ライテクをマナボウ ♯04 押し引きが上手いとかっこいい!|KUSHITANI RIDING METHOD

走り出したら爽快・軽快なバイクも、ガレージの出し入れやパーキングでの押し引きが億劫……と感じる人は多く、それが理由で乗る頻度が落ちてしまったらもったいない。ちょっとしたコツで「押しゴケ」の不安は取り除け、重量車も軽く押せるようになる。なによりかっこよく見えるので、これは覚えて損はない!

 

倒さないようにと直立させると、かえって重い!?

原付クラスならともかく、スポーツバイクは250ccクラスでも150kg以上、ビッグバイクなら軽くても200kg超えが普通だから、「取り回しの押し引きが苦手……」と感じても不思議ではない。また、重さだけならガッツで乗り切れるかもしれないが、反対側に倒したらどうしよう……の押しゴケの不安はなかなかクリアできない。

小川勤|TSUTOMU OGAWA
小川勤|TSUTOMU OGAWA

バイク専門誌に25年ほど携わり、10年ほど編集長を経験。その間、国内外の様々なバイクに試乗。2022年よりフリーランスのジャーナリストに(身長165cm)。

というワケで、まずは前進する時の不安の原因を追究。じつはコレ、跨って停車中の足着きと同じで、直立させようとするのが最大の要因。理屈の上では直立させるのがもっとも軽いけれど、反対側に倒れる危険が大きいだけに、緊張するし不安だしで良いことナシ。しかも前に押し出すのに腕の力しか使えないので、やっぱり重いのだ。

直立させると軽く感じるが、じつはもっとも不安定
バイクは直立させると不安定になる!では、上手な取り回しの方法とは?

♯03の「足着き性」と同様に、理屈上では車体を直立させるともっとも軽く支えられるが、どちらに倒れるかわからない不安定な状態なので「押しゴケ」の危険大。結果的に緊張度が高く、身体に力が入ってしまう。

押すのに腕の力しか使えない
バイクを押すのは重くて辛いと思っている人必見の取り回し術を教えます

車体を直立させると自動的にハンドルに近い立ち位置になるため不安定に。腕のみでバイクを支え、前進する際も腕の力だけで押すのでけっこう重い。

身体を密着させて、体幹で押すイメージ

まず「倒れる不安」を無くすには、車体を少しだけライダー側に傾けるのが得策。こうすれば反対側に倒す心配はほぼゼロになる。そして傾けた車体に対して、ライダーも自分の体重を預けるイメージで、身体の右側の腰やわき腹を車体に密着させよう。車種やライダーの体格にもよるが、タンクとシートの境あたりに立って互いに支え合えば、大型車でも重さをさほど感じない。

このポジションで、密着させた腰やわき腹を中心に体幹を使って押し出すと、かなりの重量車でも思いのほかに軽く前進することができる。

ライダー側にわずかに傾け、腰で支えるとラク
重い車体も軽く感じる、バイクの取り回しのコツとは

ほんの少し傾けるだけでOK。ライダーはバイクの近くに立って腰を密着させて支えれば(バイクと人間が互いに支え合う状態)、車体が安定しているので倒してしまう不安が無く、重さも感じない。

後ろ目の立ち位置で「体幹」で押す
バイクを楽に押すための自分の立ち位置はここ

バイクが自分の側に傾いているのでハンドルが近くなり、両腕の肘を自然に曲げて少し後ろ目の立ち位置が取れる。腕の力だけでなく、自分の体重を預けて押せるので大きな力も必用ない。体幹で押すイメージでやってみよう。

普通は両手でハンドルを握ってバックするけれど……

取り回しで避けて通れないバック。一般ライダーは両手でハンドルを握って後ろに引っ張るのが普通だろう。もちろんこの方法が悪いわけではないが、後が見にくい上に、振り向いた体勢だと車体に身体を近づけても安定感に乏しい。また、腕の力だけで引っ張るので路面が後ろ上がりの場所だと結構つらい。ブレーキが使えるので路面が傾斜(後ろ下がり)した場所でも、いつでもバイクを止めることができるのはメリットだが……。コツというより、とにかく慎重にバックするしかないのが実情だ。

後ろが見にくく不安定な「両手バック」
バイクのハンドルを両手で持ってバックするのは、実はおすすめできない方法

振り返るためにも車体と身体を近づけるしかないが、これだと立ち位置が車体の前寄りになるため少々不安定。腕の力だけで引っ張るので重く感じる。

プロ風でカッコいい「片手バック」

そこで左手をハンドル、右手をシートの通称「片手バック」を試してみよう。そう、バイクショップの店員さんがやっているアレだ。試す以前に『絶対に無理!』と感じた方も多いと思うが、実際にやってみると、じつはプロ技風の見た目よりも意外と簡単だ。

路面が後ろ下がりの場所はブレーキを使えなくて不安なので、まずは平たんな場所か、少しだけ後ろ上がりのところで試そう。

立ち位置は左手のハンドルと、右手をあてがったシートの中間あたりで、前進の時とは反対にバイクから離れる。身体の前面を完全にバイク側に向け、軽く腰が曲がるくらいが基本のフォームだ。この状態で車体をライダーの側に少しだけ傾けて、自分の体重とバランスする場所を探してみよう。ここで不安を感じずに安定した状態が作れれば成功したも同然。あとは左足で地面を蹴って、右手でシートを斜め下方向に押して、バイクがバックし始めるのを待てばいい。ハンドルを引っ張ると車体がフラれるので、左手は車体を支えることと、舵を切るのだけに使う(慣れるまでは動きながら舵を切らないのが安心)。

慣れや練習は必要だが、この片手バックができるようになると、後ろを見ながら行きたい方向に進めるので、取り回しが本当にラクになる。最初から無理だと思わずに、少しでも良いので試してみれば、繰り返すうちにできるようになっている。それにベテランに見えてかっこいいので、ぜひマスターしよう!

後方が見やすく押しやすい「片手バック」
片手だけをバイクのハンドルに置いて取りまわす方法。実は意外と簡単!

左手でハンドルを掴み、右手でシートを押さえる基本フォーム。右足が浮くくらい左足で地面を踏ん張ると、自然にバイクがバックし始める。

身体を車体から離して支える
最もおすすめできるバイクの押し方・動かし方がこちら

前進時とは反対に、身体をバイクから離した方が安定する。車体は直立させずに、自分の体重とバランスするように、少しだけライダー側に傾けると重さを感じない。

ハンドルは舵を切るだけで引っ張らない
バイクを押すときに、ハンドルに力を入れるのはNG

左手でハンドルを引っ張らないのがコツ。方向を決めるのに舵を切るだけにする。慣れるまでは動きながら切らずに、いったん停まって行きたい方向にハンドルを切ってから再度バックするのがオススメ。

右手でシートを「斜め下」に押し下げる
片手をシートに置いてバイクを移動させる方法

左足で地面を蹴るようにして、体重を右手に預ける。真っ直ぐ後方ではなく斜め下(45度くらい)に押し下げると、車体がフラつかず安定する。

次回予告 ♯05 バイクウエアで乗ろう!

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