レーシングスーツを用意して、サーキット走行会の申し込みもすませたし、後は思いっ切り走るだけ! ……と気分は盛り上がっているけれど、じつは上手く走れるのかドキドキ。速く楽しく安全に走るには、いったどこから手を付けたら良いんだろう?
#12 サーキットで最初に意識するテクニックって?
「レコードライン」を覚えよう!
安全なコースインやコースアウトの仕方、コースの状況を伝えてくれる「フラッグ」の意味も理解して準備万端、あとはガンガン走るだけ! と前向きになれたら良いけれど、そもそも上手く走れるのか、速く走れるのか自信がない……。ウデを磨くにはなにを意識すれば良い?

小川勤|TSUTOMU OGAWA
バイク専門誌に25年ほど携わり、10年ほど編集長を経験。その間、国内外の様々なバイクに試乗。2022年よりフリーランスのジャーナリストに(身長165cm)。
いよいよサーキットにコースイン! 上手く走るには、どんなテクニックが必要なの?

サーキットはピットロードからのコースイン方法や、フラッグの指示などのルールをきちんと守れば、どれだけスピードを出しても、コースの道幅のどこを走ってもOK。……とはいえ、やみくもに飛ばすだけでは速くなれないし、コーナーを曲がり切れない危険もある。
そこでサーキット走行を始めたら、まずは最初の先導走行でインストラクターの走行ラインをトレースして走ることを意識しよう。

サーキット走行で最初に意識すべきは、インストラクターの走行ラインを真似して走ることだ。
たとえばコーナーによっては想像以上に幅員(コース幅)が広かったり、反対に意外と狭く感じることもあり、それゆえにどこを走るのが正解なのかわからないことも多い。そこで先導走行時のインストラクターは最初のゆっくりしたスピードでも「レコードライン」を走るので、そのラインを真似て走ることが上達の早道になる。
「レコードライン」とはもっとも効率よく走れる理想的な走行ラインであり、速く安全に走るために必須。逆を言えば、レコードラインから外れてしまうと、速く走れないだけでなく何かしら無理をする(必要以上なブレーキングや深いバンクなど)ことになるので、不安感が強くなるかもしれない。
またサーキット走行に慣れないうちは「なぜこのラインを走るのだろう?」と思うかもしれないが、少しずつ慣れてペースが上がってくると、レコードラインの意味がわかってくる。そしてペースを上げていく時こそ、レコードラインに乗せて走ることを強く意識しよう。
わからなったらインストラクターに聞こう!
レコードラインは、ペースが緩やかな先導走行の時に意識して周回すれば、覚えることができるだろう。とはいえ僕(小川)も何十年もサーキットを走っているが、いまだに「タイヤ1本分外側に行っちゃった」とか「もう少しアウト側まで行けばよかった」等々、レコードラインから外れてしまうことは少なくない。というか、サーキット走行はそういったことの繰り返しなので、意識しながら丁寧に走ることが大切だろう。

サーキットを何年も走っていても、レコードラインを外すことはある。そこを意識しながら丁寧に走ることが上達の秘訣だ。
そしてもし、走っているうちにレコードラインがわからなくなってしまったら、迷わずインストラクターに聞こう。サーキット走行会では、インストラクターを活用するのが上手く走るためのコツだ。KUSHITANI RIDING MEETINGのインストラクターは、鈴鹿8耐を走るプロライダーなども大勢いるので、声をかけたり質問するのにドキドキするかもしれないが、皆インストラクターとして参加しているので、いろいろなことを教えてくれる。素人っぽい質問は……と躊躇せずに、何でも聞いてみよう!

レコードラインがわからなくなってしまったら、遠慮せずにインストラクターに質問しよう!
コース図やオンボード映像も参考に!
サーキット走行で最初に意識すべきは「レコードラインを走ること」。もちろんその前に、走るコースのレイアウトをしっかり頭に入れておくことも大切。そこで事前にコース図を見て覚えておくのがオススメだ。とはいえ俯瞰で見るコース図と、実際に走って視界に映る風景はかなり違いがある。ちなみに僕も海外で初のコースを走る時はYouTubeでオンボードを探して、研究してから行くことが多く、そうした予習をすることで実際に現地を走り出してもコースを覚えるのが圧倒的に楽になった。
ここではKUSHITANI RIDING MEETINGが開催される筑波サーキット2000のコース図と、各所でのライダー視点のオンボード画像を添えておくのでご参考に!

① ホームストレート

② 第1コーナー進入

③ S字コーナー進入

④ 第1ヘアピン進入

⑤ ダンロップコーナー進入

⑥ アジアコーナーのクリッピングポイント

⑦ 第2ヘアピン進入

⑧ バックストレート

⑨ 最終コーナー進入

⑩ 最終コーナー立ち上がり

バイクトリビア
走り始めは、きちんとタイヤを温める

一般道と比べると、サーキットの路面はタイヤが良くグリップする。とはいえコースインしてすぐに深くバンクしたり、いきなり強くブレーキをかけるなどしてハイペースで走るとスリップする危険があるのでNG。まずコースインして少なくとも最初の1周はタイヤをきちんと温めてからペースを上げるようにしよう。こういった走りをすることでタイヤのライフも伸びるので、ぜひ心がけてみよう。
ストレートで車体が起きた状態でスロットルを大きく開けて後輪を潰せばリヤタイヤが温まり、コーナー前では早めにブレーキをかけ始め、引きずり気味でコーナーに進入すればフロントタイヤが温まる。いずれも丁寧な操作が大切だが、あまり慎重に探るようにソロ~っと操作すると、タイヤに負荷がかからず温まりにくくなることも知っておこう。
また走行枠が何本かある場合も、毎回最初の周回はタイヤを温めるようにしよう。たとえば真夏のレースでもタイヤウォーマーを使っていることからもわかるように、タイヤの性能をきちんと出すにはタイヤの温めが必須なのだ。
一般ライダーがストリート用タイヤでサーキット走行を楽しむなら、タイヤウォーマーは使わなくても大丈夫だが、きちんと温めてからペースを上げるようにしよう。

レースでは路面温度が高い真夏でも、コースイン直後から性能を発揮するためにタイヤウォーマーを使用している。
次回予告 第13回 レコードラインを走れるように しっかり「向き変え」
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免許を取って1年が経過して、ちょっとバイクに慣れてきたら、やっぱりタンデム(二人乗り)したくなる。きっとパートナーも喜ぶはず……と思いきや、バイクに跨る時点でギクシャク。じつは自分も緊張して(楽しくない方の)ドキドキ。走る前からつまづいちゃったような
ライテクをマナボウ ♯32 アウト‐イン‐アウトは危険!|KUSHITANI RIDING METHOD
スポーティにコーナリングするなら「アウト‐イン‐アウト」の走行ラインが有効だと昔から言われている。もっとも効率が良く、カーブを最速で駆け抜けられるテクニックとして有名だけど、ワインディングでも何かメリットがあるのかな……? 速そうでカッコ良いアウト‐
ライテクをマナボウ ♯31 あ!曲がりきれない! その時どうする?|KUSHITANI RIDING METHOD
とくに先が見えないブラインドカーブは、曲がり具合をしっかり予測……したハズだけど、いざ曲り始めたら思った以上に回り込んでいて、ドキッ!とすることもしばしば。なんとかやり過ごしてはいるけれど、きちんと回避できないと本当にヤバイかも……。 思ったより曲が
ライテクをマナボウ ♯30 曲がるきっかけ どうやって作る?|KUSHITANI RIDING METHOD
コーナリングの組み立てを意識したり、ブラインドカーブも出口が見えてから曲がり始めることで、俄然ワインディングが楽しくなってきた……のは良いんだけれど、どうも狙った場所からきちんと曲がり始めるのが上手くいかない。これ、ビシッとタイミングを合わせるコツっ
ライテクをマナボウ ♯29 なぜ 右カーブは難しく感じるの?|KUSHITANI RIDING METHOD
よくわからないけど右カーブの方が左カーブより難しく感じる。なんとなくライディングフォームが決まらなかったり、ゆっくり走っていても微妙に不安だったりする。コレって自分だけ? たまたま右カーブが苦手なだけ? 他のライダーはどうなんだろう? じつは左より右
ライテクをマナボウ ♯28 下りカーブはなぜ怖い?|KUSHITANI RIDING METHOD
正直なところ、下りカーブが苦手……というか怖い。勝手にスピードが出てしまうから曲がり切れるか不安になるし、前のめりになったり腕が突っ張ったりして、はっきり言ってちっとも楽しくない! 上りはけっこう気持ち良く走れるのに、どうしてこんなに違うんだろう?
ライテクをマナボウ ♯27 先の見えないブラインドカーブ どこから曲がる?|KUSHITANI RIDING METHOD
ワインディングは出口まで見通せるカーブがあまり多くない、というより、ほとんどがブラインドカーブかも……。曲がり始めたら思ったより回り込んでいて焦ったり、意外と緩くて肩透かしを食ったり……。いったいどうやって曲がれば良いんだろう? カーブの先が見えない
ライテクをマナボウ ♯26 回り込んだヘアピンカーブ どうやって走る?|KUSHITANI RIDING METHOD
カーブが連なるワインディングは、無理に飛ばしさえしなければ楽しさ満点! だけど、グルリと回り込んだヘアピンカーブは飛ばさなくても不安でいっぱい……。だからセンターラインに沿ってユックリ走れば曲がり切れるハズ……なのだろうか? ヘアピンカーブを楽しむテ
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ツーリングで訪れたワインディング。ライディングフォームとか気にして余計な力を入れないように意識しているけれど、気持ち良く曲がれるカーブがあれば、なんとなくしっくりしなくて曲がりにくく感じるカーブもある。それって、カーブの種類で乗り方を変えた方が良いっ
ライテクをマナボウ ♯24 走っている時 どこを見る?|KUSHITANI RIDING METHOD
ベテランから「遠くを見ろ」とか「バイクは見た方に進む」とか言われる。なんとなく意味は解るので、自分としてもやっているつもり……なんだけど、気が付いたら前輪のスグ前を見ていたりする。路面の荒れとか、気にし過ぎているのかな……。 「遠くを見ろ」とは言うけ
ライテクをマナボウ ♯23 路地からの発進&左折小回り|KUSHITANI RIDING METHOD
教習所でも厳しく(?)指導される「左折小回り」。とはいえ極低速だとバランスをとるのが難しいし、アクセルを開けると安定する代わりにどんどん大回りに……。もちろん曲がり切れないワケでは無いけれど、いつもなんとなくギクシャクしているのがスッキリしない……。
ライテクをマナボウ ♯22 絶対に転ばないUターン|KUSHITANI RIDING METHOD
ツーリングで「あっ、いまのトコロ曲がるんだった~」みたいなコトはよくある。だけどUターンが苦手なので、どんどん進むうちに道に迷ったり、寄ろうと思った店を諦めたり……。Uターンができれば良いのはわかっているけれど、立ちゴケするのはイヤだし、どうすれば良
ライテクをマナボウ ♯21 腰をズラす意味 知っている?|KUSHITANI RIDING METHOD
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ライテクをマナボウ ♯20 コーナリングの意識改革をしよう!|KUSHITANI RIDING METHOD
ライディングに慣れてくると、カーブを気持ちよく曲がる方法が気になってくる。ベテランライダーの走りを見ていると、まるでコンパスで円を描くようにグルーンと一発で曲がっているように感じる。マネしてみるけど、スムーズじゃないし……気持ち良く曲がれないのはなぜ
ライテクをマナボウ ♯19 バイクの動きを邪魔せず 力を抜いて曲がる|KUSHITANI RIDING METHOD
バイクはハンドルを切るのではなく「車体を傾けて曲がる乗り物」というのは、当然わかっている。それに「余計な力を入れるな」とも言われる。だけど、そもそも力を入れなければ車体を傾けられないんじゃないの? この矛盾、どうしたモノか……。 バイクの傾け方に良し
ライテクをマナボウ ♯18 バイクはどうやって曲がっている? 軽く傾けるコツがある?|KUSHITANI RIDING METHOD
バイクが自然に曲がろうとする動きを邪魔しちゃいけないといわれるし、なんとなく意味もわかる……気がする。でも、バイクは車体を傾けないと曲がらないわけで、何を意識して傾けるのが良いんだろう? 上手な傾け方ってあるんですか? 「セルフステア」をおさらい ラ
ライテクをマナボウ ♯17 回転数とギヤの選び方 バイクは低回転が美味しい!|KUSHITANI RIDING METHOD
いまどきのバイクのエンジンは、高回転まですごい勢いで回転が上がる。たくさん回した方がスポーティに走っている満足感もある……のだけど、実際はとんでもないほどスピードが出ちゃって内心ドキドキ。本当のところ、どれぐらいの回転数で走るのが良いんだろう? エン
ライテクをマナボウ ♯16 ショックのないシフトダウン|KUSHITANI RIDING METHOD
シフトダウンする時のショックは、不快というだけでなく「不安」。信号で止まる減速時はともかく、峠路のカーブの手前のシフトダウンでギュッと強いエンジンブレーキが効こうものなら、ドキッとして曲がり始めるタイミングまで見失ってしまう。このショック、なんとかし