ライテクをマナボウ ♯16 ショックのないシフトダウン|KUSHITANI RIDING METHOD

シフトダウンする時のショックは、不快というだけでなく「不安」。信号で止まる減速時はともかく、峠路のカーブの手前のシフトダウンでギュッと強いエンジンブレーキが効こうものなら、ドキッとして曲がり始めるタイミングまで見失ってしまう。このショック、なんとかしたいモノだけど……。

ユックリ操作や長い半クラッチでもショックは消せない

シフトダウン時のショックは、基本的に前回の「♯15 ショックのないシフトアップ」と同じで、エンジンと後輪側(トランスミッション)の回転差が原因だ。ただしシフトダウンの方が大きなショックになりやすく、状況的にもカーブの手前の減速中だったりするので不安も大きい。おそらくシフトアップより、ダウンの方が苦手……というライダーが多いのではないだろうか。

小川勤|TSUTOMU OGAWA
小川勤|TSUTOMU OGAWA

バイク専門誌に25年ほど携わり、10年ほど編集長を経験。その間、国内外の様々なバイクに試乗。2022年よりフリーランスのジャーナリストに(身長165cm)。

シフトダウンは減速中に行うのでアクセルは閉じており、エンジンの回転数は下がる方向にある。そこでクラッチをシッカリ切ってペダル操作をして……とやっていると、エンジン回転はほぼアイドリングまで落ちてしまう。

そしてギヤを下げると、シフトダウン前のギヤより変速比が大きくなるため、エンジンブレーキが効いて後輪側(トランスミッション)がエンジン側(クランクシャフト)を回そうとするため、シフトアップ以上に大きな回転差が生まれる。しかもシフトアップならギヤチェンジ後に加速するためにアクセルを開けるので比較的短時間で回転差はなくなるが、シフトダウンだとアクセルは閉じたまま……。これでは、どんなに半クラッチを長く使ったところで、回転差を消してショックを無くすことはできない。

あっという間にエンジン回転が落ちる!

シフトダウンは基本的に減速中に行うので、アクセルは閉じている。その状態で①クラッチを切る ②シフトペダルを踏み下げる ③クラッチを繋ぐ を順を追ってユックリ操作すると、エンジンの回転は瞬く間に下がる。とくにクラッチが完全に切れるまでレバーを根元まで握ると、ほとんどアイドリングまで落ちてしまうため、次にクラッチを繋ぐ際にかなり長く半クラッチを使っても、強いエンジンブレーキを消すことができない。この状況に加え、ギヤ比による回転差も影響するから大変だ。

クラッチを全部切らずに操作時間を短縮!

シフトダウンのショックを抑えるには、まずはクラッチとペダル操作の時間を短縮。とくにクラッチはレバーを根元まで握って完全に切ると、どんなに素早く操作してもエンジンの回転はストンとアイドリングまで落ちてしまうので要注意。

そこでクラッチはホンの少しだけ半クラッチになるよう、瞬間的にチョンッと引く。そしてペダル操作はシフトアップとは逆に踏み下げる動作になるが、これも慌てて蹴り下げるのではなく、事前にツマ先の靴裏をシフトペダル先端に密着させておいて、カッチャンと確実に踏み下げるようにする。この辺りの注意点や操作のタイミングのコツは「♯15 ショックのないシフトアップ」と同じなので、ぜひ参考にしてもらいたい。

じつはこのように操作時間を極力短縮しても、シフトダウンでは回転差を消し去るのは難しい。そこで登場するのが、次に解説する「回転合わせ」というテクニックだ。

エンジンの「回転合わせ」は必要? 不要?

シフトダウンの際には「エンジンの回転合わせ」をする、と見聞きしたことがあるライダーもいるだろう。回転合わせとは、ギヤ比による各ギヤ間の回転差を埋める操作のことだ。たとえば60km/hで4速/3000回転から3速にシフトダウンしたらエンジン回転が3300回転なるバイクの場合、シフトダウン操作の最中にアクセルを捻って空ブカシ(ブリッピング)して、おおむね3300回転まで回して回転数を合わせる、ということ。この操作を行えばギヤが切り替わってもエンジンブレーキが効かないのでショックも発生しないのだ。

それなら回転合わせは絶対にやった方が良いのか? バイクのギヤ(トランスミッション)は、高いギヤ(たとえば6速→5速)の方が低いギヤ(たとえば2速→1速)よりも回転差が少ない。また同じギヤでも速度が低い状態でシフトダウンする方が回転差が少なくなる。なので、高いギヤで低い回転数で走っているなら、そもそも大きな回転差にならないため強いエンジンブレーキが効くことがないので、必ずしも回転合わせをする必要はない。

反対に速度域や回転域が高い場合は、回転合わせを行った方がスムーズでショックがないので、よりスポーティに走ることができる。

とはいえシフトダウンはブレーキをかけながら減速中に行うケースが多いので、そのさなかに回転合わせを行うのは相応に難易度が高い。だから回転合わせを試すなら、無理のない範囲で操作に慣れるように練習していこう。

半クラッチ&ペダル操作のわずかな間に空ブカシ

回転合わせは、アクセルをあおって空ブカシ(ブリッピング)する操作。シフトダウンのクラッチ操作(切れている瞬間)&ペダル操作(ギヤを下げる瞬間)を行う必要があるので、けっこう難易度が高い。

回転合わせはホンの少し空ブカシするだけでOK

回転合わせで、どれくらい回転を上げるのかはケースバイケース(その時のスピードや何速から何速へダウンするか等。もちろん車種によって異なる)だが、高いギヤならシフトダウン直前の回転数+10%ほどで十分(たとえばシフトダウン直前が3000回転なら、3300回転くらい)。手首の返しで“ブンッ”くらいで十分で、ブワーンッ!と高回転まで回すと、かえって時間がかかってペダル操作とのタイミングが合わなくなるので本末転倒。また、手の動きが大きいとブレーキ入力が変化してしまうため、余計にギクシャクする。

次回予告 ♯17 回転数とギヤの選び方 バイクは低回転が美味しい!

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