ライテクをマナボウ ♯25 カーブに合わせて座る位置を変えてみよう!|KUSHITANI RIDING METHOD

ツーリングで訪れたワインディング。ライディングフォームとか気にして余計な力を入れないように意識しているけれど、気持ち良く曲がれるカーブがあれば、なんとなくしっくりしなくて曲がりにくく感じるカーブもある。それって、カーブの種類で乗り方を変えた方が良いってコト? なにかコツとかあるんですか? 

カーブの種類に合った曲り方のコツとは?

余計な力を入れたり、ハンドルや腰を捻って傾けたりしないように気を付けているつもりなのに、カーブによって気持ち良く曲がれたり、走行ラインが膨らんでドキッとしたり、なかなか一筋縄ではいかない。シートの後ろめに座るライディングフォームも実践しているのに……。

小川勤|TSUTOMU OGAWA
小川勤|TSUTOMU OGAWA

バイク専門誌に25年ほど携わり、10年ほど編集長を経験。その間、国内外の様々なバイクに試乗。2022年よりフリーランスのジャーナリストに(身長165cm)。

カーブによって曲がりやすかったり曲がりにくく感じたり……

バイクはつねにライダーが「荷重コントロール」を行って操る乗り物だけに、基本的なライディングフォームがあるとはいえ、ずっと同じ場所に座っているのではなく、「シートの上で動く」ことも大切。

じつはカーブの曲がり具合によって、シートに座る前後位置を変えると、想像以上に曲がりやすさが変化する。もちろんワインディングには曲率がキツかったり緩かったり、上りや下りなど様々なカーブがあるし、曲がるスピードも変化するので「このカーブにはココ」という決まりがあるワケではないが、大まかな「目安」はある。そこを基準にして体重の預け方や重心を工夫するのが、カーブを楽しく攻略するコツだ。

ワインディングに多い中速カーブ

まずはワインディングに多い90度前後曲がった中速カーブは、シートの少し後ろめに座る基本フォームでOK。上半身や腕の力を抜いて下半身ホールドで身体を支えるのはどんな種類のカーブでも共通なので「♯07基本フォームとニーグリップ」も参考にして、バイクが曲がるためのセルフステアを邪魔しないライディングフォームを作ろう。

燃料タンクからコブシひとつ開けて座る

燃料タンクの後ろ端からコブシひとつ分(約5-10cm)隙間をあけた場所に座る。この位置を基準にして、座る位置を前後に調整してみよう。ワインディングに多い中速カーブなら、大抵はこの位置で大丈夫だ。

中速カーブは基本フォームで

ヘアピンのように回り込んでいないが、先が見通せるほど緩くない、90度前後曲がった中速カーブは、コブシひとつ分後ろに座った基本フォームがオススメ。

回り込んだ低速カーブは「前」に座る

ぐるりと回り込んだ小さなヘアピンカーブや、合わせて勾配のキツい下りカーブの場合は、シートの後ろに座った基本フォームだと、軽快で素早く傾いて曲がる乗り味が、かえって不安に感じることがある。軽くて素早いがゆえに「思ったより曲がり過ぎる」と感じると、バイクの動きをライダーが無意識のうちに止めてしまうため、身体に力が入って曲がる軌跡が膨らんだり、ハンドルを押さえてしまって曲がり方がギクシャクしたりするからだ。

そこで、回り込んだ低速カーブはシートの前寄りに座ってみよう。傾き方や曲がり始めの車体の向きの変わり方が穏やかになって不安感が減る。上半身も少し起こし気味にするのがオススメだ。

ただし前乗りのフォームは「低速カーブ限定」。表現は良くないかもしれないが、低速なヘアピンカーブを「不安なくやり過ごすためのテクニック」と割り切ることが大切だ。

ヘアピンや下りカーブは「前」に座ってOK!

シートの前寄りに座ると、車体が傾いていくスピードが緩やかになり、落ち着きのある乗り味になるので安心感が増す。バイクの重心に身体が近づくため、車体の動きや揺れに対応しやすく、ハンドルが近くなるのでフォームの自由度が高くなり不安感も減る。

高速コーナーはグッと後ろに座って素早く曲がる

曲がる角度が浅い高速コーナーは、どちらかというとワインディングでは少ないタイプのカーブ。先まで見通せて旋回する時間がほとんど無いので、着座位置としては鋭く傾いて向きが変わる「グッと後乗り」がオススメ。

とはいえ一般道は制限速度があるので、ハイスピードで突っ込んで一瞬で向きを変えて抜けていくシチュエーションは基本的には無い。なので、サーキットのスポーツ走行で必要になるテクニック、と知っておけば十分かも。

後ろに座ると車体が鋭く傾く

先が見通せるような曲率の浅い高速コーナーは、基本フォームよりも後ろに座ることで、車体が傾いて曲がり始めるレスポンスが鋭くなる。小さなアクションで素早く向きが変わるとはいえ、スピードの出し過ぎに注意!

体重を「預ける場所」を工夫しよう!

ここまでカーブの種類による「座る位置の目安」を解説したが、じつは座る位置を変えるのは、次に記すように身体の体重を預ける場所(重心の向き)を変えるのが目的だ。

シートに接触したお尻から斜め後方に向けた線が、路面と交わる位置をよく見て欲しい。いずれも後輪の接地点よりも後ろだが、座る位置によって変化しているのがわかるだろう。じつはこの違いが重要で、低速の回り込んだカーブなら後輪の接点近くに重心を向け、素早く向きを変えたい高速コーナーほど後ろ側に向けると効果があるのだ。

中速カーブ全般に対応する「基本の後ろ乗り」
低速ヘアピンや下りカーブ向けの「前乗り」
高速コーナー向けの鋭く向きが変わる「グッと後ろ乗り」

たとえば体格が小柄なライダーだと、あまりシートの後ろに座ることはできないだろう。そんな時は無理して後ろに座らなくて良いので、おヘソを引っ込めたり上半身を沈めて伏せ気味になるなどして、身体の中で重心の方向を後ろ目に向ければ良いのだ。

反対に大柄なライダーは股間が燃料タンクに当たるほど前に座ると、身体が窮屈になって結果的に余計な力が入ってしまうこともある。そんな場合は無理に前に座らずに、上半身を起こし気味にして重心の向きを後輪の接地点に近づければ良い。

とはいえ、この「身体の中で重心コントロール」を行うことは、ライディングの基礎であるのと同時に、もっとも奥深い永遠のテーマでもある。だから完璧にこなすことにこだわり過ぎず(もちろんこだわっても良いけれど)、まずは「こんな感じかな?」くらいの意識で、イロイロ試して曲がり方や乗り味の変化を体感してみよう。

次回予告 ♯26 回り込んだヘアピンカーブ どうやって走る?

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