ライテクをマナボウ ♯23 路地からの発進&左折小回り|KUSHITANI RIDING METHOD

教習所でも厳しく(?)指導される「左折小回り」。とはいえ極低速だとバランスをとるのが難しいし、アクセルを開けると安定する代わりにどんどん大回りに……。もちろん曲がり切れないワケでは無いけれど、いつもなんとなくギクシャクしているのがスッキリしない……。

バランスを取ろうとして、余計にギクシャク……

実際はそんなに大回りしていないけれど、小さな交差点で左折する時に、胸の中で「ヨッ!ハッ!」とつぶやきながら、一生懸命バランスをとっていないだろうか? 曲がった先の横断歩道を渡る人がいるかもしれないから、勢いでビュンと曲がるワケには行かないし、かといって低速だとバランスをとるのがけっこう難しい……。

小川勤|TSUTOMU OGAWA
小川勤|TSUTOMU OGAWA

バイク専門誌に25年ほど携わり、10年ほど編集長を経験。その間、国内外の様々なバイクに試乗。2022年よりフリーランスのジャーナリストに(身長165cm)。

ハンドルやアクセルでバランスをとっているのに大回りしそう……

軽量な原付スクーターとかならともかく、中~大型バイクだと交差点でフラついた際に足を着いても、とてもではないが支えることができない。だからハンドルを切ったり腰を捻ったりしてバランスを取るのだが、その行為自体がギクシャクした感じで気持ち良くない。

また極低速でフラつくと、無意識に少しアクセルを開けて安定感を強めようとするが、それだと車体が起きて本当に大回りしてしまう。そこで小刻みに開け閉めすると、やっぱりギクシャク。この症状、じつは「クラッチを切るだけ」で改善できるのだ。

膨らみそう!と思ったら、クラッチを切る!

街中の交差点も峠路のカーブと同じで、バイクは車体を傾けて曲がるのが基本。対してハンドルや腰でバランスをとるのは車体を真っ直ぐに立たせる行為なので、じつは曲がりにくなって当然といえば当然。なので、まずはバランスを取ろうとしないことが肝心。

そして交差点のような小さなカーブで大回りしそうに感じるのは、エンジンの駆動力によって車体が起きて直進しようとするのが要因。だからアクセルを開け閉めして安定させようとするのも、上手い手段とは言えない。

そこで、左折する時に「膨らみそう!」と感じたら、すかさずクラッチを全部切って、後輪に伝わるエンジンの駆動力を絶ってしまうのだ。すると車体がフラッと傾いて前輪がイン側(左側)にスッと切れて小回りできる。

そのままではパタンと倒れてしまいそうに感じるので、バイクの向きが変わり始めたらスグにクラッチを繋いで後輪に駆動力を与えれば、車体が起きる方向に安定する。実際にクラッチを切っている時間は1秒足らずだ。

左折小回りのクラッチワーク

① 曲がり始める瞬間にクラッチを切る

交差点に入る前にブレーキできちんと減速。そして交差点に入ったら、クラッチをスパッと完全に切る。すると車体がフラッと傾いて前輪がスッと左側に切れ、小さな半径で曲がり始める。

② 倒れ込みそうに感じたらクラッチを繋ぐ

そのまま倒れ込みそうに感じたり、思った以上に小回りしそうなら、クラッチを繋いで後輪に駆動力を与えれば車体が起きる方向で安定する。エンジンブレーキが強く効かないように、同時にアクセルも開けよう。

減速はリヤブレーキで

曲がっている最中にスピードを落としたいときはリヤブレーキを使おう。フロントブレーキをかけると車体が起き上り、曲がるラインが大きく膨らんでしまうからだ。

曲がった先の横断歩道に歩行者がいる時なども、リヤブレーキでバイクの向きを変えながら減速して、直後にフロントブレーキで停止すれば良い。

リヤブレーキのコントロールに自信のない方は、ぜひ「♯10 リヤブレーキ、使ってますか?」を参考に!

一時停止から発進して小回りするには?

クラッチを切る左折小回りに慣れたら、一時停止からの小回りにも応用してみよう。

まず発進する時は長い半クラッチやアクセルの開け遅れが無いように意識して、スパッと心持ち勢い良く動き出すのがコツ。ここは「♯13 ギクシャクしないスムーズな発進」を参考にしてみよう。

とはいえ、発進と同時に左折しなければならないのに、勢いよく発進したら曲がれないじゃないか! と感じるかもしれない。しかし、停止線は交差点内にあるのではなく、交差点より数メートル手前に引かれている。その数メートルで車体に慣性力を付ける勢いが作れれば良いのだ。

その後の操作は、基本的に前述した「クラッチを切る左折小回り」と同じだ。一時停止してからなのでスピードが低いぶん安定性も乏しいので、クラッチ操作をメリハリをつけて素早く行うことが肝心だ。

発進&小回りのクラッチワーク
① 停止線で一時停止

停止するのにリヤブレーキを踏んだ流れで右足はステップに乗せたまま、左足を着いて停止。両足を着いているとフラつくので、発進時も片足(左足)接地で。発進する前に左右をしっかり確認すること。

② 発進

半クラッチで発進。アクセルも開け遅れしないよう気を付け、ある程度勢い良くスタートするのがコツ。アクセルが開け足りないとフラつく原因になりやすい。その後、動き出した瞬間に左足をステップに乗せて下半身ホールド。

③ クラッチを完全に切る

車体に勢いがついて動き出したら、すかさずクラッチを完全に切る。するとフラッと車体が傾きながら前輪が左側に切れていく。クラッチを切っている時間は一瞬で、左折小回りの時より短い。

④ スグにクラッチを繋ぐ

バイクの向きが変わり始めるが、そのままでは勢いを失って倒れ込んでしまうので、すかさずクラッチを繋ぎ、同時にアクセルを開けて後輪に駆動力を与えると、車体が起きて安定する。

街中で頻繁に使うテクニック

交差点の左折小回りや路地からの発進左折など、駆動力を断ってコンパクトに曲がるテクニックが身に付くと不安なくこなせるようになるので、街中でかなり便利。

慣れないとクラッチを切った瞬間の「フラッ」が不安に感じるかもしれないが、クラッチを繋げばすぐに安定する。なのでクラッチを切ったときのバイクの動き方と「切る→繋ぐ」のタイミングに馴染むことが大切。文字で見ると難しそうだが、実際は思ったより簡単なので、安心してお試しを!

次回予告 ♯24 走っている時どこを見る?

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