“オフテクをマナボウ”では、全日本モトクロス選手権IA1クラスで5度チャンピオンを獲得し、世界選手権にも出場した経験を持つ山本鯨氏を講師に迎え、オフロードバイクのライディングテクニックを学んでいく。
#010 簡単にオフロードバイクを起こすプロの技
これまで、岩や木などの障害物を攻略する方法や「フロントアップ」といったテクニックなど、転倒しないためにどうするかという点を学んできた。しかしオフロードを始めたばかりの時期は、荒れた路面に慣れず転倒してしまうこともあるだろう。そこで今回は、転倒した時にどうリカバリーするかという点を解説していく。
オフロードバイクの起こし方
オフロードバイクで転倒した際、走りに復帰するためにまず倒れたバイクを起こす必要がある。教習所などで習うオートバイの起こし方としては、ハンドルとリアフェンダーに手をかけて起こす方法が一般的だ。しかし、オフロードバイクは車高が高く、車格も大きいため、フェンダーとハンドルを持って起こそうとしても、持つ位置が離れるため力が分散し、かなりの力が必要になってくる。バイクを起こすために体力を消耗すると後々の走りにも響いてくるため、なるべく少ない力でバイクを起こすことがベストだ。オフロードバイクを起こす場合、倒れている側のハンドルを両手で持って起こすことで、ハンドル一点に力がかかり、バイクを軽々と起こすことができる。
ただし、ハンドルが地面側に切れた状態で倒れている場合は、バイクを起こそうと力をかけるとタイヤが転がってそのまま後方にマシンが動いてしまう可能性がある。そのため、バイクを起こす側にフロントタイヤを向けるようにハンドルを切ることでマシンが安定し起こしやすくなる。
起こす前にエンジンを切る
転倒した時にエンジンが止まっていることもあれば、動き続けている場合もある。例えば、倒れたバイクのステップが地面に当たってリヤタイヤが浮いている時はエンジンがアイドリング状態のままとなる。エンジンがかかった状態で起こそうとすると、空転しているリヤタイヤに巻き込まれたり、スプロケットとチェーンの間に指が挟まったりと、大怪我につながる恐れがある。これを回避するために、起こす前にまずはキルスイッチでエンジンをオフにしてから起こすことが大切だ。
なお、ボタン一押しでエンジンを再始動できるセルスターターがついているバイクもあれば、キックでエンジンをかけるバイクもある。特にキックの場合、足場の悪いところでエンジンを切ってしまうと再発進が難しい場合もあるだろう。このようにエンジンを止めるのが不安な状況の時は、間違ってアクセルを開けてマシンが暴れないよう(転倒でアクセルが開いた状態で固定されてしまうこともあるのでチェックしたい)、すばやくクラッチを握り、安全な状態を確保してからバイクを起こしてほしい。
バイクの押し方・引き方
オフロードコースでは他のライダーも走行しているため、バイクを起こした後は安全な場所にすばやく移動させることが大切だ。バイクを前に押していく場合は、なるべくバイクと身体の距離を近づけることで、安定して押すことができる。一方、引く場合は自分の身体にバイクをくっつけることで力が入りやすくなる。山本の場合、マシンから30度くらい外側に向き、腰とお尻の間にバイクを当て、腰とハンドルの2カ所で支えながらマシンを引っ張るという。支えが増える分安定感が生まれ、力も入れやすい。特に力が入りにくい場合や体格が小さいライダーに有効なので、ぜひ試してみてほしい。
転倒後の対処方法を身につけておくことで、怪我のリスクを抑えるだけでなく、転倒時に慌てることなく素早く走りに復帰できる。今回のポイントを参考に実践してみていてだきたい。
次回予告 ラインどりを考える!② 水たまり・カーブ編
KUSHITANI OFF TECH BACK NUMBER
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