8周目には國井選手が山中選手を交わして7番手に浮上しました。一方、アンディ選手は21番手を走行していましたが、9周目1コーナーで転倒。すぐさまバイクを起こしてレースに復帰したものの、最後尾までポジションを落とします。

レース中盤、12周目にはセルジオ・ガルシア選手(SANTANDER Consumer GASGAS)とペドロ・アコスタ選手(Red Bull KTM Ajo)のトップ2が抜け出す展開。國井選手はそのトップ2ライダーから約13秒差の7番手をキープしていました。8番手の山中選手とは僅差で、その後も7番手争いを展開します。アンディ選手は15周目に再び転倒を喫し、ここでリタイアとなりました。

レース終盤、國井選手は後方から順位を上げてきたダリン・ビンダー選手(Petronas Sprinta Racing)、山中選手に交わされて9番手に後退します。しかし、最終ラップに一つ順位を上げて8位でチェッカー。國井選手にとって自己ベストの結果となりました。アンディ選手は前述のように2度目の転倒によってリタイアでレースを終えています。

國井勇輝 選手(Honda Team Asiaプレスリリースより)
「この週末、ドライ路面にうまく合わせることが出来ず、今日は焦点を変更しました。今日のようなトリッキーなコンディションでは失うものは何もありません。レース序盤、フィーリングがとても良く、トップグループの中で走行を重ねました。しかし、路面が乾き始めると状況は変わりましたが、その状況に自分の走りを適応させることができて8位でゴールすることができました。世界選手権でのベストリザルトでしたので、とても嬉しいです」

moto3参戦1年目 第10戦で10位以内のゴールを果たした國井勇輝選手
トップ10圏内でポジション争いを繰り広げた國井選手。後半戦、流れをつかみたい

アンディ・ファリド・イズディハール 選手(Honda Team Asiaプレスリリースより)
「今朝のウォームアップは雨の中で行われ、自分としてはウェットコンディションでレースが行われることを期待しました。しかし、サイティングラップで、部分的に路面が乾いているのを見て、レース中に路面が乾くと感じて、スリックタイヤでレースに臨むことを決めました。リスクはありましたが、タフな週末を過ごした自分にとっては失うものは何もありませんでした。自分のベストを尽くし、スリックタイヤを選択した他のライダー達と周回を重ねていたのですが、転倒しリタイヤとなりました。タイヤの選択は間違っていなかったと思いますが、運もありませんでした。来週のレースに向けて気持ちを切り替え頑張ります」

motogp2021 オーストリアのスティリヤGPでは難しいタイヤ選択を迫られたアンディ選手
スリックタイヤで挑んだアンディ選手は、2度の転倒を喫してしまった

世界で戦うライダーを支える
クシタニがサポートするMoto2™、Moto3™ライダー

Moto2™クラス(チーム:IDEMITSU Honda Team Asia)
小椋藍 選手/ソムキアット・チャントラ 選手

日本出身のオートバイプロライダー 小椋藍選手タイ出身のオートバイプロライダー ソムキアット・チャントラ 選手

 

Moto3™クラス(チーム:Honda Team Asia)
國井勇輝 選手/アンディ・ファリド・イズディハール 選手

日本出身のオートバイプロライダー 國井勇輝 選手インドネシア出身のオートバイプロライダー アンディ・ファリド・イズディハール 選手

写真:Idemitsu Honda Team Asia / Honda Team Asia

 

2021年シーズンの同レース関連記事:

KUSHITANI LOGS

6月27日、MotoGP™第9戦オランダGPの決勝レースがTT・サーキット・アッセンで行われました。クシタニがサポートす…

KUSHITANI LOGS

6月20日、MotoGP™第8戦ドイツGPの決勝レースがザクセンリンクで行われました。クシタニがサポートするMoto2™…

KUSHITANI LOGS

6月6日、MotoG™P第7戦カタロニアGPがスペインのバルセロナ・カタロニア・サーキットで行われました。クシタニがサポ…

最新情報をチェックしよう!