ライテクをマナボウ ♯08 ブレーキやクラッチが操作しやすい レバー位置の調整|KUSHITANI RIDING METHOD

クルマはシートの前後位置や背もたれの角度を調整して乗りやすい姿勢を取れるけれど、バイクはライダーの方が頑張って合わせるしかない……ワケではない。じつはブレーキ/クラッチレバーの位置を調整するだけで、フォームや乗りやすさ、コントロール性まで大きく変わる。だからバイクを自分に合わせてみよう!

レバーの高さがライディングフォームに影響する!?

レバー位置というと「遠い・近い」を連想するライダーが多いハズ。でもその前に、レバーの高さ(角度)がけっこう重要。なぜならライディングフォームに大きく影響するからだ。

小川勤|TSUTOMU OGAWA
小川勤|TSUTOMU OGAWA

バイク専門誌に25年ほど携わり、10年ほど編集長を経験。その間、国内外の様々なバイクに試乗。2022年よりフリーランスのジャーナリストに(身長165cm)。

まずはバイクにまたがって、基本のフォームを取ってみよう(「♯07 基本フォームとニーグリップ」を参照)。そして腕の上面から手の甲まで平らな状態で、指を真っすぐ伸ばす。ここで指を下に曲げたり、手首を曲げないとレバーに触れられないようなら、レバーが低すぎる。これだと無意識のうちにハンドルに覆いかぶさる「ガブリ乗り」のフォームになりがちで、上半身に余計な力が入ったりハンドルを押さえたりして、バイクの自然な曲がる動き(セルフステア)を邪魔してしまうからだ。

レバーの高さは工具を用いて調整する。レバーホルダー(またはマスターシリンダーのホルダー)のボルトを緩め、高さを調整して締めればOKだが、作業に自信がなければバイクショップで調整してもらおう。

低い方がスポーティでカッコいい気もするが……
出荷時のハンドルの高さがすべての人に最適なわけではない。ハンドルの高さは自分の体格に合わせよう

左は出荷時からかなり下げた状態で、右は出荷時よりわずかに高め。人間には体格差があるので、出荷時(新車時)の高さがすべてのライダーにとって最適というわけではない。また、メーカーや車種によっては、出荷状態でかなり低い場合もある。レバーの高さの調整を行うには工具が必要。作業は比較的簡単だが、バイクショップに依頼するのがオススメ。

レバーが低いと「ガブリ乗り」になりやすい
正しいバイクのハンドルの高さとは?写真付きで解説!

レバーが低すぎるとグリップごとワシ掴みで握りがちになり、そうするとハンドルを抱え込むフォームになる。レバーの高さが適正だと、腕から力が抜けたヒジの下がった自然なフォームを作りやすい。

適正な高さで自然なフォームを手に入れる
バイクのハンドルが低すぎることによるデメリットとは

レバーが低すぎてガブリ乗りになると、ハンドルを押さえてセルフステアを邪魔してしまう。また上半身が前傾するだけでなく、シートの前寄りに座ってしまう。適正なレバーの高さだと腕や上半身から力が抜け、シートの後ろ寄りに座って自然なフォームが作れる。

 

レバーは「何本がけ」が良い?

キャリアの長いベテランや、レース映像でプロイライダーの手元を見ても、レバーを操作する指は1本から4本までじつに様々。なので何本が正解、というモノではないが、ここで大切なのは強く握ることではなく「コントロール性」を優先すること。

なんとなく4本がけでギュッと握るのが力が入る気がするが、これだと強弱がオン/オフになって微妙なコントロールがしにくい。しかし2本がけでレバーを引っ張るイメージで操作すると、強弱のコントロールがかけるときはもちろん、緩めて行く時もわかりやすい。

じつは4本がけと2本がけでは、レバーの遠い・近いで操作性がかなり変わる。ライテクをマナボウでは、コントロール性の高い2本がけを前提にしたレバー位置を解説する。

「何本がけが正解」は無いけれど、まずは2本がけがオススメ
バイクのグリップの正しい握り方とは?指は何本かける?

4本がけだとグリップを「ゲンコツ握り」になりやすいのと、ブレーキを緩める操作(リリース)が難しい。「小指握り」で2本がけすると、強弱やリリリースのコントロールがしやすい。『♯06 ハンドルグリップの握り方』と合わせて試してみよう。

レバーが遠い方がブレーキを強くかけられ、リリースもコントロールしやすい

まずはブレーキレバー。手が小さかったり、とくに力の弱い女性などは、しっかり握れるようにレバーを近くにセットしているライダーが多い。……が、よく考えるとブレーキを力いっぱいギュッと握り込むことがあるだろうか? よほどのパニックブレーキでなければ、そんなかけ方はしないはず。そしてレバーを近くにセットしてギュっと握ると、指の第二関節が曲がり切って、それ以上レバーを引くことができない。

ブレーキの強弱をコントロールできるのは、第二関節の曲がり初めから曲がり切るまでの間だけ。それを前提にブレーキレバーの位置を調整すると、想像以上に遠くなる。男性ならいちばん遠い位置か遠い方から二番目、手の小さな女性でもアジャスト範囲の真ん中くらい(5段階調整なら3)が、コントロール性が高く、かつ力が入れやすい位置になる。

想像以上に遠くにセット
最適なバイクのブレーキレバーの位置とは

レバーをまったく引いていない状態で、中指と人差し指を伸ばして、中指の第一関節がギリギリかかるくらいでOK。この状態で中指の第一関節を下方向(地面の方向)にレバーを押すように曲げると、遊びの分だけレバーが動いて人差し指の第一関節までかかるくらい近づく。

ブレーキの強弱は第二関節でコントロール
バイクのブレーキレバー位置の正しい合わせ方

中指と人差し指の第二関節を曲げ始めた時に、レバーが硬くなってブレーキが強く効き始める位置になるのが正解。この時点で第二関節が曲がり切っていると、強く握れる気はするが強弱のコントロールができないので、そんな場合はレバーをもっと遠くにセットしよう。

 

クラッチも遠めがオススメ

発進時や走行中のシフトチェンジは半クラッチのコントロール性が重要。だから、レバーを引いて半クラッチが始まる位置に、中指と人差し指の第2関節の曲がり初めと合わせると操作しやすい。

ちなみに2本がけでレバーが近いと、停止する時などクラッチを切る際にレバーが薬指に当たってクラッチが完全に切れない場合がある。その意味でも遠目にセットするのがオススメだ。

半クラッチも第二関節でコントロール
バイクのクラッチの握り方と正しい距離感

ブレーキ同様に、レバーをまったく引いていない状態では中指の第一関節がギリギリ引っかかるくらいにセットし、第二関節を曲げ始めるところで半クラッチになるのがコントロールしやすいレバー位置だ。

 

最初は違和感が大きいけれど、スグに慣れる!

じつはレバーを遠くにセットすると、かなり違和感がある。しかも4本がけで乗っていた人が2本がけにした場合はなおさらで、試した瞬間に「無理っ!」と感じるライダーも多いと思う。しかし、そこをちょっと頑張って、ツーリングで1日試してみよう。すると最初の違和感はどこへやら、家路に着くころには「これが普通」と思えるくらいに慣れてしまう。

ちなみに、最初の違和感の強さから「少しだけ遠く」を試しても、今までのギュッと握る操作から脱せないので要注意。とにかく想像以上に遠くにセットしてみるのが上達のコツだ。

次回予告 ♯09 クラッチ&ブレーキレバーのストロークを知る

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