「リヤブレーキを使った方が良い」といわれても、上手くコントロールする自信がないと躊躇してしまう。足で操作するため、手のように繊細にコントロールできず、苦手意識を持つこともあるだろう。
そんな上手くできない最大の原因は、きちんと「支点」が作れていないこと。たとえばクルマのブレーキも、床に着けたカカトが支点になっているので踏む強さをコントロールできるが、床からカカトを浮かせたら、どうにも上手く踏むことができないはず(危険なので試さない方が良いが)。
ステップにしっかりと足裏(土踏まず)を載せて、そこを支点(軸)にして円運動でペダルを踏むのが基本。それは多くのライダーがわかっているし、実践しているつもりだが、それでもうまくコントロールできないのは、ツマ先でブレーキペダルを踏んだ反力で、ステップから足裏が浮き気味になって、支点が無くなっているからだ。
そこでオススメしたいのが、ブレーキペダルと一緒にステップも踏み込む方法。これだと足裏が浮かないのできちんと支点ができる。さらにステップにカカトを載せて、ブレーキペダルと一緒に踏む方法も試してみよう。この「ステップも一緒に踏む」を続けていると、自然とリヤブレーキ操作に慣れて行き、気が付くときちんと円運動になっているパターンも多い。
もうひとつ、リヤブレーキを上手くかけるコツとして、事前にブレーキペダルの遊びをキャンセルしてから踏み込むことが大切。これは『♯09 クラッチ&ブレーキレバーのストロークを知る』で解説したフロントブレーキのレバー操作と同じで、ペダルの遊びごと一気に踏み込んでしまうと、ブレーキが効き始めるタイミングがわかりにくかったり、丁寧に操作しているつもりなのに急にガクッと効いてしまうからだ。
それとリヤブレーキをかけるタイミングは、フロントブレーキと同時か、フロントよりわずかに早くかけ始めよう。リヤブレーキはバイクの構造的に車体の後部を沈める作用があるとはいえ、フロントブレーキだけかけてフロントフォークが大きく沈んだ前下がり(前のめり)の姿勢になった後にリヤブレーキをかけても効果を望めないし、ともすればABS非装備のバイクだと後輪がロックする危険もあるからだ。