オフテクをマナボウ「オフロード初心者でも簡単!障害物走破」|KUSHITANI OFFROAD METHOD 8

“オフテクをマナボウ”では、全日本モトクロス選手権IA1クラスで5度チャンピオンを獲得し、世界選手権にも出場した経験を持つ山本鯨氏を講師に迎え、オフロードバイクのライディングテクニックを学んでいく。

#08 オフロード初心者でも簡単! 障害物走破

第7回では、オフロード走行をするために重要なラインどりについて学んだ。ラインどりについては登り坂を想定したが、オフロードには岩や木などの障害物も存在する。障害物をどう攻略していくのか、今回はその方法を学んでいく。

オフロードにおける障害物

オフロードとはその名の通り舗装されていない路面で、自然の地形を生かしたコースを走行する。そのため、岩や木の根っこ、丸太などが道を塞いでいることがある。これらを障害物として捉え、走破していくのもオフロードの楽しみ方の一つ。とはいえ、いきなり木や岩を乗り越えよう、となると難易度が高く感じるだろう。ということで、初心者からでも簡単に身につけられるテクニックを、障害物の種類別に学んでいこう。

道を横断している障害物はリヤ荷重で乗り越える

1つ目は、道を横断している障害物。例えば木の根っこや丸太、人工的に作られたコースでは写真のようなパイプを障害物としてあえて設置している場所もある。場所によって障害物の大きさや高さは異なるものの、基本的に写真のように足首くらいの高さのものは、ライディングポジションをリヤ荷重にすることで走破できるという。

なぜリヤ荷重なのか。それは第4回で学んだように、フロントに荷重が多くかかると、フロントタイヤにかかる圧力が高くなり、マシンコントロールをしづらくなったり、バランスを崩すことに繋がる。障害物を乗り越える時も同様、フロント荷重になっていると、障害物に当たることでバランスを崩したり、タイヤに荷重がかかりすぎて障害物を乗り越えられない可能性がある。理想としては、フロント30:リヤ70くらいのバランスが良いだろう。障害物を”乗り越える”と聞くと、フロントタイヤを上げることを想像する人もいるかもしれないが、25cmほどの障害物であれば、リヤ荷重をしっかりすることでフロントタイヤを上げずとも乗り越えることができる。

リヤ荷重をする時のライディングポジションは、写真のように身体を少し後ろに引き、リヤに荷重をかける。(スタンディングの姿勢については第5回第6回で詳しく説明しているので、それを参照してみてほしい)。これによりフロントが軽くなり、障害物に引っかかることなく乗り越えることができる。また、乗り越える際は障害物に対してタイヤを真っ直ぐにすることが大切だという。ハンドルを抑えたり、突っ込む時にハンドルを切ってしまうと、タイヤの向きが進行方向とは違う方向に向いてしまい、転倒するリスクがあるので注意してほしい。

地面い転がる岩を越える時は足を着いて、ゆっくりと

障害物として、岩が道を塞いでいる場合もある。これは初心者にとってかなり難易度が高い。そのため、スピードに任せていくのではなく、足を着きながらゆっくりと進んでいくのが一番安全だ。

ポイントは2つ。1つはマシンにまたがった状態で足をつくことができるラインを走ることだ。岩場は凸凹しているため、まずは一番低い位置、谷や轍になっているラインから選んでいこう(エンジン類に石がや岩が当たらないかも確認)。なぜなら、例えば岩の上に乗った状態で足を着こうとしても地面との距離が遠く、マシンを傾けないと足を着くことができなかったり、足を着けずバランスを崩してしまうからだ。足を着けたとしても不安定な状態でゆっくり進むのも難易度が高いため、なるべく足を岩に着きながら前進できることを意識して、ラインを選ぶことが大切だ。

ポイント2つ目は、クラッチをつなぐ際のエンジン回転数を平地よりも少し高めにすること。障害物をゆっくり乗り越えるということは、言うなれば急坂での坂道発進をするのと同じ。ある程度、エンジンの回転数を上げた状態でクラッチをつながないとエンストしてしまう。岩の上でエンジンが止まってしまうと、バランスを崩して転倒する危険性もあるし、セルが付いていないバイクでは再始動も困難になる。どの程度の高さをどれくらいの回転数で越えようとするとエンストするのかは、経験で身につけていくしかない。最初から超高回転でつなぐとバイクがまくれてしまい危険なので、コントロールできる範囲から試していこう。

障害物を乗り越えるテクニック、フロントアップ

オフロード熟練者になるとフロントタイヤを浮かせるテクニック「フロントアップ(ウイリー)」で障害物を乗り越えることも可能。レースなどに出るつもりがあるなら必須のテクニックだ。フロントタイヤが障害物に当たってタイヤがたわむタイミングでアクセルとクラッチを繋ぎ、勢いをつけることでフロントタイヤを浮かすことができる。フロントアップで越えていく際の一番大切なことは、リアタイヤだけで走るイメージを持つこと。

このあたりの方法については次回詳しく紹介するため、第9回を楽しみにしていてほしい。

次回予告  プロが教授!フロントアップのやりかた

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