Moto2 小椋藍が今シーズン2勝目!ランキング2位に浮上しタイトル争い加速

MotoGPもいよいよシーズン中盤。前戦イタリアGPから3週間のインターバルを経て行なわれたオランダGP=TTアッセンで、MTヘルメッツMSIの小椋藍が優勝。今シーズン2勝目を挙げ、ポイントランキングでも2位に浮上した!

フロントローからスタートし、ホールショットを獲得 しかし、すぐに後方の#54フェルミン・アルデゲルにかわされてしまう

レースは残り10周。オランダGPは、序盤からチームメイトのセルジオ・ガルシアとの2番手争いが続いていた。
ガルシアは現在、ランキングトップにいて、今シーズン2勝をあげている、現在の小椋のターゲットのひとり。ランキング2位のジョー・ロバーツがこのレースを欠場しているから、ランキング2位に上がることが確実な小椋にとって、負けられない相手だ。

ポールポジションからスタートし、トップを走るフェルミン・アルデゲルは、快調に1分36秒台前半で走り続けている。ガルシアと2番手争いをしているからか、どうしても競り合いがあって36秒台前半から中盤にバラつきのある小椋は2位狙いに切り替えるのかな――そう思った瞬間。信じられないコーションが出されていた。

「ゼッケン54、トラックリミットオーバーでロングラップペナルテイ」

2周目から#54フェルミン・アルデゲルがスパート やや離れて#73小椋、#3セルジオ・ガルシアが追う

トップを走っていたアルデゲルがロングラップペナルテイを消化すると、レースリーダーに就いたのは小椋だった。トップ争いは小椋vsガルシア、少し離れてアルデゲル。しかし、スピードのあるアルデゲルはすぐにペースを取り戻し、トップ争いに絡んでくるはずだ。
案の定、すぐに2番手のガルシアを捉えると、トップを走る小椋に襲いかかる。レースはラスト5周、コース前半からコース中盤で小椋との差を詰めるアルデゲル。特に回り込んだコーナーの続くコース前半で詰めてくるように見える。そういえば、ガルシアにもこのあたりの区間で差を詰められていた――実は、これが小椋の戦略だったのではないか。

「激しいレースだったけど、マネジメントが上手くできて勝ち切ることができました」と小椋は言う。

この場合のマネジメントは、当然タイヤのこと。1周4.5kmを超えるアッセンを22周という長丁場のオランダGPは、やはりレース終盤のタイヤが勝負を分けるのだ。

順位が落ち着き始めると、#3ガルシア、#21アロンソ・ロペスと2番手争いを展開する

このオランダGP、小椋は初日のフリー走行からトップタイムをマークすると、プラクティス1で2番手、プラクティス2で6番手タイムをマーク。ストレート進出したQ2では2番手となり、決勝レースへはフロントロー2番グリッドからのスタート位置を確保していた。ここのところ、予選順位が悪く、追い上げのレースを強いられていた小椋にとって、今シーズン初めてのフロントローだ。

思えばこのオランダGPは、昨年の決勝レースでもレース終盤にジェイク・ディクソンにかわされたものの、2位表彰台に立ったし、22年にも4台のトップ集団の中、僅差で2位フィニッシュを果たした相性のいいコース。前戦イタリアGPでは5位に終わったとはいえ、第5戦フランスGPから調子のいい小椋は、イタリアGPから3週間のインターバルの間に日本に帰国、いつものようにあちこちのコースを走り回っていた。このインターバルでもまた、桶川スポーツランド、モビリティリゾートもてぎを走り込む小椋の姿が目撃されている。いわば、小椋のルーティーンだ。

レースは残り10周 ついに#3ガルシアの前に出て前を行くアルデゲルを追い始める

そのオランダGPで小椋は、コース幅いっぱいの走りを控えているように見えた。コース幅いっぱいの走りは、もちろんタイヤのグリップに任せて高いコーナリングスピードを出すことができる。その反面、タイヤのエッジを使い切ることで、どうしてもタイヤの消耗が起きてしまう。小さくコーナーに入り、コンパクトに立ち上がる。どうしてもコース幅をいっぱいに使うライダーに後れを取ってしまうことがあるが、これがすべてではないが、小椋が得意とするタイヤマネジメントの方法のひとつだ。

レース終盤、3番手を走るガルシアが遅れ始める。それどころか、ブレーキングで止まり切れず、コーナーではインにつけず、立ち上がりでアクセルを開け切れていない。タイヤがもう、限界に近付いていたのだ。

ラスト3周、小椋の背後まで迫るアルデゲル。けれど、レース序盤から後続を引き離していたコース前半――小椋がタイムロスしているように見えた区間で、逆に小椋に近づけない。ここへきて、アルデゲルのタイヤも消耗が激しかったのだ。
最終ラップでは、そのまま小椋がアルデゲルを引き離し、0秒5の差をつけて優勝。ガルシアに並ぶ今シーズン2勝目、さらにガルシアの前でアルデゲルがフィニッシュしたため、ランキングポイントは「9」縮んで14ポイント差。またワールドチャンピオンの座に一歩ちかづいた!

ペナルティを受けた後も追いすがるアルデゲルを抑え切っての今シーズン2勝目!

「うれしい優勝、最高です! 今シーズン初のフロントローからのスタートで、ミスなく安定して走れました。トップに出たら、フェルミン(アルデゲル)は追いついてこられないのはわかっていました。これでアッセンでは3年連続表彰台。去年は2位だったからとてもうれしい!」

これで今シーズン初の表彰台を獲得した第5戦フランスGPから4戦で2勝、2位1回。すぐに翌週に控えるドイツGPを終えたら、サマーブレイクだ。
ドイツGPを終えたらまた、帰国して走り込みをするのだろう。そのルーティーンを終えた小椋の走りは、いつも強い!

小椋が優勝、ガルシアが3位 ランキングではガルシアがトップで小椋が2番手 Moto2クラス初シーズンとは思えない活躍でMTヘルメッツMSIはチームランキングでもトップに立つ

<写真提供:MT HELMETS MSI>

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