バイク用のデニムってあるの?

「バイクウェア」とは何だろうか。鎧のようなプロテクションで体を固めることだろうか。自慢のオートバイに似合う、「それっぽい」ファッションのことだろうか。僕たちライダーは、そのどちらも100%の答えであるとは言い切れない。それに、例え1つの答えがあったとしても、全てのライダーと状況にいつもそれが当てはまるわけではないだろう。乗っているバイクの種類、排気量、乗り方、乗る頻度、環境、走る場所、楽しみ方・・・オートバイとの生き方は、人それぞれで、自由だ。だから同じメーカーの製品であっても、クシタニはそれぞれの製品に異なる用途や趣味嗜好を想像して、製品づくりを行う。製品により機能や仕様が異なるのはそのためだ。
そのような理由で、新商品の発表シーズンには様々な製品がラインアップされる。カラーや素材、デザインなどの見た目だけではなく、生地の加工方法や、防水性・プロテクション性などの機能面も製品により異なる。

しかし、絶対的な正解が無くて、異なるシチュエーションを想定してバラエティに富んだ製品が作られたとしても、全ての製品づくりの根底には共通した考え方がある。それが「アクティブセーフティー」だ。クシタニが思うアクティブセーフティーは、まず動きやすいこと。いくら体が守られていても、バイクの操作に支障をきたすようでは安全なウェアとは言えない。そして、バイクの運転に集中できること。例えば防寒性が低かったり、ばたついたり、重たかったりして気がそれるようでは、やはり安全なウェアであるとは言えないだろう。安全性と着心地の良さは、相反する概念ではない。ウェアである以上、着用されないと性能の発揮しようがないから、気が付いたらいつも手に取っていて、楽に着られて、走りに集中できるものが良い。さらには、着なければいけないものではなくて、着たくなるような、そんなウェアを目指してデザイン性とのバランスも重要だ。

このクシタニの考え方がよく表れている商品の1つが、デニムであろう。「バイクウェア」に定義が無いように、「バイク用デニム」にも決まった仕様があるわけではない。だから、バイク用と謳うにあたり、アクティブセーフティーの概念がしっかりと詰め込まれている。

クシタニのデニムは、生地を織る前の糸からオーダーメイドだ。しなやかな上に強度の高い「コーデュラ」と、ストレッチ性を持たせるためのポリウレタンを、綿に組み合わせた。そしてこの特別な糸を、縦糸と横糸の両方に使って生地を織りあげていく。ライディング姿勢の取りやすいパターンと相まって、動きやすく安全性の高いデニムができあがる。ストレッチを効かせることで、シルエットを細身にしても履き心地が良いから、見た目にもすっきりとしたデザインの一本ができあがる。

作りたいものがあるから、それに適う素材を用意する。素材が無いのならそこから作る。クシタニのものづくりは、想いを形にする作業に他ならない。

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