ライテクをマナボウ ♯24 走っている時 どこを見る?|KUSHITANI RIDING METHOD

ベテランから「遠くを見ろ」とか「バイクは見た方に進む」とか言われる。なんとなく意味は解るので、自分としてもやっているつもり……なんだけど、気が付いたら前輪のスグ前を見ていたりする。路面の荒れとか、気にし過ぎているのかな……。

「遠くを見ろ」とは言うけれど……

誰でも先の状況は気になるから、遠くを見た方が良いコトは言われるまでもなく理解している。それなのに、本人的に気づいているか否かはともかく、視線が近くなっていることが多い。ともすれば前輪からわずか数メートル前の路面を凝視していたりするのはナゼだろう……?

小川勤|TSUTOMU OGAWA
小川勤|TSUTOMU OGAWA

バイク専門誌に25年ほど携わり、10年ほど編集長を経験。その間、国内外の様々なバイクに試乗。2022年よりフリーランスのジャーナリストに(身長165cm)。

視線が近すぎて、ほとんど前が見えていない……

矛盾しているようにも感じるが「先が気になる→緊張する→上半身や腕に力が入る→アゴが上がる→視線が近くなる」というパターンはけっこう多い。また路面に浮いた砂や水、荒れに少しでもハンドルを取られた経験をして不安になり、路面を凝視しているうちにどんどん視線が近くなっていることも少なくない。

とはいえ視線が近いということは、前方の状況把握が遅くなるのは明らか。カーブの多い峠道では対向車のハミ出しや、山菜取りなどの路上駐車や歩行者に気づくのが遅れたりして大変危険だ。

当然ながらカーブの曲がり具合の予測も遅れるし、路面の砂や荒れなどもあまりに直近で気づいても避けようがないので、これでは先を見たい気持ちとは真逆な結果になってしまう。

というワケで「気づかないうちに視線が近くなる」ことを前提に、セルフチェック方法をご紹介。

まずは「アゴ」でセルフチェック!

前述したように、緊張すると上半身や腕に力が入り、同時にアゴが出てシートの前寄りに座る「前乗り」になりがち。そして視線が近くなる。そこで、身体から余計な力を抜き、シートの後ろ目に座って下半身ホールドして正しいフォームを取ろう……というのは理想的だが、すべてを意識して一度に修正するのはかなり大変だし現実的ではない。

そこで、まずは「アゴが出ていないか?」だけで良いので、走行中に頻繁にセルフチェックしてみよう。そしてアゴを引いて、上目使いで前を見よう。

実際にやってみると気づくが、腕を突っ張って背中が反ったままのフォームでアゴを引いて上目使いで前を見るのは、かなり困難なハズ。逆に言えば、アゴを引いて上目遣いにすると、自動的に背中が丸まるが、その時に腕が突っ張っていると上半身が窮屈に感じるので、腕の力を抜いてヒジを下げるとラクになる……という流れで、フォームを修正できるのだ。

視線が近いとアゴが上がって前乗りになる

アゴを出して顔を起こすと遠くが見える気がするが、じつは逆。前輪のすぐ先を覗き込むように見るため、気付かないうちに前乗りで背中が反ったフォームになっている。

後ろに座って上目遣いで遠くを見る

シートの後ろに座って、ヘルメットの開口部の上フチをかすめるくらい上目使いで前を見ると、自然と視線が遠くに向く。頻繁に「アゴが出ていないか」をセルフチェックしよう。

「3秒先」って、どのあたり?

遠くを見るのは前方の状況把握のためだが、バイクやクルマは前方の異常に気づいてから停止するまでに、おおむね3秒かかる。異常を判断して行動に移るまで1秒かかり、そこから実際にブレーキをかけて(スピードにもよるが)1~2秒かけて制動・停止する。逆に考えると、3秒あれば危険を回避できる可能性が高いので、つねに「3秒先を見ろ」と言われるワケだ。

それでは3秒先とは、具体的にどれくらい先のことなのか? 計算すればわかるとはいえ、走っている最中にその都度計算するのは大変。そこで、走行しているスピードをそのままメートルに置き換えるのがオススメだ。たとえば「40km/hで走っている時の3秒先は40m」という感じだ。計算値よりそこそこ多めになるが、それはマージンと考えよう。

その時のスピードを、そのままメートルにすればOK!
40km/h:秒速11m×3秒=33m ≒ 約40m
60km/h:秒速17m×3秒=51m ≒ 約60m

そして距離を測る目安になるのがセンターライン。白線の間隔は一般道と高速道路で異なるがキチンと決められているからだ。

たとえば一般道を40km/hで走っているときは4個先の白線(40m先)、60km/hなら6個先の白線(60m先)が3秒先という具合だ。高速道路を100km/hで走っている場合は5つ先の白線(100先)が3秒先になる。

頭ごとカーブの先に向けると曲がりやすい!

カーブに入る時は出来るだけ先まで見通すために、視線をカーブの先に向けるが、その際は目だけ動かすのではなく、頭ごとカーブの先に向けよう。そしてキツく回り込んだヘアピンカーブなどの場合は、肩ごとカーブの奥に向ける。

こうすると遠くまで先が見通せるだけでなく、身体の重心がカーブに対してイン側に入るので、いっそう曲がりやすくなるからだ。じつは目だけ動かしてカーブの先を見ようとすると、上半身を斜に構える(カーブに対して反対側に身体が向く)形になりがちで、こうなると重心が分散して曲がり方が弱くなってしまうのだ。

人間の視界は目を動かすだけでも200度近くあってかなり広いため、じつは頭ごと(肩ごと)カーブの先に向けるのは意外と身に付かない。なのでバイク以外の自動車や自転車に乗っている時や歩行中でも、意識して頭や肩ごと曲がる先に向けるようにして習慣づけるのがオススメだ。

次回予告 ♯25 カーブに合わせて座る位置を変えてみよう!

RIDIND METHOT BACK NUMBER

最新情報をチェックしよう!