ライテクをマナボウ ♯11 実はニュートラルの簡単な出し方がある|KUSHITANI RIDING METHOD

赤信号で止まってニュートラルを出そうとしたら、通り過ぎて2速に入ってしまった。慌ててシフトペダルを踏み下げたら、今度は1速へ。そして1速と2速を行ったり来たりしている間に信号が青に変わる……。この無益な時間は何だったの? ニュートラルって、もっと簡単に出ないんですか??

 

ギヤの噛み合う力を緩めれば、簡単にニュートラルが出る

ニュートラルの「出しやすい、出しにくい」は車種によって変わるし、同じ車種でも個体差があるが、新車だと出しにくいという場合もある。これはライダーが新しい車両のクセに慣れていないというのもあるが、トランスミッションを構成する部品にアタリ(部品同士の馴染み)が出ていないというのが大きな要因だ。

小川勤|TSUTOMU OGAWA
小川勤|TSUTOMU OGAWA

バイク専門誌に25年ほど携わり、10年ほど編集長を経験。その間、国内外の様々なバイクに試乗。2022年よりフリーランスのジャーナリストに(身長165cm)。

バイクの「慣らし」が終わる頃には、そこそこニュートラルも出やすくなる……とはいえ、それまでの間が大変だし、慣らしが済んでもニュートラルが出にくいバイクも無くはない。停車するたびにガチャガチャとシフトペダルの上げ下げを繰り返すのはストレスが溜まるし、なによりスマートではない。

そこでまずは、信号待ちなどエンジンがかかっている状態で、ニュートラルを簡単に出す方法を紹介しよう。

バイクのギヤ(トランスミッション)は常時噛合式といって、すべてのギヤが常に噛み合っているモノが主流。難しい構造はさておき、そのギヤ同士が噛み合っている力を緩めてあげるとニュートラルが出やすくなる。じつはアクセルをあおって上昇したエンジン回転が下降に転ずる瞬間が、もっともギヤ同士の噛み合いが緩くなる。この特性を利用すると、アタリの出ていない新車でもかなりニュートラルが出しやすくなるので、次に解説する方法で、ぜひお試しを!

1.1速に入っている状態
ニュートラルに入りにくいバイク、どうすればいい?その解決法をお伝えします!

信号などで停車した状態。ギヤは1速で、エンジンはアイドリングで回転している。

2.アクセルをあおって回転を上げる
ニュートラルの入れ方その1、ギアをあげる

アクセルを軽く「ブンッ」とあおる。エンジンは2000~2500rpmくらいまで回転が上がれば十分。

3.回転が下がっていく最中に……
ニュートラルの使い方

アクセルをあおって上昇したエンジンの回転が、下る方向に転じたらすかさずシフトペダルを押し上げる。勢い良く蹴り上げずに、ペダルの遊びをキャンセルした位置からスッと押し上げるだけでOK。

4.ニュートラルが出る
バイクのメーターの「N」の意味は、ニュートラルに入っているということ

ニュートラルが出て、エンジンの回転もアイドリングに落ち着く。

エンジンかかっていない時は、クラッチを切らないのが秘訣

たとえば坂道や路面が傾斜した場所にバイクを止める場合、ギヤを1速に入れておくと勝手に動いたりしないので安心。とはいえ、そこから再び乗り出したり取り回すにはニュートラルに入れる必要がある。そんなエンジンが止まっている状態でニュートラルを出したり、反対にニュートラルから1速に入れるには、どうすれば良いだろう?

バイクの常時勘合式のトランスミッションは、これも詳しい構造を省いてザックリ言うと、エンジンを止めたタイミングで「ギヤが切り替わる位置」と「ギヤが切り替わらない位置」になっている場合がある。そして「ギヤが切り替わる位置」にするには、クラッチレバーを握らずに(クラッチを切らずに)車体を前後に押せば良い。

とはいえ「ギヤが切り替わる位置」が目に見えるワケではないので、1速からニュートラルを出したい場合は、シフトペダルをツマ先で軽く押し上げた状態で、ゆっくりと車体を押し出してみよう。すると「ギヤが切り替わる位置」になると、カチャっと軽くペダルが動いてニュートラルが出る。

クラッチを握ると、かえってニュートラルを出しにくい(ギヤも入れにくい)
ニュートラルに入りにくいときは、クラッチを握っても意味が無いかも

よく目にするのが、クラッチレバーを握った(切った)状態でシフトペダルを操作するパターン。このときトランスミッションが「ギヤが切り替わらない位置」にあると、どんなに力を入れてシフトペダルを押し上げ(蹴り上げ?)ても、1速からニュートラルに入れることはできない(2速にも入らない場合もある)。同様にニュートラルから1速にも入れられない。

クラッチを切らずに、車体を前後させる
ニュートラルに入りにくい場合の解決法

トランスミッションを「ギヤが切り替わる位置」にするには、クラッチを切らずに車体を前後させるのが得策(クラッチを切っていると、前後してもミッションの位置が変わらない)。1速からニュートラルに入れる場合は、シフトペダルをツマ先で軽く押し上げた状態のまま車体を前後させると、カチャっと簡単にニュートラルに入る。ニュートラルから1速に入れる場合も、シフトペダルを軽く踏み下げた状態で車体を前後させれば良い。

勢いよくペダルを蹴ると、シフト系の部品が傷む!

ニュートラルに入りにくいときに、やってはいけないこと

エンジンがかかっている時、止まっている時に関わらず、ニュートラルが出ないからといってシフトペダルをガンガンと蹴るような強い力で操作するのは絶対にNG。

前述したようにトランスミッションが「ギヤが切り替わらない位置」にあると、絶対にニュートラルが出ないだけでなく、シフトペダルのシャフトやギヤを切り替えるためのシフトフォークなど、トランスミッションを構成する部品に負荷がかかって傷むからだ。これらの部品が傷むと、いっそうニュートラルが出しにくくなったり、「ギヤ抜け」などのシフトミスも起こりやすくなるので要注意!

信号待ちなら、エンジンを止めるのもアリ

ニュートラルに入れるために、一度エンジンを切ってもOK

信号待ちなどエンジンがかかっている状態で、どうにもニュートラルが出にくい場合は、いっそのことキルスイッチを使ってエンジンを止めてしまうのもあり。そしてクラッチを切らずにニュートラルを出すか、ギヤを1速に入れたまま信号が変わる寸前まで待機しても良い。そんなキルスイッチの便利な使い方は『♯03 足着き性は解消できる!』で解説しているので、そちらも参考に!

次回予告 ♯12 安全でスマートな駐車の仕方

バイクライディング テクニック ニュートラルへの入れ方
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