「カフェオイル」知ってますか|クシタニカフェの豆を焙煎している職人談~8話~

「コーヒーの淹れ方」~同じコーヒー豆を同じ器具で淹れたなら誰が淹れても同じ~

おまたせしました!今回は「コーヒーの淹れ方」です。
巷では「コーヒーの“美味しい”淹れ方教室」が根強い人気があると聞きます。
これは、昔の喫茶店ブームの頃の名残りみたいなもので、難しい顔をしたマスターが
口の細いポットを糸の様に細くお湯を淹れて・・・ポットを上下、回転させ・・・
さも難しいそうに淹れて見せていたからです。(これは、ただの演出です)
この様なことからコーヒーの淹れ方=難しい=淹れ方の違いで味が大きく変わると
思い込まされてしまったのです。
だから、殆どの方は、コーヒーは淹れ方が大切だと思っていると思います。
(本当は、コーヒー豆の品質が一番大事です。)
特に、ペーパードリップや布フィルターをお使いの方にこの傾向が強いです。
実は、同じコーヒー豆を同じ器具で淹れたなら誰が淹れても同じなのです。
「でも、実際飲み比べたら味が違う!」と言うご意見もありますが、何が違うかと言うと
コーヒーの濃度。簡単に言うと「濃い、薄い」の違いです。それだけです。
ペーパーや布を使って少量(1〜4人ぐらい)ドリップする時は、使う豆の量やお湯の量が
絶えず変化してしまい、入れる毎に濃い薄いが変化してしまいます。この濃度の変化で
「今日は美味しく淹れられた!」「今日はちょっと失敗したかな?」なんて一喜一憂してしまいます。
なので、ここでは淹れ方に特にとらわれず簡単にコーヒー豆の味わいが存分に味わえる
コーヒー器具「カフェプレス」(フレンチプレスとも言います)の淹れ方を紹介します。

これがカフェプレスです。
この器具は、よく紅茶で使っているのを目にしますが、もともとコーヒー用にコーヒーを簡単に美味しく入れるために作られた道具で、紅茶に流用されているのです。
それでは、使い方です。
プランジャー(蓋と金網の部分)を取って粉を入れます。
お湯を入れます。(お湯の温度は熱い方が良いです。一気に入れて大丈夫です)
3〜4分放置します。
プランジャーを押し下げます。

完成です!後はカップに注いで飲むだけです。
簡単ですね!!技術も何もいりません。簡単すぎてつまらないと言う意見もあります(笑)

大事な「カフェオイル」

カップに注ぐと少し濁ったコーヒーになります。これは、金網から漏れ出たコーヒーの微分です。
これが味に影響する事はありません。飲んでいる途中にカップの底に沈殿してしまいます。
最後にこれを飲み干そうとするとむせる時があるので、飲み干す事なく少し飲み残すことをお勧めします。
表面には、油の様な物が浮いてキラキラした感じですが、これが大事な「カフェオイル」です。
この「カフェオイル」の中にコーヒー豆の大切な旨味や香りが入っています。
非常に大切な物です!使ったコーヒー豆の味わいが正直に表現されるのでごまかしができません。
ある意味、コーヒー豆の良し悪しも分かってしまいます。
これが、カフェプレスの凄いところなので使うコーヒー豆を選ばないといけません。
良い豆さえ使えば誰でも簡単に良いコーヒーが淹れられます。
これが、ペーパーフィルターや布フィルターを使った場合の大きな差です!
ペーパーフィルターや布フィルターでコーヒーを濾してしまうと出来上がりのコーヒーは澄んだ綺麗なコーヒーになりますが、フィルターの性質上“カフェオイル”が抽出されずにフィルターで止められてしまいます。
これでは、使ったコーヒー豆の味わいが全部味わえません。
せっかく、良質な豆を使っても良い部分はフィルターと一緒に捨ててしまっています。逆に品質の悪い豆を使うとその悪い部分をフィルターが止めてくれるので、そこそこ飲めてしまいます。結局・・・どの豆を使ってもそこそこ飲めるコーヒーが出来上がります。
ただ、酸味のコーヒー豆を使うと酸味が強く、苦味のコーヒー豆を使うと苦味が強く表現され極端にはっきりした味わいになります。これは、もともとコーヒー豆の中にある複雑な味わいが表現されずに強い味わいだけが再現されてしまうからです。
これがフレンチプレスの様な金属フィルターを使えば、豆の中にある複雑な味わいも表現されるために酸味を特徴とした豆でも比較穏やかな酸味として表現されます。苦味も然りです。
今回は、ちょっと強めにカフェプレス(金属フィルター)をお勧めしましたが、コーヒーは嗜好品なので自分が一番美味しいと思う淹れ方が一番です。
ただ、淹れ方にあまり拘らなくて大丈夫です。どの器具を使っても、どんな淹れ方をしても豆の持っている味わいが正直に出てくるだけです。後は、生活にあった手軽に味わえるコーヒー器具を使い自由に飲んでいただけることをお勧めします。

コーヒー屋ポンポン


羽田圭伸(はねだ けいしん)
静岡県浜松市のスペシャルティコーヒー豆専門店「コーヒー屋ポンポン」のマスター。自身もバイク乗りで、店名のポンポンは遠州地方の言葉でバイクの意。クシタニ カフェのコーヒーの監修とコーヒー豆の供給を行う。ジャパン・バリスタ選手権審査員、カップ・オブ・エクセレンス国際審査員。店内にはオリジナルブレンドで人気の「カフェ・ポンポン」をはじめ、「カフェ・ガードナー」「カフェ・クロスビー」「カフェ・ロッシ」などライダーに所縁ある名の商品も並ぶ。

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