「コーヒー感が、甘さの感覚で消えていく」|クシタニカフェの豆を焙煎している職人談~6話~

「スペシャルティコーヒー」=産地特有の独特な風味特性を持った良質なコーヒー

今回は、スペシャルティコーヒーについてお話し致します。
コーヒー豆を買おうと思ってネットを開ければ数多の通販サイトがあり、色々な宣伝文句が飛び交っています。その中で数年前からよく使われる様になった言葉が「スペシャルティコーヒー」です。でも、よく見ると「スペシャリティーコーヒー」「スペシャルティーコーヒー」と書いてあることも。
たぶん、同じ事の意味で使われていると思いますが正確には「スペシャルティコーヒー」です。

アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)のロゴ
その「スペシャルティコーヒー」と言う言葉は、1978年のコーヒー国際会議でコーヒー産地特有の微少雨気候(マイクロクライメット)が生み出す独特な風味特性を持った良質なコーヒーと言う意味で誕生しました。
以前にもお話ししましたが、90年代後半ではコーヒーは質より量の時代に入り・・・魅力の無いコーヒーに消費者が離れて行きます。この為コーヒーが市場に溢れ価格の下落が始まりコーヒー生産者が困窮することになりました。この状況を打破する為に国連主導の元、あえて高価格の付いた魅力的なコーヒーを市場に投入して消費離れを食い止める試みが行われて効果があることがわかりました。この質にこだわった魅力的なコーヒーを「スペシャルティコーヒー」と呼ぶようになりました。
ブラジルスペシャルティコーヒー協会(BSCA)のロゴ
テキスト
日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)のロゴ
その後、生産国を含め各国で“スペシャルティコーヒー協会が立ち上がり、日本でも2003年にSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)が設立されています。

一口に魅力的で独特な風味特性を持ったコーヒーと言っても分かりにくいのでSCAJでは「スペシャルティコーヒー」を定義しています。

消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)

あれ?さらに分かりにくい?(笑)詳しくはSCAJのホームページで確認できます。
大切なのは、3、4行目です。
「際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。」
あなたが、この様に感じればそれが「スペシャルティコーヒー」です。

コーヒー屋ポンポン


羽田圭伸(はねだ けいしん)
静岡県浜松市のスペシャルティコーヒー豆専門店「コーヒー屋ポンポン」のマスター。自身もバイク乗りで、店名のポンポンは遠州地方の言葉でバイクの意。クシタニ カフェのコーヒーの監修とコーヒー豆の供給を行う。ジャパン・バリスタ選手権審査員、カップ・オブ・エクセレンス国際審査員。店内にはオリジナルブレンドで人気の「カフェ・ポンポン」をはじめ、「カフェ・ガードナー」「カフェ・クロスビー」「カフェ・ロッシ」などライダーに所縁ある名の商品も並ぶ。

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